屈折矯正手術について考える:その2
2008年 04月 15日

ただ、1980年以降、エキシマレーザーが眼科に応用されるようになると、主役は交代します。このレーザーの特徴は、目標とした組織を、熱を発生させることなく、組織をphotoablation:蒸散することで、非常に精密かつ平滑に切除(切開じゃない)が可能なことです。まず、角膜表面を削るphotorefractive keratectomy (PRK) から始まりました。手術は、角膜を目的とした程度に扁平化するのが目的なので、このレーザーはこの目的に非常に都合のいいツールとなりました。アメリカのFDAは、1995年に認可し、日本の厚生省の認可は遅くて2000年でした。LASIK (laser in situ keratomileusis)の登場までは、PRKが近視矯正の主役となりました。

屈折矯正手術の正しい進め方(PRACTICAL OPHTHALMOLOGY vol.1 No.4 1998、P5)
からシェーマを拝借しました。見たこともないですが、オリジナルは、7.5mm径300μmの表層ディスクを切除し、凍結旋盤にて、実質側を削って戻すという、大胆な手術でしたが、当然普及せず、手技も凍結されました。
1980年代後半になって、弟子のRuitzが、自動化されたマイクロケラトームを用いて、角膜のフラップの作成、実質の切除を容易にし、ALK(Automated Lamellar Keratectomy)という手技が開発されました。この手技が、後のLASIKを生むことになったのです。
このALKの手技の、実質切除の部分をエキシマレーザーで行ったのが、今、非常に流行しているLASIK (laser in situ keratomileusis)です。1990年にPallikarisが家兎で実験したのが最初で、米国では1997年には、PRKよりも多数行われるようになったそうです。

レーシック:LASIK (laser in situ keratomileusis)の基本術式を簡単に眺めてみます。
1、マイクロケラトームで、角膜にヒンジのついた丸いフラップを作成します。
※フラップ:厚さ130~200(通常約160μm)、直径:8.5~10mm
2、フラップを裏返して、実質を露出させて、そこへエキシマレーザーを照射。
3、フラップを戻す。
まあ、細かな注意点は山ほどあるでしょうが、ステップとしては、たったこれだけですが・・・・・続きは、その3で