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シリーズ不定愁訴 第一弾:『目がしょぼしょぼするんです・・・』

禁断のテーマ:不定愁訴

  このテーマに少しずつ触れてゆこうと思います。何故禁断のテーマかというと、詳しく話しをすれば、膨大な文章量になりますし、簡潔にまとめようと思うと、内容が貧弱になってしまい、適度な文章量で、的を得たインパクトのある文章を提供することが非常に難しいのです。だから、『よくあること』シリーズを第七弾まで書いてますが、この不定愁訴もシリーズ化して、少しずつ紹介していきます(と言いつつ、自分が勉強しているだけなのですが・・・)。
 疲れる・重い・痛い・しょぼしょぼ・かすむ・涙・充血・めやに・乾く・ごろごろ・痒い・眩しいなど10個以上のテーマについて紹介してゆく予定です(全部はやらないと思いますが・・)。大学にいた頃、明らかな結膜炎や角膜の傷がなければ、散瞳して眼底みて、異常がなければ、『あなたの眼は異常がない!』と強く断言し、帰って頂いたような記憶がなくもありませんが、あの頃、最も苦手な主訴の1つ『眼がしょぼしょぼするんです・・・』についてです。緑内障、網膜剥離や加齢黄斑変性はすぐに診断できても、『しょぼしょぼ』の原因は分かりにくい。大丈夫だと言っても、許してもらえない。手ごわい主訴なんですね。私なんかは、夜眠くなると『しょぼしょぼ』しますが・・・・

ということで、第一弾は 強敵 『しょぼしょぼ』 です。

何を考えましょうか?

Ⅰ 前眼部、特に眼瞼、睫毛、角膜、結膜の状態。
Ⅱ 屈折異常・調節異常などに関連した問題。


この二つから攻めてゆきますが、長くなるので、今回はⅠのみで、Ⅱについては、後日にします。

細隙灯顕微鏡で簡単に見つかる原因は、あまり強敵ではありませんが・・・先ず、前眼部の様々な疾患から・・

1、睫毛乱生・内反症
 これは、頻度的には高いでしょう。ただし、診断は容易です。睫毛乱生は、電気分解という方法もありますが、再発するので、通常は何度も繰り返し、睫毛抜去します。内反症は、高度の場合手術です。最近は、形成外科の先生にお願いすることにしています。
睫毛乱生
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内反症
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2、麦粒腫・霰粒腫
 この二つは別の愁訴の事が多いと思います。前者は、痛みが前面に出ますし、後者は症状が少なく、『腫れ』そのものが主訴だったり、ただ小さな霰粒腫なら、今回の愁訴の原因になるかもしれません。どちらにしても、そう長引くことなく解決します。
麦粒腫
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霰粒腫
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3、眼瞼縁炎、マイボーム腺炎
  このふたつは意外と難問です。病態の把握が難しく、症状が強くないわりに、治療は難しく、時間もかかるようです。
1)眼瞼縁炎
 感染性じゃなく、脂漏性のもので、瞼縁の不快感が強く、この愁訴の大きな原因のひとつだと思います。重篤な疾患じゃないですが、治療はなかなか困難です。教科書的には、コンタクトレンズ洗浄液のような刺激性の低い界面活性剤で丹念に根気よく洗浄するしかないようです。感染を伴えば、抗菌剤の点眼を併用することになります。
2)マイボーム腺炎
 眼瞼炎を前部眼瞼炎と後部眼瞼炎とに分けることができますが、眼瞼皮膚から睫毛までが前者で、マイボーム腺付近の炎症が後者になります。すると、このマイボーム腺炎は、後部眼瞼炎となります。中々難しいですが、閉塞性マイボーム腺機能不全が本態のようで、眼瞼結膜炎も伴っていますが、これが角膜上皮障害を伴い、不快な症状の原因となることがあります。中々治療は困難かもしれないですが、症状が強ければ放置できないので、
アイホットと呼ばれる専用器具もあるようですが、要するに眼瞼を暖めて、マッサージする。更に、マイボーム腺開口部を清拭する。更に抗菌剤投与も行う・・・などが治療法とされています。
マイボーム腺炎
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4、ドライアイ
  最も重要な原因かもしれません。涙三角の高さを見て、フルオレセインで染めて、BUTの時間、角膜のSPKの有無や結膜の点状染色の状態などを見れば、大よその判定がきます。疑わしければ、ドライアイの治療をすればいいのです。
ドライアイ
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5、結膜弛緩症
 これも、10年前なら無視していたかもしれませんが、この手の愁訴の原因としては重要な原因のひとつのようです。年をとれば、顔にシワができてたるむように、結膜もたるむのです。たるんだ結膜が涙三角の場所を占拠してしまうと、時に涙を伴うドライアイ症状を呈することがあります。愁訴が強ければ、結膜を切除することがあります。
結膜弛緩症
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6、結膜炎
 これは、見ればすぐに分かりますので、通常診断に迷うことはないでしょう。

7、翼状片、瞼裂斑
 これは、通常無症状でしょうが、大型になれば、結膜・角膜表面から隆起した分、涙液の均等な分布を妨げて、愁訴の原因になるかもしれないです。
翼状片
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瞼裂斑
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8、流涙
 ドライアイと反対に、高齢者の場合、涙点・涙小管・涙嚢・鼻涙管・・・と涙の排出ルートに通過障害は生じることが多く、完全な鼻涙管閉塞じゃなくても、微妙に涙液三角が高くなったり、常は症状がないものの、風にあたったりして、涙の分泌が増えると流涙があり、そんなことが愁訴の原因になったりもするようです。

9、コンタクトレンズ
  適切なケアがされない状況でのコンタクトレンズ装用、それによる角膜・結膜上皮障害、結膜炎などが原因になることは多いですし、異常所見がなくても今回の愁訴の原因になることは更に多いかもしれません。ただ、コンタクトレンズが原因であることが疑わしければ、対応に困ることは少ないと思いますが・・・・・例えば、少しドライアイ気味の人で、コンタクトレンズをしていて、パソコン端末を毎日何時間も操作する必要のある方であれば、若い人でも、当然今回の愁訴の対象になることはあります。私なら、コンタクトを中止して、眼鏡装用を強く勧めますが、コンタクトをどうしても止められないという方も多いのです。この場合、ドライアイ用の点眼を使用しながら、エアコンの風が当たらないようにして、パソコン端末の位置をなるべく下方に下げ、休憩を何度もとるように・・・・などとアドバイスしますが、中々快適とはいかないようです。


※ここに列挙した原因は、細隙灯顕微鏡で診断可能なものばかりですが、この『しょぼしょぼ』が強敵たる所以は、細隙灯顕微鏡では何の異常もないことが結構多いからです、何も異常がないけど、患者さんは、この愁訴を強く訴える。更に原因検索を続けねばなりませんが、それについては、第二弾で。
by takeuchi-ganka | 2007-09-07 14:11 | 眼の疲れ | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka