とっても眼にいい〇×べりー2

 齢のせいか、愛犬のためか、早起きになってしまい、テレビをつけても、5時台に面白い番組はなく、気がつくと、『ジャパネットたかた』にハマリ・・・再び気がつくと、我が家に高圧洗浄機なるものがあったりします。何でも綺麗にしてくれる優れものです。ところで、その番組のあと?合間に?〇×ベリーなる眼に良いとされるサプリメントの宣伝が延々続きます。私は、この『眼にいい』という抽象的でいい加減な言葉が嫌いです。少々むかついてきたので、サプリメント第4弾です。
 今回は、アントシアニン。これは、前回のテーマ、〇×ベリーに含まれる最も重要な成分で、とっても『眼にいい』らしい。疲れはとれるし、ドライアイも治るし、視力まで回復する。老眼鏡も要らない・・・?ホンマかいな。
 でも今回は、全否定じゃありません。ただ、オキュバイトやアスタキサンチンと異なり、国立健康・栄養研究所の『健康食品』の安全性・有効性情報によれば、ヒトに対して有効と判断される科学論文はないとされています。ただ、少し検索すると、関連論文が出てきます。眼精疲労や夜間視力などについて、論文がなくはないのです。
1、あたらしい眼科23(1):129-133,2006  
VDT作業時の調節機能低下へのカシスアントシアニン摂取の影響

※若い人にカシスアントシアニン50mg摂取して、2時間ほどパソコン作業させたところ、自覚的には差がないが、屈折値の近視化を抑え、調節近点距離の延長を抑制したので、眼精疲労の予防になるかもしれない・・
2、Br J Nutr. 2005 Jun;93(6):895-9.
Purified high-dose anthocyanoside oligomer administration improves nocturnal vision and clinical symptoms in myopia subjects.
3、Altern Med Rev. 2000 Dec;5(6):553-62.
Effects of black current anthocyanoside intake on dark adaptation and VDT work-induced transient refractive alteration in healthy humans.

※これらは、眼精疲労に若干肯定的
4、Altern Med Rev. 2000 Apr;5(2):164-73.
The effect of bilberry nutritional supplementation on night visual acuity and contrast sensitivity.Muth ER, Laurent JM, Jasper P.
5、Eye. 1999 Dec;13 ( Pt 6):734-6.
The effect of anthocyanosides in a multiple oral dose on night vision.Zadok D, Levy Y, Glovinsky Y.

※これらは、その有効性を認めていない。
 他にも、関連論文ありますが、肯定的な見解もありますが、否定的な見解もあり、効果があるとしても、それほど騒ぐほどのことはないようです。

 ただ、商業資本による宣伝効果は絶大で、一般市民においては、アントシアニンは眼にいい・・は、不動の常識?となっているようです。どうも、商業目的に流される情報は、普通の人には、まさか真実でないとは思われないような切実さで、訴えてきます。それに引き換え、我々の流す、正しい情報は、そっけなくて全く面白みのないものなので、アピール度では全く歯が立ちません。癌が治るといえば、センセーショナルですが、治らんといっても、アピール度零です。まあ、ここのHPは、主として、当院の患者さんに対するメッセージですので、アピール度は低いですが、せめて当院の患者さんだけでも、無駄な金の使い方をされぬよう、正しいデータを提供したいと思います。

 ブルーベリーやヒルベリーからアントシアニン(Anthocyanin)は抽出できます。これは事実です。アントシアニンは、抗酸化物質として有名なポリフェノールのひとつです。これも事実です。そして、抗酸化物質が、様々な疾患の予防に繋がるらしい・・・・から出発して、金になると判断した商業資本が非常に大きな流れをつくったのでしょうか。微力ながら、高価なサプリメントのひとつである。〇×ベリーなる商品が意味があるのかどうか検証してみましょう。

 網膜外層には、視細胞という光刺激を最初に受容して、電気的な信号に変換する細胞があります。この視細胞には、明所で機能する錐体(cone)と暗所で機能する桿体があります。錐体には、3種類のオプシンがあり、桿体には、ロドプシンと呼ばれる視物質が存在します。
再利用される場合の流れ:ロドプシンは光を吸収すると不安定となり、直ちに数段階の反応を経てオプシンとall-transレチナールに分解される。all-transレチナールは、視細胞外節の酵素でall-transレチノールとなって網膜色素上皮へ。
外から摂取する場合の流れ:ビタミンAは、βカロチンの形で摂取。小腸でレチノール。肝臓に貯蔵。必要に応じて、all-transレチノールとして、網膜色素上皮へ。
11-cisレチノールは、視細胞から要請があると、酵素によって、11-cisレチナールとなり外節へ。オプシンと結合して、ロドプシンが合成される。
 つまりロドプシン供給には、分解したロドプシンの再合成と摂取したβカロチン系の二つあるようですが、広告宣伝をみるとこのロドプシン再合成にアントシアニンが関わっているというのです。だから、『眼にいい』?。ロドプシン再合成が間に合わないって状況が発生しているのでしょうか?経口摂取すれば、再合成が促進されて?、それで何に良いのでしょう?

 例えば、〇×ベリーはこんな方におすすめ!?だそうです。
・視野の健康維持         → 眼疾患を発症しなければ、視野は一生正常です。治療しなければ、維持できない視野なのなら、〇×ベリー飲んでる場合じゃない。
・疲れ目やかすみ目が気になる方→ 眼科医の診察を受けた上で、適切な治療をしましょう。ドライアイ・白内障・ぶどう膜炎・・〇×ベリー飲んでる場合じゃない。
・眼鏡を手放せない方       → 屈折・調節異常があるので、眼鏡はそのまま使いましょう。
・小さい文字が苦手な方      → 老眼鏡が適切かどうかチェックを受けてください。
・文字がぼやける方         → 眼科医の診察を受けた上で、老眼鏡が適切かチェックを受けてください。

 国立健康・栄養研究所の『健康食品』の安全性・有効性情報のHPによれば、少なとも、医学文献で、アントシアニンの有効性を証明したものは全くないようです。体に悪いものが入ってなけりゃ、それでいいですか。何の役にも立たなくても・・・。私は、規則正しい生活して、和歌山のみかんでも食べてる方がよっぽどいいと思いますが。
by takeuchi-ganka | 2007-06-05 07:24 | その他 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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