第363回大阪眼科集談会 その2

※最近、集談会の恒例になりつつある、ミニレクチャーです。ミニといっても、今回も小一時間ですから、ちょっとした特別講演なみ。怪しげな発表よりは、為になります。

ミニレクチャー
 眼炎症性疾患の治療 阪大 大黒伸行


1、サルコイドーシス
 豚脂様KP,隅角の結節、テント状PAS、peripheral multifocal choroiditis・・・・・

 私は、ステロイドの点眼や結膜下注射、或いはTAのテノン嚢下注射で対応可能なレベルの比較的前眼部に炎症の主座がある場合しか扱えませんが、炎症が後眼部に及ぶと内服が必要になります。ただ、この内服開始の敷居はかなり高く設定しています。と、言うのも、この日の話では、プレドニゾロンを1mg/kg/日で開始し、しかも2週間から1か月使い、その後減量となります。ちょっと開業医レベルでは扱えないです。60kgの人なら、12錠の内服から始めて、まず1か月?当然、骨粗鬆症が心配で、予防処置を取らねばなりません。つまり、内服開始するということは、次元の異なる状況と考えています。

1)nodule(線維柱帯炎)⇒ステロイド点眼
2)テント状PAS(非常に広範囲にできて、続発閉塞隅角緑内障)⇒レクトミー
3)ステロイド緑内障⇒ロトミー
4)ルベオージス⇒硝子体内にTA
5)ERM⇒剥離しても視力改善しないことが多いし、再発しやすい?
6)動脈瘤⇒光凝固 ※滲出が強くなったら、これに注意。あればステロイドより、光凝固だと。


2、原田病
 パルス(1gを3日)・大量投与(200mgを3日)と通常量内服との間の治療効果に差がないという報告がある。
 但し、この通常量も、1mg/kg/日。60kgならプレドニン12錠、80kgなら16錠。一般に考えているより、かなり多い量です。
 再発なら、TAのテノン嚢下でいいが、初発は、やはり全身投与しないと、全身症状が抑えられない。
 血管新生黄斑症なら、アバスチン。
 硝子体混濁なら、TA(テノン嚢下・硝子体内)

3、ベーチェット病
 1960年代:ステロイド
 1970年代:コルヒチン
 1980年代:シクロスポリン
 現在:インフリキシマブ
薬物治療の内容も徐々に変化してきていますが、現時点では、やはりコルヒチンが基本のようで、ついで、シクロスポリンこれも10mg/kgなら有効なのですが、腎障害が出るので、5mg/kg程度しか使えない。これでは、半分程度しか効かない・・・。インフリキシマブ(レミケード)が有効で、これなら5mg/kgでOK。但し、感染症、特に結核が問題になるので、内科と連携しながらでないと使えない。シクロスポリンの時代はもうすぐ終わるかも。

4、感染性ぶどう膜炎
1、眼内で微生物が増殖した為の炎症
 細菌・真菌・ウイルス:抗微生物療法が必要だが、全身療法では効果が乏しいので、もっと硝子体内投与を活用すべき。
 ※バンコマイシンとモダシンは常備しておいて、細菌性眼内炎が疑われたら、バンコマイシン1.0mg/0.1ml、モダシン2.0mg/0.1mlを硝子体内に投与すべきです。当院では、一応常備しています。
 ※ARNだけは、全身投与が必要。ステロイドの効果には疑問があるものの、ステロイド0.5mg/kg+抗ウイルス剤。この疾患では、網膜剥離との戦いが避けられない。光凝固は予防にならない。早めに硝子体手術だが、これも難易度高い。

2、眼内で微生物に対する抗原抗体反応
 ①トキソプラズマ
  FA像が特徴的。
ステロイド+アセチルスピラマイシン(6か月から1年、診断を信じて辛抱強く使う。)
 ②結核
  血管炎を伴い、閉塞が強い。早めに光凝固が必要。
  ステロイド+抗結核剤
 ③トキソカーラ
  周辺部に腫瘤。剥離に注意。
  ステロイド+エスカゾール

5、悪性リンパ腫  (増えている?!)
 ぶどう膜炎があり、テノン嚢下TAが無効なら想定すべき。
 大黒先生の経験で、16眼中10眼が悪性リンパ腫だった。疑ったら、積極的に硝子体の細胞診。
 RPE下滲出斑:MTXの硝子体内投与。但し角膜障害に注意。
by takeuchi-ganka | 2008-04-10 16:07 | 学会報告

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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