当院の検査機器の紹介:HRTⅡ(その6)
2007年 04月 01日
前回は、HRTの話にたどり着きませんでしたが、緑内障を管理する上で重要なことは、緑内障の進行を認めることと書きました。その進行速度を表す一般的な方法として、MDのグラフの傾き(MD slope)を紹介しましたが、このHRTⅡにも、緑内障の悪化を判定するプログラムが用意されています。
※Progression analysis

この図は、撮りためた画像を並べて、最初の画像と比較しています。緑内障が進行するということは、神経線維が脱落することですから、進行すると網膜面の高さが低くなります。有意に低くなると、赤く表示され、その逆だと緑に表示されます。つまり、赤い表示の部位が増えれば緑内障は進行していることを意味します。進行しているのが明らかな場合は、右へゆくほど、赤い部分が増えていきます。
※Topographic Change analysis

これは、最初に獲得した画像(左)と、現在の画像(右)を比較しています。先の図と同じで、赤い部位は、悪化した部位です。ここでは、NFLDの内上方縁が赤くなっていて、緑内障が進行中であることがわかります。
また、右の画像の任意の部位をクリックすると、左の画像の対応する部位と比較して、高さの変化を下に表示してくれます。 ただ、右の画像が半年後の画像だとして、半年で5μm低くなったことの意味を、まだ私には、判断しかねているのが現実ですが・・・・
※左眼結果報告(stereometric progression chart : rim area)

HRTⅡは、乳頭画像から数多くのパラメーターを計算してくれますが、その経時的変化を見ることができます。非常に多くの種類のグラフ表示が可能なのですが、ひとつだけ紹介します。
この場合、視神経のリム面積を神経全体、耳側から上方、耳側から下方と3種類の数字の経時的変化をグラフ化したものです。すると、この場合、耳側から下方のリム面積が経時的に減少しているのがわかります。この部位は、最初からNFLDが見られる部位で、ここでのみ、緑内障性変化が進行しているようです。他の部位は、殆ど変化がありません。こういった解析は、視野の変化がまだない、極早期緑内障の管理において、私の力になってくれそうです。