主治医が見つかる診療所

 なんだか、緑内障の話をされる患者さんが多いと思ったら、例によって、テレビ番組で緑内障の特集をやっていたようです。残念ながらオンエアーは見過ごしてしまいましたが、たけしの番組のように、またまた患者さんの恐怖感をあおっていたのでしょうか。
 話の源泉は、『主治医が見つかる診療所』とうい番組のようで、スペシャルゲストの大橋巨泉が緑内障で片眼がほぼ失明状態なのだそうです。緑内障というのは、その病気の特殊性から患者さんは、恐怖感をあおられることがしばしばあります。今回も?・・・
(以前、朝丘雪路さんが加齢黄斑変性だと書きましたが、巨泉さんは緑内障のようで、11PMコンビは眼疾患に祟られているのでしょうか・・)

注:緑内障といっても何種類もあるのですが、ここではそのうち二つのみ取り上げます。
 ①:原発開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障)
 ②:原発閉塞隅角緑内障

 さっそく、番組のHPを覗いてみました。なんだか恐ろしい文言(『赤字』)が並んでいますが、私なりにコメントをつけてみましょう。

『発症すると、目の神経が徐々に破壊されて視野を奪っていく。』
 これは基本的には①のことでしょう。ある意味正解かもしれませんが、緑内障は、非常にゆっくりしか進行しません。急激に視野が悪化することはないのです。比較的早期に発見された緑内障が失明することは殆どありません。発見が遅れると、残念ながら、失明してしまうこともありますが、その場合でも、他眼がよく見えていることが多く、だからこそ、発見が遅れるわけで、つまり、両眼失明の危機は、更に稀なのです。

『発症すると、目の神経が徐々に破壊されて視野を奪っていく。』
『失われてしまった視野は二度と元に戻ることはなく、症状が進行すると、その先に待ち受けるのは…失明!』

 これも①で、後半は①②共通です。ただ、こう言われてしまうと、何だか真綿で首を絞められるような恐怖感を覚えますよね。この文章に嘘はないのかも知れませんが、これでは怖すぎます。
 実は、『発症すると・・・』といいますが、いつ発症しているかどうかは、誰にもわかりません。強いて言えば、生まれつき徐々に緑内障に移行するようにプログラムされているのです。ゆっくり10年も20年もかけて、正常の視神経から緑内障の視神経へと、徐々に移行してゆくのです。緑内障と確実に診断できるまで、かなり時間がかかるのです。逆に言えば、40過ぎて、一度、緑内障の専門医が視神経乳頭を見れば、それほど、高度な機械を使わなくても、全く正常なのか、将来緑内障の可能性がある眼なのか、既に緑内障なのかは比較的簡単に判断できるのです。
 確かに、既に進行してしまった視野は戻りませんが、通常、緑内障は、視野欠損を自覚して来院されることは稀で、自覚症状は殆どないまま、たまたま、発見されることが多いのです(かなり進行してる場合も)。つまり、緑内障だとしても、その時点では、患者さんは、生活に不便を感じていない筈です。その後、緑内障が、急激に進行することはないのですから、失明の危機にさらされている患者さんの数はそれほど多くないのです。確かに、若い(40、50歳台)人が、診断された時点で、中期以降の場合、その視野を守るのは、結構キツイものがありますが・・・

『ここ最近、緑内障の患者は増加の一途を辿り、現在54万人。』
『40歳以上の、20人に1人がかかるといわれ、誰もが発症する恐れのある目の病』

 これも、緑内障が増加しているのではなく、発見される患者数が増えているのです。大規模スタデイを行った結果、緑内障は、そのへんに転がっている病気であることがわかったのが原因でしょう。潜在患者が非常に多くて、40歳以上の20人に一人もいるらしいと。また、今でも、緑内障の殆どは、まだ未発見なのだそうです。だから、緑内障は、決して怖いものではありませんが、非常に多い疾患なので、40歳以上の人で、まだ緑内障を疑った検査を行ったことのない人は、一度検査を受けてみてください。お待ちしております。
Commented by 中谷 康子 at 2007-07-04 08:44 x
お礼をいいたかったのだけど、どこへ書いたらいいのかわからないのでここに書かせてもらいます。
人間ドックで「緑内障性視神経乳頭陥凹の拡大」と診断され、精密検査(視野検査)を受けました。
「正常眼圧緑内障」の疑いで3ヵ月後に再検査を受ける予定です。
病院で受けた説明と同じことがここに書かれているので、安心しました。
これからも参考にさせてもらおうと思います。
どうもありがとうございました。
(それにしても視野検査って短時間のわりに疲れますね)
Commented by takeuchi-ganka at 2007-07-04 08:58 x
視野検査が一番重要な検査で、これをしない訳にはゆかないのです。もっと、負担が少なくて視機能を正しく評価できる方法があればいいのですが・・。しっかり治療続けてください。
by takeuchi-ganka | 2007-06-30 16:51 | 緑内障 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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