スリーサム イン東京(その3)

ランチョンセミナー(ロート製薬)
老視矯正! メガネVSコンタクト


弁当と実益を兼ねて、ランチョンへ・・・・。
実に興味深いテーマでしたが、会場がわかりにくく、辿りついた時、既に弁当はなく、食いっぱぐれてしまいました。東京医科歯科の先代の教授:所先生が座長で、パネリストは、梶田眼科の梶田先生、ウエダ眼科の植田先生、しおや眼科の塩谷先生の3名です。

老視を理解する為に・・・

屈折異常を遠点で区別してみると、

近視:眼前有限距離
正視:∞
遠視:(後方有限距離)


この遠点というは、調節安静位と若干異なるのですが、無調節の状態で、ピントがあっている点のことですが、近視の場合は、眼前有限距離、つまり近くのどこかにピントがあっているのですが、屈折異常のない正視は、無限遠で、遠視はどこにもピントがあっていません。
ただ、我々?には、調節力があるので、少し調節して、約1mほどの距離に焦点を合わせているようです(調節安静位)。
ただ、加齢に伴い調節力は直線的に落ちてゆきます。
20歳で9D → 30歳で7D → 40歳で4D → 50歳で2D → 60歳で1D。
調節力が下がると、遠点はそのままだけど、近点が遠ざかり、調節域(ピントがあう範囲)は狭くなるのです。

図(年齢と調節域)

スリーサム イン東京(その3)_f0088231_20581094.jpg

この図は、正視の人の調節域(ピントがあう範囲)です。20、30歳の調節域の広さに比べて、50、60歳の調節域の狭さが歴然としているのがおわかりでしょう。この狭い範囲から外れるとボケるのです。年をとるということは不自由になることなのです。
点線の位置が読書の際の距離ですので、屈折異常がない場合、45歳から50歳の間に、老眼を自覚することになります。


図(年齢と近点)

スリーサム イン東京(その3)_f0088231_210503.jpg

次の図は、年齢と近点を表したものです(自作)。近点は、加齢に伴い徐々に遠ざかっていきます。青の線は、屈折異常のない場合で、30cmを越えるのは40歳過ぎですが、+3Dの遠視の場合(橙色)、なんと30歳です。また、-3Dの近視の場合(緑色)は、一生読書に不自由することはありません。このように、近くを快適に見ることができるかどうかという視点で見ていくと、遠視眼はとんでもなく不便な眼であり、近視眼は、一生快適な眼なのです。老眼と付き合う年数は長く、50歳の人間でさえ、平均余命を考えると30年以上。40歳なら40年以上です。この長きにわたる老眼人生を快適に送る工夫を考えねばなりません。(私は、-3.5D程度の近視なので、この緑の線よりも少し下に位置し、読書には困りません。大金払って、近視の手術を受ける人の気持ちが理解できません。あとで、苦労するのにね。)
私もこのブログに何度となく、累進屈折眼鏡の事を書いてきましたが、老視矯正:眼鏡VSコンタクトなら、絶対眼鏡に軍配を上げます。ただ、それでは身も蓋もないし、またコンタクトをどうしても手放せない人の為に遠近両用コンタクトの事を少し好意的に触れてみようと思います。
眼鏡のレンズに様々な設計があるように、コンタクトレンズのレンズ設計も様々で、それぞれが特徴を持っているようです。前提として、見え方の鮮明さが眼鏡に比べて劣るということを先ず受け入れることが必要なようですが・・・

1)フォーカス プログレッシブ(チバビジョン):中間がいいらしい。
スリーサム イン東京(その3)_f0088231_2124618.jpg

2)2ウィークアキュビュー・バイフォーカル(JJ):遠近はいいが、中間が見にくいらしい。
スリーサム イン東京(その3)_f0088231_2141943.jpg

3)ロートi.Q.14バイフォーカル
  Dタイプ:遠くがいいらしい。
  Nタイプ:近くがいいらしい。
  D-D,N-N,D-Nの3つの組み合わせあり。
スリーサム イン東京(その3)_f0088231_2151721.jpg

4)ボシュロムメダリスト マルチフォーカル:
Low:遠くと中間がよくて、近くは見にくいらしい。
High:近くがいいらしい。
スリーサム イン東京(その3)_f0088231_2154576.jpg


