2008年 02月 19日
中高年パソコン派の為のメガネ講座? その2
この近点が30cmより遠くになる年齢を老眼自覚年齢とすると、-2Dの近視なら60歳、正視の場合は45歳頃、+2Dの遠視なら30代です。近視や遠視があっても、適正な眼鏡をしているとすれば、通常45歳頃が老眼自覚年齢でしょうか。
お肌の曲がり角は25歳。眼(まなこ)の曲がり角は45歳 !?
次に、老眼のもうひとつの重要な側面について考えてみます。老眼とは、加齢にともない、水晶体が硬くなり、分厚くなりにくい状態だと言いましたが、別の言い方をすると、焦点(ピント)を合わせることのできる範囲が狭くなることを意味しています。これが非常に重要なポイントなのです。次の図を見ていただくとわかりやすい?のですが、年齢が進むにつれて、近点は、遠ざかってゆきます。この近点が30cmとか40cmより遠くへ行けば、読書に支障を来します。その年齢が、45歳あたりです。ただ、良く見ると、近点が遠ざかるにつれて、この緑の↔(調節域)が短くなっているのです。これは、ピントの合う範囲が狭くなっていることを意味します。
わかりやすいように、次の図では、45歳と60歳をとり出しました。45歳は、それでもまだ、3Dも調節力があるので、老眼開始年齢とはいえ、それなりに広い調節域が残っています。もし、読書に支障を来したとして、0.5Dの老眼鏡をかけたとしても、28cmから2m付近まで焦点があうので、デスクワークしていても、少し先まで十分見えるし、室内では、それほど不便を感じないはずです。
だけど、60歳だったらどうでしょう。読書しようと思えば、最低でも2.0Dの老眼鏡が必要です。ただ、これをかけて焦点が合うのは、33cmから50cmの間だけなのです。たった17cmしか、焦点のあう距離がない。ここから外れると、見にくいのです。読書だけなら、この17cmの間に本を置けばいいでしょうが、広い机なら、少し離れた書類は見えにくい、デスクの先のカレンダーも読めない、少し先に置いてあるテレビなどは全く駄目です。通常の老眼鏡では、ピントの合う範囲の狭さはそのままなのです。
しかもこの範囲は、年々狭くなるのです。65歳で、2.5Dの老眼鏡をかけたら、焦点のあう範囲は33cmから40cmのたった7cmとなってしまいます。この7cmの範囲から外れるとぼやけるのです。この狭さに対する理解と適応の難しさが、老眼鏡を上手く使いこなせない最大の原因かもしれません。年齢が進むにつれ、単焦点の普通の老眼鏡の場合は、どの距離のものを見るのか、目的を限定しないと全く使い物にならないのです。
ものすごく長い前置きで、ここまで読まれた方は殆どおられないかもしれませんが、だからこそ、単なる老眼鏡ではなく、中近や近近といった累進屈折眼鏡が必要なのです。例え、読書用だとしても、この調節域の狭さを補ってくれる眼鏡はすぐれものと言えます。眼鏡のさらに詳しい話は、・・・・続く?