視力0.8の眼鏡

 しばしば患者さんは、眼鏡を視力で表現されます。
 『この眼鏡は0.8の眼鏡です。少し度数アップして、1.0にした方がいいでしょうか・・・』などと。
我々は、眼鏡を処方(度数を決定)する場合、このような表現をしません。ただ、それじゃこの話は終わってしまうので、しばしば患者さんの言われる『視力0.8の眼鏡』という言葉につき合ってみます。
 眼鏡処方については、1冊教科書が書けるほど様々な事柄があるのですが、あまり難しい事は書けないので、書きません。
まず、眼鏡をかける理由を挙げてみます。


子供の場合
1、近視:遠くが見えにくい、黒板が見えにくい。
2、遠視:弱視になる可能性、眼が疲れる、近くが見にくい、遠くも見にくい・・・様々
※(乱視:近視性乱視は近視に、遠視性乱視は遠視に準じて対応。)

大人の場合
1、近視:遠くが見にくい
2、遠視:近くが見にくい、眼が疲れる、遠くも見にくい。
3、老視:眼が疲れる。近くが見にくい。



例1:子供の近視の眼鏡を作る場合
先ず、視力測定します。
裸眼で、0.1。
-3.0Dの凹レンズをかけて1.0の視力が出た場合、
0.1 (1.0×S-3.0D)
 ただ、この子供が初めて眼鏡を掛ける場合は、-3.0Dのレンズでは頭が痛くなったり、眼が痛くなったり、くらくらしたり・・と掛けずらいこともあります。
そこで、少し弱めで、0.5D度数を下げて、-2.5Dにすることがあります。それでも掛け難い場合は、-2.25Dか、-2.0Dにすることもあります。勿論、小学生も高学年になれば、0,7以上の視力が必要なので、-1.0Dやー1.5Dじゃ意味がなく、多分ー2.0D以上の度数が必要だと思います。度数決定は、このように簡単な近視でさえ、必要な視力と装用可能な度数との妥協点を見つける作業となります。結果として、『視力0.8の眼鏡』になるかもしれませんし、『1.0の眼鏡』になるのかもしれないのです。

例2:大人の眼鏡(45歳)
裸眼で、0.1。
-3.0Dの凹レンズをかけて1.0の視力が出た場合、
0.1 (1.0×S-3.0D)
  ここで、-3.0Dの眼鏡を処方すると、どうなるでしょう。当然遠くはハッキリと見えます。ただ、加齢に伴いう徐々に低下する調節力は、この歳(45歳)なら約3Dです。つまり、このー3Dの眼鏡をかけると、読書をする場合、持っている調節力全てを使い切らないと読みにくいし、少し疲れてくれば読みにくいし、非常に疲れやすい眼鏡になってしまうのです。つまり、この『1.0の眼鏡』は駄目で、度数を-2.5Dか、-2.0Dに下げることになります。0.5D下げて、-2.5Dにすれば、遠方は0.8程度の視力になるかも分かりませんが、読書をするのには、2.5D調節力を使えば言い訳で、0.5Dの余裕が生まれます。つまり、『視力0.8の眼鏡』は、遠くもまあまあ見えるし、近くもストレスなく見えるので、『1.0の眼鏡』よりも掛けやすい眼鏡になります。

症例3:大人の眼鏡(遠視)(45歳)
裸眼で、0.4
3.0Dの凸レンズをかけて1.0の視力が出た場合
0.4(1.0×S+3.0D)
 この場合、度数を下げて、2.5Dや2.0Dにした、『視力0.8の眼鏡』は、遠くも見えにくいし、持っている調節力3.0Dをフルにつかっても、読書が困難な眼鏡となってしまいます。『1.0の眼鏡』でなければ駄目なのです。

 このように、眼鏡は、屈折異常の種類や程度、年齢、職業、眼鏡装用歴などを総合的に判断して、その眼鏡の種類や度数を決定する必要があるのです。当然、時間をかける必要があります。簡単に、『視力0.8の眼鏡』にしておこうという訳には行かないのです。最近、コンビニのような眼鏡店が多くなってきましたが、非常に残念な現象だと思っています。ただ、眼鏡にファッション性を求めても、屈折矯正・調節力補正能力に関しては、適当でいいと思っている人が多いのでしょうか。眼鏡作成前には、必ず眼科を受診してくださいね。
by takeuchi-ganka | 2007-07-05 11:15 | 眼鏡 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31