2007年 09月 24日
第18回日本緑内障学会 その5
『BAC-Free これからの点眼薬のあり方』
座長:白土白照 先生
基本的に、サンピロとチモプトールXEを除けば、殆どの緑内障点眼の防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAC)です。
0.02% キサラタン
0.015-0.016% レスキュラ(米国)、トラバタン(米国)
0.01% ベトプティック、エイゾプト、チモプトール(米国)
0.005% チモプトール、ミケラン、レスキュラ、トルソプト、デタントール
この辺りが標準的なBAC濃度でしょうか。どうも、BAC濃度を気にしているのは、日本だけのようです。或いは、一番BAC濃度が高いキサラタンが、最もシェアが大きいことが何か影響しているのでしょうか。
0.002% ハイパジール
0.001% リズモンTG
零 チマバック、ブロキレートPF、ニプラジロール(NP容器)
SofZia トラバタンズ
本当に、どこまでBAC濃度を気にする必要があるのかどうかは不明ですが、まあ、同じ内容の点眼なら、BAC濃度は低い方がいいのでしょう。もうすぐ、発売されるトラバタンズのSofZiaについては、未知の部分が多いですが、特にBAC濃度零の点眼は、皆、特殊な容器を使っています。チマバックは、大きくて評判悪いですが、日点のPF、わかもとのNP容器は、高く評価できます。若干押しにくいですが・・・
1、点眼薬の角膜への影響(近間:山口大)
点眼には、主剤と賦形剤があり、β遮断剤の場合は、主剤の毒性も時に問題にされますが、やはり賦形剤とりわけ、防腐剤が問題です。これには、BAC、パラベン、クロロブタノール・・などがありますが、非常に低い濃度で、強い毒性を示すのが、BACです。上述の如く、0.005%でも高いということで、更に濃度を下げようと努力されているぐらいですから。
2、防腐剤黄斑症(三宅三平:眼科三宅病院)
昔から、言われています。特に緑内障の点眼を長期にしている人は、白内障術後、高頻度にCMEが発症すると。但し、検眼鏡的に明らかで、視力が低下するものは稀なようですが。ジクロード点眼で予防できる。でも、今なら、日点のジクロスターPFを使うべき?術後、6ヶ月も使うようにと・・・・。ホンマ?
3、点眼薬における防腐剤―本当に必要か?-(竹鼻:共立薬大)
点眼薬には、主剤に加え、様々な添加剤が必要です。
①可溶化剤:有効成分を溶かす
②PH調節剤
③緩衝剤:pH変動防止
④等張化剤:浸透圧調整
⑤安定化剤:加水分解・酸化分解防止
⑥防腐剤:微生物汚染防止
防腐剤以外にも様々な物が入っていますが、最も問題になるのは、防腐剤で、一番頻用されるBACは、通常0.01~0.002%が有効濃度とされています。今でも、点眼を新しく作る場合の、第一選択のようで、これが駄目なら、パラベンやアルコール類を使うようです。
0.0001%から毒性があるようで、接触性皮膚炎、角膜上皮障害を引き起こします。
トラバタンズのSofZiaシステムは期待できる?
※いずれにしても、安定性をキープしつつ、BAC濃度零という選択肢が増えつつあるのは、嬉しいことです。