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第36回関西医科大学眼科同窓会総会

第36回関西医科大学眼科同窓会総会
関西医大枚方病院13階講堂


爽やかな風が吹く、好天の皐月だというのに、芝生の上ではなく、淀川の横に聳え立つ関西医大枚方病院の勉強会に行ってきました。会場から、河川敷公園を見下ろすと、皆、気持ちよさそうに遊んでいます。私は、なんで、こんな会場にいるのか・・・・不思議な気分でした。
今回は、風邪気味で体調不良なので、途中退席しましたが・・・途中までの報告です。

1、傾斜乳頭症候群にポリープ状脈絡膜血管症を合併した症例(教室)
このtilted disc は、強膜の形成異常で、視神経乳頭と黄斑部を含んで、それより下方の後極部の強膜が後方へ拡張膨隆します。すると、この後部強膜ぶどう腫の辺縁が黄斑部を横切ることが多く、網膜色素上皮・脈絡膜が変性を来たすことをしばしば経験しますが、この辺縁の健常側に稀に脈絡膜新生血管が発生します。文献では、1.8%だそうです。今回の発表は、狭義AMDじゃなく、PCVです。珍しいらしいですが、PCVが時にそうなるように、今回も自然退縮したそうです。
 ※通常は、2型? PDTした症例もあるようですが、デリケートな病巣なので、将来はアバスチンの出番でしょうか・・・

2、加齢黄斑変性の視力良好例に行った光線力学療法(教室)
AMDに対するPDTは、視力0.1から0.5が対象となりますが、0.6以上の症例を検討した結果です。視力0.6以上といっても、放置すれば必ずや0.5以下になるであろうと予想される症例?(ホンマかいな)だそうです。抽象的な言い方じゃなく、出血・浮腫・硬性白斑などの所見がどんな場合にそう判断しているのかは、成績よりも、ずっと聞きたかったですね。
 結果は、PCVと狭義AMDに大きな差があり、PCVは、積極的にPDTをしてよさそうですが、狭義AMDには細心の注意をもってする?細心とは?この説明こそが、実は一番大事だったりして・・。平均PDT回数が、1.4とか2.0とかは、あまり興味ないのです・・・。

3、結核治療後に発症した静脈周囲炎の1例(教室)
 結核性リンパ節炎の治療後にぶどう膜炎発症。周辺部をよーく見ると静脈周囲炎。ほっといてもよさそうな軽度の周辺部のみの炎症。教授が言われたように、サルコイドーシスなら経過観察のみでしょうが、結核の場合は、『ほっとけない!?』 抗結核治療を継続させつつ、ステロイド内服で治療して、治ったそうです。

4、急性網膜壊死に対する硝子体手術の検討(教室)
 急速に進行する、この恐ろしい疾患は、見つけ次第、全力投球の治療開始です。アシクロビル点滴、ついでバラシクロビル内服。ステロイドは大量投与・・・・
 病巣は、周辺部から後極に向かって急速に進行します。放置すれば、網膜は必ず全剥離となって失明します。薬物治療で、進行を阻止する。阻止できたと思っても、周辺部の網膜はぼろぼろ、無数の孔があく。硝子体の牽引が強くなれば、確実に剥離に進行するので、機を見て硝子体手術を行うのです(このタイミングが問題なのでしょうが、あまり詳しく説明してくれません・・・)。硝子体を切除し、病巣の後極側を網膜光凝固し、シリコンオイルを入れることが多い。ただ、この病気が怖いのは、ここで一旦落ち着いたように見えても、シリコンオイルを抜けないことがある。実は、UBMで何度か確認しましたが、病初期に毛様体に非常に強い炎症があり、通常の何倍も分厚く腫脹しているのを見たことがあります。きっと、その後、毛様体は荒廃し、房水産生機能が著しく落ちているのでしょう。シリコンオイルは抜きたくても抜けない・・・。抜くと萎んでしまう?

5、済生会野江病院における硝子体手術成績(済生会野江)
手術が上手なM先生(ヨイショ!)が部長に就任し、良好な成績を引っさげて乗り込んできました。この報告入れて4題も。ここでは、黄斑円孔、網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、黄斑前膜・・・など。ご立派。

6、網膜静脈分枝閉塞症の黄斑浮腫に対する硝子体手術の成績(済生会野江)
これも、それなりの成績?。
非常にありふれた疾患ですが、最近、治療のメインとなるべき候補が次々と登場しています。
①経過観察、②網膜光凝固、③トリアムシノロン(ステロイド)、④硝子体手術(単純・ILM剥離・・)、⑤tPA(血栓溶解)、⑥抗VEGF・・・・・また、これらの組み合わせもあり、まさに百花繚乱?!それとも単なる決定打不足?今回の報告は、シンプルな硝子体手術のみのようです。成績はそれなり?

※こういった身内の勉強会では、今どんな治療が行われていて、それぞれの治療の評価はどうなっているのか、網膜光凝固の占めるポジションはどのあたりなのか・・・なども教えて欲しいものです。
※この疾患は、自然経過を見ていると、時間が経過とともに予想以上良くなったりすることがあります。もちろんそうでないこともあるのですが。新しい様々な治療は長期の評価を待つことなく、次の新しい治療に変わったり、改良されたりしているように感じます。新しい治療の長期成績を自然経過と、或いは、網膜光凝固のみ行った場合の経過との比較などが、十分に行われているか疑問です。確かに、手術すれば短期的には黄斑浮腫は早期に改善するのでしょうが、半年後、1年後に自然経過・網膜光凝固のみに比べて、どれほどのアドバンテージがあるのかを教えて欲しいものです。

7、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対する組織プラスミノーゲン活性化因子治療(教室)
 効果的に血栓を溶解する作用の強い tPAを直接硝子体内に注入する治療です。通常4万単位入れるそうですが、網膜毒性を考慮して、4000単位。非虚血型には、有効だが、虚血型には無効。これは決定打になれる?

8、血管新生緑内障を伴う増殖糖尿病網膜症に対するbevacizumab の有効性(教室)
 これは、非常に有効で、新生血管はすぐに退縮する。その間に、PRPすればいいし、手術してもいい。手術成績も良好です。本当に、アバスチン様様です。

9、レーシック希望者に対する老視治療目的のマルチフォーカルIOL挿入術(フジモト眼科)
もうすぐ市民権を得るでしょうか?レーシック希望者って、どんな人たちなのでしょうね。私には理解できかねます。

10、極小切開白内障手術の検討(上方角膜切開2.3mmと2.75mmの比較)(済生会野江)
角膜切開も3.0mm以内になれば、術後感染に対するリスクは高くならない?ほんまか?

11、済生会野江病院における緑内障手術成績(済生会野江
白内障・硝子体そして緑内障・・なんでも出来ることの証明です。ご立派。

12、最周辺部までの硝子体切除が必要であった悪性緑内障の2例(教室)
 悪性緑内障は、ごちゃごちゃ治療していないで、硝子体全部とれば治る・・・に決まってるよね。でもそれじゃ芸がないなあ・・。メカニズムを解析し、ピンポイントでブロックを解除できれば、侵襲が少なくてもっと素敵だけどね。症例1の右眼の手術の必要性については、もう少し悩んでもいいような・・・。前房はまだ深いのだから、房水はそんなに後方にトラップされていない。この時点で、ヤグすれば何とかならない?前房の深い場合と浅い場合で、毛様体ブロックのヤグレーザーに対する抵抗性が違うかもしれんし、UBMで経過みたら、いろんな事がわかったかも・・・・?手術は上手だから、結果がいいのでそれでいい・・?

13、成人の機能性視力障害の1例(長吉総合病院)
 なんかよくわからん。

14、湖崎眼科の斜視手術の成績(湖崎眼科)
 さすが、湖崎眼科。約1000の斜視手術の検討。今後シリーズ化されるようですが、まずは総論的な発表でした。皆さん、斜視は、湖崎眼科に送りましょうか。
 
15、当院における網膜色素変性症の現状(山下眼科)
 ちょっと、意識が遠のいてしまいました・・・(失礼)

16、えっ?眼から虫? 東洋眼虫の1例(福島眼科)
 福島君。おいしいネタ見つけたね。目が覚めました。
クリック
ネット上で写真を見つけました。これは犬のようですが・・
Commented by kurume-jin at 2007-05-23 01:46 x
 解説ありがとうございました。演題1,3,4 あたりを聞きたくて、朝1番の飛行機(福岡7時30分発ー伊丹空港8時30分着)でぎりぎり枚方10時に間に合う予定だったのですが、出発直前(もう機内でベルト締めていました)に整備不良で欠航になり、なんと関空に連れて行かれてしまいました。で、結局11時枚方着で大遅刻!。憎っくきJALめ!
Commented by take at 2007-05-23 16:03 x
お疲れ様。ANAはなかったの?JALはなるべく避けないとね。
by takeuchi-ganka | 2007-05-20 23:37 | 学会報告 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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