このようにレンズの特徴を理解した上で、患者さんのライフスタイルに合わせてチョイスすることが必要なようです。

症例1 45歳男性
RV=1.2(1.2×S+0.5D), LV=1.2(1.2×S+0.5D)
コンタクト・眼鏡使用歴なし。
最近、近くが見にくい。

対策
軽い遠視があるため、初期の老眼の症状が強く出て、近くが見にくいと感じている状況です。若い頃から、眼がいいのが自慢といったタイプ?。
1、単焦点の眼鏡
+0.5Dで、遠視分だけ矯正。必要な時だけ掛ける様に指示しながら、常用を目指す。
+1.0Dと強めにして、自分の調節力があるので、中・近として使う?
2、累進屈折眼鏡
   裸眼視力が1.2あるので、常に眼鏡を掛ける事には抵抗があるので、近用眼鏡代わりに、遠視の矯正+1.0加入の眼鏡を使う。
3、遠近用SCL
ただ、あまり現実的でない。

症例2 47歳男性
職業:公務員
主訴:眼精疲労

RV=0.05(1.2×S-6.5D)
LV=0.05(1.2×S-6.0D)
使用しているソフトコンタクトレンズ: 右 -7.00D、左 -6.50D
遠方視力
RV=(1.2×SCL),(1.2×SCL×S+0.5D)
LV=(1.2×SCL) ,(1.2×SCL×S+0.5D)
※0.5Dほど過矯正。
近方視力
RV=(0.4×SCL),(1.2×SCL×S+1.5D)
LV=(0.4×SCL) ,(1.2×SCL×S+1.5D)
※過矯正分もあり、+1.5D程度の凸レンズ加入が必要。

対策
 要するに、コンタクトレンズが過矯正で、症例1と同じように、SCL装用時は、遠視眼のようになっている。初期の老眼もあり、当然近くは見にくいし、見えていても、非常に疲れる筈。職業柄、パソコン作業や書類に目を通すことが多いと思われるので、眼鏡を進めたいところだが・・・・
1、コンタクトレンズへの依存度の高い人で、眼鏡装用は難しいので、まず遠近両用コンタクト。
ロートi.Q.14バイフォーカルのDタイプにトライする。
2、単焦点のコンタクトで、先ず過矯正を正してから、その後ロートi.Q.14バイフォーカルのDタイプへ。
最終的には、累進屈折眼鏡だが・・・
3、過矯正を正して、ロートi.Q.14バイフォーカルのDタイプ(加入1.0~1.5D)
※スポンサーへの配慮か、全員がロートi.Q.14バイフォーカルのDタイプの名をあげられました。

症例3、52歳女性
ソフトコンタクトレンズを25年している。
RV=(1.2×S-4.5D),
LV=(1.2×S-4.25D)
 使用ソフトコンタクトレンズ:右 -3.25D, 左 -3.25D
遠方視力
RV=(0.6×SCL)、(1.2×SCL×S-1.0D)
LV=(0.6×SCL)、(1.2×SCL×S-0.75D)
※0.75~1.0D低矯正
近方視力
RV=(0.8×SCL)、(1.2×SCL×S+0.5D)
LV=(0.7×SCL)、(1.2×SCL×S+0.75D)
※低矯正にしても、0.75Dの凸レンズ加入が必要。

対策
 長年ソフトコンタクトを使用。老眼があるので、度数を落として、何とか近くが見えるようにしているが、老眼が進み、これ以上度数を落とすと、近くが見えても遠くが見えないことになる。このようなケースが一番難しいのです。つまり、コンタクトレンズを離せない。眼鏡の方が100倍快適だといくら説明しても、納得していただけない。どうしてもコンタクトなのです。この点は、パネリスト全員同じ意見。
1、眼鏡は先ず駄目。
  遠近用コンタクトを
2、現在コンタクトで、遠方視力0.6程度なので、遠くにはこだわりがないから、中間・近用重視のコンタクトつまり、ロートi.Q.14バイフォーカルのNタイプ
3、近方視力も0.7—0.8で、加入が0.5-075入るので、近くもあまり困っていないとの判断で、ロートi.Q.14バイフォーカルのDタイプという方も・・

※つまり、専門家でも、このようなよくある症例において、対策は必ずしも一致しないようです。患者さんの性格をどう読むかということもありますし、対策は何通りもあるということでしょう。
by takeuchi-ganka | 2007-07-12 21:07 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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