カラーコンタクトレンズ
2007年 11月 01日

コンタクトレンズというのは、角膜上に直接のせる屈折矯正の為の医療器具ですから、真っ当な眼科医が、普通に検査を行い、コンタクトレンズ装着上問題がないかどうかをチェックし、適切なコンタクトレンズをチョイスし、処方し販売するのが正道だと思います。ただ、コンタクトレンズ販売という、利益を伴う行為と不可分なので、簡単にいかない面もあるのでしょうが・・
私はこれまで、ごく普通に10年20年と、全く問題なく、コンタクトレンズ処方に携わってきたにも関わらず、平成17年4月から施行された改正薬事法によって、事態は大きく変化しました。それまで、国は真っ当な眼科医のいない怪しげな場所で売られていることを長年見過ごしてきたにも関わらず、突然コンタクトレンズは、高度管理医療機器に指定されました。
医療機器は、不具合が起きたときの人体に対するリスクの大きさ別に、次の3つに分類されています。
(1)「一般医療機器」(リスクが極めて低い)
(2)「管理医療機器」(リスクが比較的低い)
(3)「高度管理医療機器」(リスクが高い)
コンタクトレンズは、『リスクが高い』グループです。勿論そうなのですが、だったら、今までの対応はどうなんでしょうね。繁華街で、若い子が色鮮やかなチラシを配り、お店の宣伝をしていましたよね。最近はどうなのか知りませんが、今でも、インターネット通販は健在のようです。この高度管理医療機器の中身を見てみると、ペースメーカー、人工心臓弁、中心静脈用カテーテル、冠動脈カニューレ、滅菌済み合成高分子縫合糸、心血管用ステント、吸収性体内固定用ボルト、透析器、人工骨、人工呼吸器、バルーンカテーテル、血管用カテーテルガイドワイア、輸液ポンプ、滅菌済み縫合糸、そしてコンタクトレンズです。何か妙でしょ。
ただ、この改正薬事法のお陰で、我々真っ当な眼科医が、様々な制約を受けることになりました。一時は、販売を止めることも考えたほどです。また、年1回の販売管理者講習も義務化されました。まあ、そこまでは、100歩譲りましょうか。でも、このコンタクトレンズに色をつけて、度数をなくすと、通常のコンタクトレンズ以上にリスクを伴うと思われるカラーコンタクトは、野放しなんです。度数がないというのがポイントです。フリーパスで販売され、定期検査も皆無でしょう。真っ当な眼科医の厳密な管理の上で販売管理されてしかるべきものが、全く野放し状態で販売されているのです。先日、やっと規制の動きが出始めましたが・・・
カラーコンタクトによる角膜上皮障害


asahi.comからの引用ですが『おしゃれ用品として人気のカラーコンタクトレンズによる目の病気が後を絶たない。学会の全国調査では1カ月で27件にのぼり、入院例も見つかった。医療用と違って品質や販売に規制はなく、独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))は29日、調査委員会を発足させ、経済産業、厚生労働両省とともに警告表示を義務化する方向で対策に乗り出す。』
カラーコンタクトで重大なトラブルを引き起こしている数は、学会の調査の何倍何十倍あるかわかりません。いい加減な業者であっても 高度管理医療機器等販売許可証さえ取得すれば、どうどうと販売できるのです。ネット通販業者もこの許可証を持っていて、販売されているようです。繰り返しますが、コンタクトレンズというのは、角膜上に直接のせる屈折矯正の為の医療器具ですから、真っ当な眼科医が、普通に検査を行い、コンタクトレンズ装着上問題がないかどうかをチェックし、適切なコンタクトレンズをチョイスし、処方し販売すべきものなのです。それ以外のコンタクトレンズ入手方法を認めていることが、コンタクトレンズ角膜障害の発生を許しているのです。