2007年 11月 29日
原発閉塞隅角緑内障 その4
最後に、プラトー虹彩に触れますが、実は、今まで経験したプラトー虹彩症例の前房深度は、何故か2.2mmあたりに集中しています。その理由について少し考えたのですが、もし、前房深度が3.0mmもあれば、プラトー虹彩形状の虹彩根部だったとしても、十分広い隅角なので、通常問題になりません。また、前房深度が2.0mm以下なら、元々狭い隅角に加え、プラトー虹彩要因があれば、基本要因+α要因ということで、PACGを発症しているでしょう。
つまり、原発閉塞隅角緑内障を発症していないが、中央の前房深度が深く、周辺部が急に狭くなるような眼で、通常検査で、プラトー虹彩が疑われ、UBM検査にまわってくる症例の前房深度は2.2mmあたりに集中したってことでしょうか。
前房深度(角膜後面から水晶体前面までの距離)について
3.0mm以上:安心
2.5mm以上:ほぼ安心
2.0~2.5mm:何とも言えない・・・
2.0mm以下:慢性型のPACGの危険
1.5mm以下:急性発作の危険性大
1.0mm以下:水晶体膨化、脱臼、小眼球・・・・(原発じゃない!)
これは、かなりアバウトな個人的見解ですが、前房深度に関する印象は上記の如くです。PACGの急性発作眼の平均前房深度は、1.5mmあたりですので、1.5mm前後の眼は非常に危険と言えます。それに、この程度の前房深度ならスリットでひとめ見ただけで、『浅い!』と感じますし、その危険性は印象と比例します。ところが、前房深度が2.0mm近くになってくると、或いは、2.2mmとか2.3mmぐらいになると、『浅い!』と感じません。これが結構問題なんです。時に、POAGとして治療開始されたりする程です。流石に、2.5mm以上のPACGというのは、殆ど経験ないですが、2.0~2.5mmのPACGは結構経験します。その2で述べた+α要因があるからだと思いますが、注意すべきです。勿論、緑内障を疑えば、隅角鏡検査をしっかりすればわかることでしょうが・・・・