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第360回大阪眼科集談会

第360回大阪眼科集談会@薬業年金会館
平成19年9月29日

1、ボリコナゾールが著効した角膜真菌症の2例(阪大)
 少し間に合いませんでしたが・・・
 アゾール系抗真菌薬は,現在世界で最も多く使用されている抗真菌薬のグループで、代表的な誘導体は、イミダゾール系のミコナゾール(miconazole, MCZ)、トリアゾール系のフルコナゾール(fluconazole, FLCZ)、イトラコナゾール(itraconazole, ITCZ)があり、フルコナゾールでは一部のカンジダ属やクリプトコッカス属にその有効性は限定されていて、イトラコナゾールは剤型が経口薬に限られている。そこで、新しいアゾール系抗真菌薬が開発されつつあり、
①既存の抗真菌薬の剤型を改良
フルコナゾールのプロドラッグ
イトラコナゾールの注射薬,液剤
②ボリコナゾール(voriconazole: UK109496)(ファイザー)
※アスペルギルスやFLCZ耐性カンジダ属に良好な抗菌活性を示す。
の二つの戦略があるようです。今回の発表は、このポリコナゾールを点眼使用した発表なのでしょう。きっと有効だったのでしょう・・。聞いてませんが・・・。

2、特異な顔貌をした小児麻痺患者に対する眼窩脂肪摘出術(大阪警察病院)
 眼窩の形状と眼球の大きさ・位置の問題で、眼球が自然に脱臼する症例に行われた手術です。失明している眼に対して、本当にご苦労様です。

3、白内障を伴う黄斑上膜に対する白内障硝子体同時手術におけるIOLマスターの有用性(多根記念眼科)
 Aモードエコーは、IOLマスターに比べて、眼軸を0.2mmほど短く判定してしまう。これは、Aモードでは、ERMを捉えていて、IOLマスターがRPEを捉えているから?Aモードの波形は、どうなっているのでしょうね。この0.2mmの差は、それほど優位なのでしょうか?


4、白内障術前の診断が困難であった虚血性視神経症を合併した無色素性網膜色素変性症の1例(大阪医大)
IONの診断根拠なし?
白内障があれば、術前眼底みて、無色素性網膜色素変性症を診断できる人っているのでしょうか。診断できても、手術する訳だし・・・なんだかなあ・・

5、テノン嚢下麻酔下で硝子体切除中に発生した一過性網膜中心動脈閉塞症の2例(西眼科)
 白内障手術では、非常にポピュラーなテノン嚢下麻酔。殆ど合併症なんか考えたこともありませんが、これで、一過性網膜中心動脈閉塞?
 再手術で、結膜に癒着があり、麻酔液が拡散しにくいスペースに無理に大量の麻酔液を塊として入れると、生じる?術後発生した視野欠損の説明は?
  テノン嚢下麻酔といっても、大量(2ml、3ml?)入れる時は注意しましょう?もし、これが事実なら、以前球後麻酔(3-5ml)で、球後出血起こした時、この合併症は必発だった?

6、難治性ベーチェット病ぶどう膜炎に対するインフリキシマブの効果(阪大)
 期待の新薬レミケードです。やはり有効なようで。全身に対する影響、特に結核が問題とされていますが、何もなかったようです。
 ※発表内容とは関係ないですが、これは、田辺製薬から発売されている関節リウマチに対する新薬です。リウマチで炎症の主役となるTNFαを中和する抗体です。TNFα産生細胞も破壊するようです。その有効性は確かなようなのですが、一応、使い方としては、従来の薬物治療(リウマトレックス含む)が無効な場合のみ使用可能なので、すぐに飛びつく訳には行かないし、また、非常に高価です。レミケード治療1回につき、薬だけで約23万円。諸費用含めると、3割の自己負担で1回8万円前後かかります。最初の1年間は8回の点滴治療を要しますので、レミケードだけで184万円、その他の分を加えると、約200万円近くの保険治療費がかかると言われています。眼科でも基本の使い方は同じだと思います。すると、有効ではありますが、あまりに高価すぎる?

7、強度近視眼の黄斑部網膜分離・剥離に対する術式別術後成績の検討(関西医大)
 強度近視の眼にしばしば発生する黄斑部網膜分離・剥離に対して、硝子体手術を行う。ICGで内境界膜をとり、TA併用し、硝子体皮質を徹底的にとればその後タンポナーデしなくても大丈夫。内境界膜除去が必要かどうか微妙なようですが、ガスタンポナーデ不要なら、患者負担は軽減されますね。

8、硝子体手術を施行したミトコンドリア遺伝子異常を伴う増殖糖尿病網膜症の1例(大阪医大)
 糖尿病の1%程度にミトコンドリア遺伝子異常があるらしい。今回は、mtDNA3243アデニン→グアニン。
ただ、この症例は、ミトコンドリア遺伝子異常に特異的な?網脈絡膜萎縮なんかない、普通の増殖糖尿病網膜症。当然手術は有効なようで・・・

9、Pitの見つからないPit-Macular症候群(視神経乳頭小窩症候群)の1例(関西医大)
 Pitの大きさは様々でしょうし、時には、こんなこともあるのでしょうね。でも、型どおり手術すればOK。

10、ベバシズマブの硝子体注入が有用であった血管新生緑内障を伴う内頚動脈狭窄症の1例(近大)
 抗VEGF薬の非常に有効な使い方の例?
 アバスチンを入れて、血管新生を抑えておいて、その間に原因治療(頚部血管形成術)を行う。今回は、PRPもしないで、血管形成だけ。素晴らしい。

11、硝子体手術後晩期に開放隅角緑内障を生じた2例(大阪医大)
 ほんまかいな。
 硝子体手術前の眼圧経過、視神経に対する評価が十分になされているのでしょうか。緑内障なんて、そのへんに転がっている病気。200や300手術したら、必ず数例以上?緑内障は混在してくる筈。

12、ラタノプロスト投与中の正常眼圧緑内障に追加したニプラジロール眼圧と視野への効果(関西医大)
 有効だといえる根拠が少し希薄?5年は経過みて、10回以上の信頼性の高い視野データがあり、MDだけじゃなく、例えば6分割したフィールド毎に比較して、しっかり統計処理して、追加点眼群が優位に視野の悪化を抑制する効果がある・・・・・・などと証明してほしい。誰にも文句を言わせない磐石の発表を期待します。(誰も文句言ってないか・・?)


13、ミニレクチャー 加齢黄斑変性―診断のポイント-高橋寛二
 徐々に完成度が高くなり、もう完璧なレクチャーです。加齢黄斑変性全貌を紹介していただきました。スライド下さい。
 90Dや78Dなど様々な非接触の前置レンズがはやりですが、一番大切なのは、20年以上使っている後極部レンズで、黄斑部を睨むこと・・・ってのが、寛ちゃんらしいアドバイスです。視神経乳頭を見ていても思うのですが、条件のいい眼だと、78Dで十分と思いがちですが、やはり、後極レンズで見ると一味違います。もっと多用して、見つけ次第送りますので。宜しくお願いします。
by takeuchi-ganka | 2007-09-30 11:13 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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