屈折矯正手術について考える:その5(No269)

 屈折矯正手術について考えるというタイトルをつけたのですから、手術を紹介するだけじゃなく、少し考えてみます。近視を手術で治す。それは良いことかもしれません。ただ・・・

 あのタイガーウッズがレーシックを受けた真の理由は知りませんが、彼は、花粉症で、アレルギー性結膜炎を伴っていて、コンタクトレンズによる視力矯正は、花粉舞うゴルフ場での見え方に不満があったのかもしれません。もし、その事が、彼のプレーに影響するとすれば、何億、何十億というお金に関わることでしょうし、完璧を求める彼の事ですから、プレーの質に影響するということが、その億単位の損失よりも重要なことと判断し、屈折矯正手術(レーシック)に踏み切ったのでしょうか。彼は、近視の為に、少し見えにくいから・・・・というだけの理由で、簡単に手術に踏み切った訳ではないと思います。
 パイロット、プロスポーツ選手、タレント・・・などその特殊な職業上の理由があれば、少しは話が違うでしょうが、そうでない、普通の人で、眼鏡やコンタクトレンズで、問題なく視力が出ていて、通常の生活に全く支障がないとすれば、本当に屈折矯正手術を受けるメリットはどれほどのものでしょうか。眼鏡をかけなくて、或いはコンタクトを装着せずに、見えたらどんなに素晴らしいかと思う気持ちを理解できないことはありませんが・・・。
 このブログの右横に並んでいるタグの中の『老眼』をクリックすれば14本の記事がありますが、それを読んでいただければわかることですが、人生80年としても、後半の40年は、老眼による症状が徐々に強くなり、再び眼鏡の世話になるのです。前半40年の内の、更に前半の20年+αは、まだ近視が進む年代なので、手術すべきでないとすれば、手術の適齢年代は、20代前半。デスクワークやパソコン作業がメインの職種なら、40歳前から眼精疲労が強くなるので、手術の恩恵を大きく享受できるのは、手術して、10~15年ほどでしょうか。勿論、遠方視力が重要な職種の場合は別ですが・・・。それでも、手術しますか?
 何故、我々は近視になったのでしょう?日本人に近視が多くなったのは、ある意味、環境に順応した結果です。本を読み、パソコンを見て、机に向かって勉強し、また、デスクワークを主とする仕事に就く機会が多い日本人にとって、一番よく使う距離は、40cm前後でしょうか。この距離に焦点のあう眼(近視)というのは、目的に適った屈折異常なのです。アフリカの草原で、野生動物と格闘している人なら、最も必要な距離は、50m、100m遠方であり、当然近視は非常に少ないのですが、日本人のライフスタイルは、彼らとは全く異なるのです。焦点距離が、30~40cmなら、-2.5~3.0Dの近視。100cmなら、-1Dの近視です。つまり、近視というのは、我々の生活スタイルにあった屈折異常なのです。必要だからこうなった・・・・のかもしれないのです。それでも、あなたは、手術してまで、アフリカンスタイルにしますか?日本人のライフスタイルに合わない屈折状態にするのですか?
 私は、もちろん近視の程度によりますが、通常の近視の人に、この手術を勧めたくありません・・・・。これが屈折矯正手術について少し考えてみた、現時点での結論です。
by takeuchi-ganka | 2008-04-27 17:30 | 近視・遠視 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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