心因性視力障害
2007年 11月 10日
視力は、基本的には、自覚的検査です。 0.1の指標が見えて、それより小さな視標が『見えない』と言われたら、視力0.1となるのです。そして、この悪い視力の原因を説明できるかどうかです。
先ず、屈折異常がないかどうか調べ、あれば矯正視力を測定します。また、矯正視力が不良であれば、その視力低下の説明が可能な眼疾患がないかどうか調べます。そして、悪い視力を説明できない場合、次の3つの可能性が考えられます。
1、通常の検査では判明しない特殊な疾患
2、詐病(病気ではなく、犯罪)
3、心因性視力障害
ここでのテーマは、3の心因性視力障害ですから、1,2については深く言及しませんが、この可能性も念頭においておく必要があるのです。そこで、心因性視力障害の診断ですが、これが、常に除外診断であれば、ありとあらゆる疾患を否定しないと診断にたどりつけず大変です。通常の疾患とは若干異なりますが、心因性視力障害にも特徴が幾つかあり、それを満たせば、積極的に診断することもある程度可能です。それについて少し・・・
1、年齢・性: 女が男の4-5倍、 8-14歳に多いと言われています。
2、視力検査: 0.1~0.4程度の、中等度の視力低下が多い。
3、視力矯正: ゆっくり時間をかけて、レンズ打消し法を併用して視力検査を行います。結局、零ジオプターで、4-5段階視力がアップすれば、診断的価値ありと判断します。
※視力 0.1(0.6×S-0.5D=S+0.5D)
※つまり、視力を測定すると、0.1だが、時間をかけて、レンズを入れ替えながら、最終的に-0.5Dと+0.5Dの組み合わせ(つまり零ジオプターのガラスと同じ)で、視力が0.6までアップした場合、診断的価値が高く、心因性視力障害を強く疑います。
4、色覚検査:あまりしませんが、異常な成績を示すことがあると言われています。
5、視野検査: らせん状視野(ゴールドマン)、 暗点散在型視野(ハンフリー)
6、その他:難聴・頭痛・腹痛・嘔気など他の心因反応と思われる症状を伴うことがある。
※確定診断の為には、眼球に器質的な異常所見が全くないことが必要。(細隙灯顕微鏡・眼底所見ともに異常なし。)ただ、所見の乏しい疾患:杆体1色覚、錐体ジストロフィーも考慮すべき。
ポイント
心因性視力障害が疑われたら、過剰な検査は避ける。また、初回検査で、視力がでなくても、じっくりと時間をかけて、繰り返し検査を行う。ただ、この視力低下の原因は、患者の眼じゃなく、心にある訳で、問診は、親子関係、友人関係に始まり、時に、両親の子育てや教育に対する姿勢にまでも踏み込む必要がある。理解のある両親がいること、とりわけ母親の役割が大きいのですが、この子供の視力が出ないのは、眼の病気ではないこと。近視でも遠視でも乱視でもないこと。だからと言って、嘘をついているのでもなく、原因は、心の問題であることを親に説明する必要があります。そのことで、子供が、苦しんでいることをとりわけ母親に理解してもらうことが、治療への近道だと思います。

重松清さんのきみの友だち
という本を読んでいて、
私も似たような
症状があったので
調べて見ると、
目の問題ではなく、
心因性の視力障害も
あるんですね…
病院では近視と言われました。
度が入ったメガネも
進められて買いました...
両親は目がとてもよかったので
変に思われていたので、
近視の原因が分かってよかったです…