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当院の検査機器の紹介:HRTⅡ(その3)

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その2で述べた、反射画像です。眼底写真と同じようにNFLDが明瞭に見られます。視神経を6分割して各セクターで、リム面積と陥凹面積の比率を標準データベースと比較した結果を表示します。つまり、リム面積が↓、陥凹面積が↑となった場合、その程度が標準データベースと比較して稀(0.1~5%)であれば黄色:これはボーダーライン!。非常に稀(0.1%以下)なら赤:異常!と表示されるのです。この小さなノッチは、人間の判断では明らかに異常なのですが、HRTⅡは、まだボーダーラインと判断しています。この解析が、HRT Ⅱが有する自慢の?緑内障判定プログラム:Moorfields 回帰解析です。
当院の検査機器の紹介:HRTⅡ(その3)_f0088231_19123474.jpg

でもこれは、時に有効ですが、時に役立たずの緑内障自動診断プログラムです。まあ、器械に頼って、自動診断しようとする根性が嫌いですが、参考にはなるのです。この棒グラフは、左から、乳頭全体・耳側・耳上側・耳下側・鼻側・鼻上側・鼻下側の7個あります。赤い部分が陥凹部分、緑の部分がリム部分です。緑内障が進行すれば、つまり神経線維が少なくなれば、赤が増え、緑が減少します。この棒グラフには、標準データベース(日本人とは異なると思いますが・・・)から予想される陥凹の大きさ(Predictedのライン)、95%はこれ以下の陥凹と思われるライン(Low95%)、99%はこれ以下の陥凹と思われるライン(Low99.0%)、99.9%がこれ以下と思われるライン(Low99.9%)の4本のラインが引かれています。計測された値(陥凹とリムの比率)が、95%のライン以下なら、正常範囲内。95%を超えるとボーダーライン、99.9%を超えると異常と判定されるのです。残念ながら、この乳頭の緑内障性変化は、明らかなものの、視神経乳頭の形態の変化がごく小範囲に留まっているので、耳下側の棒グラフがボーダーラインと判定されているだけです。残念。
 この辺が、この器械の限界でしょうか。つまり、これをより鋭敏に判定基準を設定してしまうと、今度は、偽陽性率が高くなりすぎ、使えない器械になってしまうのです。そうでなくても、このHRTⅡは、非常にしばしば?偽陽性を連発してくれますから。患者さんに説明するとき、偽陽性結果をこれはちがいますから・・・と説明することがいかに多いか。これじゃ、なんだか、よく分からない事態ですね。これじゃ、折角の器械をほめてないように聞こえますが、自動診断に問題があるだけで、結果をうまく利用すれば非常に大きな力を発揮してくれるのです。共焦点レーザーで測定した乳頭に関するデータそのものは、大変有用なのですから。
(続く)
by takeuchi-ganka | 2007-03-25 19:16 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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