いわゆる緑内障禁忌薬剤について

問題提起2

 実は、問題提起1、言いたい事の前置きでして、レーザー虹彩切開術に対するスタンスの大きな変化が原因で、世の中には、瞳孔ブロックの解除されていない中高年が増加すると思うのです。また、中高年になれば、様々なお薬の世話になる機会が多くなります。そして、この薬物の中には、いわゆる緑内障禁忌あるいは慎重与薬の薬剤が多数存在します。患者さんは、病院で、治療・検査など様々な場面で、『あなたは緑内障と言われたことがありますか』って、聞かれたことがあるでしょう?
 緑内障禁忌あるいは慎重与薬の薬剤は、抗うつ薬・抗ヒスタミン薬・心血管薬・消化管鎮痙薬・筋弛緩薬・鎮静催眠薬など多岐にわたります。禁忌あるいは慎重与薬の理由は、抗コリン作用がある為、若干の散瞳が原因で、閉塞隅角緑内障を引き起こす(悪化させる)可能性があるからだと思われます。もっとも極端な例が、散瞳剤点眼です。だから、われわれは、狭隅角眼の散瞳の際に悩むのです。

 問題を複雑にしているのは、眼科専門医以外には、緑内障が閉塞隅角なのか開放隅角なのかを見極めることは不可能なことです。さらに重要なことは、その対象となる患者さんが緑内障であっても、眼科で正しく診断されている場合は、緑内障禁忌薬物は投与可能である(つい最近までは・・)ということです。その理由は、緑内障が開放隅角であるなら、薬物は投与可能ですし、内服薬の抗コリン作用で、閉塞隅角緑内障を発症(悪化)させるほどの眼なら、通常レーザー虹彩切開術が行われている筈で、だとすれば、薬物は全て投与可能だからです。(緑内障屋の少々偏った考えでしょうか・・)

したがって、緑内障禁忌薬剤の投与が危険なのは、
①眼科に通院していて、閉塞隅角緑内障の強い疑いがあるのに、まだレーザー虹彩切開術をされていない患者
②眼科にまだかかっていない閉塞隅角緑内障(疑い群を含む)患者
です。

 
 例えば、内科で、眠剤を投与するときに、『緑内障はありませんか』と問診をして、緑内障があると言われた場合、閉塞隅角緑内障の強い疑いはあるがレーザー虹彩切開術していない場合だけが、投与に慎重を要する訳です。眼科を受診したことのない患者さんの場合は、下記のデータがヒントになります。
  大規模疫学調査(多治見スタデイ)の結果、40歳以上の約6%(70歳以上なら約13%)が緑内障で、そのうち、開放隅角緑内障は4%弱、閉塞隅角緑内障は1%強です。つまり、全く眼科を受診されていない患者さんなら、40歳以上の場合、1%強つまり100人に1-2人が、抗コリン作用を有する薬剤の投与に慎重でなければならないと言う事になります。この頻度を多いと見るか少ないと見るか・・。
 だからと言って、眼科以外で、抗コリン作用を有する薬物投与前には、必ず眼科を受診させるのは、ちょっと非現実的ですし、難しい問題ですね。

そして、さらに複雑に輪をかけるのが、レーザー虹彩切開術の適応の変更です。だからこそ、問題提起しているのですが。今後、瞳孔ブロックを解除されまいままの原発閉塞隅角症(原発閉塞隅角緑内障)が増加することが予想されます。

①眼科に通院していて、閉塞隅角緑内障の強い疑いがあるのに、まだレーザー虹彩切開術をされていない患者
②眼科にまだかかっていない閉塞隅角緑内障(疑い群を含む)患者

この①は、確実に増加します。

混乱を承知で付け加えますと、
開放隅角緑内障と診断されていて、+狭隅角(原発閉塞隅角症、原発閉塞隅角緑内障)というケースも意外と多いと思うのです。

結論として私が危惧する可能性は
1)緑内障禁忌薬剤が、不必要に制限を受けていて、そのために不利益をうけている可能性。
2)本当は制限を受けなければいけない患者さんに、緑内障禁忌薬剤が知らず知らず投与されている可能性。
3)2)の患者さんが今後増加する可能性。


このような問題提起は、小さな眼科クリニック発では、あまり意味を持たないのですが、レーザー虹彩切開術適応変更に伴い、原発閉塞隅角緑内障発症の危険性が高まることが予想されるので提起してみました。
このブログを読んで下さっている患者さんが、眼科以外を受診し、『緑内障と言われたことがありますが?』と聞かれたら、一度も眼科を受診したことのない人は、一度は受診されてみてはいかがでしょうか。そして、できたら、自分の背が高いか低いか、足が長いか短いか知っているように、自分の前房が深いのか浅いのか、隅角が広いのか狭いのかくらいは、知っておいた方がいいと思いますf(^^;)
Commented by 緑内障と言われた at 2009-04-24 21:30 x
勉強になりました。応援しています。
by takeuchi-ganka | 2007-02-08 21:33 | 緑内障 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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