春季カタル その1

 春の訪れとともに、スギ花粉の飛散が始まりました。アレルギー性結膜炎の話は、過去に何度もしてますので、今回は、春季カタル治療薬(点眼)の話にします。日本では、まだ一剤しかないですが、もうすぐ、もう一剤発売されるはずです。

春季カタル その1_f0088231_19272157.jpg


1、0.1%シクロスポリン点眼(パピロックミニ点)
※全症例を登録して使用成績調査(全例調査)を実施することが承認条件でしたが、2月末で、この承認条件が解除されました。
2、0.1%タクロリムス点眼
※この春から発売予定?

これらは、オーファンドラックといって、春季カタルのみの使用となります。オーファンドラックとは、
(1)我が国において患者数5万人未満の重篤な疾病が対象で
(2)医療上、特にその必要性が高い(代替する適切な医薬品等または治療方法がない、もしくは既存の医薬品と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されること)
(3)開発の可能性が高い(その医薬品を使用する理論的根拠があり開発計画が妥当であると認
められること)

 このような医薬品が対象となり、つまり、そのままでは、企業としては利益が出ず、開発がすすまない薬に、国から補助、税制上の優遇措置が与えられるのです。
 今回取り上げる、2種類の点眼は、春季カタル限定のオーファンドラックです。通常の抗アレルギー点眼が無効な場合に使用するようになっていると思います。予備知識として、通常の抗アレルギー点眼について少し・・・

アレルギー性結膜疾患(allergic conjunctival diseases : ACD)には、下記の4種類に分類されています。

1、アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis : AC)
  1)季節性アレルギー性結膜炎 (seasonal allergic conjunctivitis : SAC)
  2)通年性アレルギー性結膜炎 (perennial allergic conjunctivitis : PAC)
2、アトピー性角結膜炎(atopic keratoconjunctivits : AKC)
3、春季カタル(vernal keratoconjunctivitis : VKC)
4、巨大乳頭結膜炎(giant papillary conjunctivits : GPC)


アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis : AC)は、非常にポピュラーな疾患で、様々な抗アレルギーの点眼が発売されています。

ケミカルメディターター遊離抑制点眼(抗ヒスタミン作用なし)

1、インタール点眼液(2%グロモクリク酸ナトリウム、米国は4%)
2、エリックス点眼液(0.25%アンレキサノクス)
3、アレギサール点眼液(0.1%ペミロラストカリウム)
4、リザベン点眼液(0.05%トラニラスト)
5、ケタス点眼液(0.1%イブジラスト)
6、ゼペリン点眼液(0.1%アシタザノラスト)
7、0.1%ロドキサミド(日本未発売)
8、2%ネドクロミル(日本未発売)


ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン作用あり)(太字は、Dual actionあり)

1、ザジテン点眼液(0.05%フマル酸ケトチフェン、米国は0.025%)(ヒスタミン遊離抑制作用あり)
2、リボスチン点眼液(0.025%塩酸レボバカスチン、米国は0.05%)
3、パタノール点眼液(0.1%塩酸オロパタジン、米国は0.1と0.2%)(ヒスタミン遊離抑制作用あり)
4、0.05%塩酸アゼラスチン(日本未発売)(ヒスタミン遊離抑制作用あり)
5、0.05%フマル酸エメダスチン(日本未発売)
6、0.05%塩酸エピナスチン(日本未発売)(ヒスタミン遊離抑制作用あり)


 これらの使用方法ですが、従来、ケミカルメディターター遊離抑制点眼は、主として季節前から投与し、症状が出てからは、ヒスタミンH1受容体拮抗薬を・・・と理解していましたが、最近発売されたパタノール点眼は、両方の作用があるらしいので、季節前からパタノールやザジテンでもいいかもしれません。眼科医なら、理解していることですが、実は、抗アレルギー点眼だけでは、症状を完全に抑えることができず、ステロイド点眼を併用することもしばしばです。ただ、これに関しては、副作用の問題があるので、眼科医以外は、処方を控えていただきたいものです。

 これらの抗アレルギー点眼は、Ⅰ型アレルギー反応の一部を押さえることでその効果を発揮しているのですが、最初に述べた春季カタル限定のオーファンドラックは、T細胞に選択的に作用する免疫抑制薬です。これらは、カルシニューリン阻害薬と呼ばれますが、またもや、前置きが長くなったので次回に続く・・
by takeuchi-ganka | 2008-03-11 19:24 | 結膜炎 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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