第61回日本臨床眼科学会-7

最終日、二つ目のインストラクションコース:人工角膜2007

人工角膜 Keratoprosthesis  近大 下村教授
1、角膜のみを置き換えるタイプ
 ・Intralamellar type
・Posterior penetrating type
 ・Perforating type
2、角膜を貫いたoptical cylinderを用いるタイプ
・上眼瞼を貫かないもの
 Nut-and-bolt type

様々なタイプのものが、試みられていますが、生体適合性の問題、感染、視野・眼球運動障害・後眼部合併症などまだまだ問題山積のようです。


1、歯根部利用人工角膜 Osteo-odonto-keratoprosthesis: OOKP:近大 福田先生
 目には歯を・・・
 なかなかドロドロとした手術で、チョット引いてしまいました。

OOKP第一段階手術
①全身麻酔下に、犬歯とその根部を摘出。欠損部は人工粘膜で被覆。
②歯根部を削り、歯根部と骨からなる薄板(厚さ3mm)に加工、歯根部中央をドリルで直径3.5mmの孔をあける。
③Optic cylinderを歯科用セメントでその孔に固定し、反対眼の眼輪筋内に埋没。
④頬部内側の口腔粘膜を直径3cm切除し、保存。欠損部は、人工粘膜で被覆。
⑤眼球表面の乾燥した粘膜を切開して、角膜・強膜を露出して、4直筋に牽引糸をかける。
⑥口腔粘膜を眼表面に移植、有窓義眼を挿入。

OOKP第二段階手術(約3ヵ月後)
①全身麻酔下で、埋め込んである、OOKP Laminaを摘出。
②トリミングする。光学部を露出、後面は全て除去。前は少し組織を残す。
③OOKPを一旦、戻す。
④眼表面の口腔粘膜をU字切開し
⑤フリーリンガリング装着
⑥OOKPを再度取り出し、抗生剤溶液内に保存
⑦角膜を直径5mmのトレパンで打ち抜き、CCC、核娩出、IA、後嚢切開、前部硝子体切除
⑧OOKP Laminaの後方の光学部をトレパン部に挿入し、強角膜に縫合。眼内に空気注入。
⑨口腔粘膜を戻して、光学部前方を通す穴を開けて、光学部を突出させる。

※なんとも、大変な手術です。時間も手間もかかります。ただ、うまくいけば、術後視力は良好で最高1.0の視力が可能だし、拒絶反応もなく、長期に安定で、スチーブンスジョンソンの末期でも手術可能だそうです。欠点としては、非常に大きな手術侵襲。手術で失明することも10%ほど覚悟しないといけない。成功しても、サイボーグのような外観には、美容上の問題があります。まだまだ発展途上のようですが・・・・

 近大病院のHPの中に、写真と模式図がありました。参考にしてください。
www.med.kindai.ac.jp/optho/ookp/ookpimg/ookp2.jpg
www.med.kindai.ac.jp/optho/ookp/ookpimg/ookp1.jpg

2、AlphaCor移植術 徳島大 江口先生
  光学部と支持部がともに柔らかい素材で、それらが1ピース構造です。分厚いソフトコンタクトのようなものを、角膜代わりに使うのです。OOKPほどドロドロした手術ではないですが、結構大変です。手術の詳細は、下記HPの中にビデオがありますので、参照されたらいいと思います。
 適応は、全層角膜移植が非常に危険で、既に白内障術後で、輪部機能・涙液分泌機能が正常で、角膜ヘルペスの既往がない時だそうです。この手術も第一段階と第二段階に分かれています。
 第一段階:ICCEの時のような切開をした後、角膜を半層ほどの深さで剥離し、角膜床の中央に窓を開けておいて、角膜の層間に適当な大きさのAlphaCorを移植する。3ヶ月後、角膜の中央を切除する。演者の3例は、良好な視力とは行かなかったようですが、海外では、そこそこの成績?ただ、角膜の融解を防ぐ、酢酸メドロキシプロゲステロン(黄体ホルモン)の長期にわたる点眼が必要だが、個人輸入しないと入手困難らしい。

http://webeye.ophth.uiowa.edu/eyeforum/cases/60-AlphaCor-Surgical-Approaches-Artificial-Cornea-Implant.htm
この中に、ビデオで紹介されています。

3、人工角膜の開発:慶応 榛村先生
  透明で、生体適合性があり、何年も持つ人工角膜があればいいのですが、現実は厳しいようです。角膜は、表層から上皮細胞・基底膜・実質・内皮細胞と並んでますが、上皮細胞は培養上皮細胞で、基底膜は羊膜で、内皮細胞は培養内皮細胞で、そして、実質を人工的なポリマーで置き換えようという試みが行われているようです(ハイブリッド型人工角膜)。

 ポリマーとしては、
1、天然ポリマー
 ・collagen
 ・fibrin
 ・glycosaminoglycan
※生体適合性はいいが、融解する可能性。

2、合成ポリマー
 ・PVA,PHEMA   
 ・PMMA
 ・polyurathane
 ・silicon elastomers
※羊膜固定PVA、羊膜代わりの素材:フィブロイン

 将来的には、このようなハイブリッド型人工角膜が使えたら・・・
by takeuchi-ganka | 2007-10-23 17:27 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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