多焦点眼内レンズについて考える(No270)

 散々、屈折矯正手術について述べてきましたが、話の流れで、多焦点眼内レンズについても少しだけ考えてみます。
 多焦点眼内レンズは、累進屈折コンタクトレンズと同じように、遠近同時に網膜に焦点を合わせます。眼鏡の累進レンズのように、視線をずらしながら、焦点を合わせるのではなく、同時に見えていて、中枢でどちらかを選択する訳です。私自身、累進屈折コンタクトにトライしましたが、何とか遠近ともに見えるものの、遠近ともにはっきりしない見え方に馴染めなかったのですが、眼内レンズはどうなのでしょう。
 コンタクトレンズの場合、私に限らず、二重焦点にしても、累進屈折レンズにしても、眼鏡をかけない代わりに、多少の不便を我慢し、それでも実用範囲内と思える人に適応があると理解していました。まあ、コンタクトレンズは、嫌ならやめて眼鏡にすればいいのですが、眼内レンズはそうもいきません。本当に多焦点眼内レンズはそんなにいいものなのでしょうか。
 眼内レンズは、累進屈折レンズではなく、遠近の2焦点レンズです。屈折型と回折型の2タイプがあります。当初は、屈折型のみで、これは遠用部分と近用部分が同心円状にならんでいます。ゾーンは2~5まであります。当然見え方は、瞳孔径によって左右されます。老人にありがちな小瞳孔の場合、単焦点レンズになってしまうこともあります。近方視力の悪さ、夜間グレア・ハローの問題もあり、それほど快適なものではなかったようです。その後、回折型レンズが出てきて、瞳孔径に見え方が左右されず、夜間グレア・ハローがないと紹介されています。ただ、問題はコントラストの低下です。データだけみると、眼鏡要らずのようなのですが、なんとなくハッキリ見えないという不満は残るようです。
つまり、遠近ともに見えるけど、どちらも60-70点の見え方をとるのか、単焦点だけど、見たい場所は、眼鏡を使用して、100点の見え方をとるのか。当初、累進IOLがいいと感じていましたが、実は、少しづつ疑問を感じています。ある大御所の先生は、単焦点レンズに正確に左右差をつけて、片眼を-0.5D に、他眼を-1.5Dに合わせると言っておられました。IOLマスターを使うと、かなり正確に合わせることができると。
 現時点で選択肢は3つあって、①多焦点IOL、②単焦点IOLに累進屈折眼鏡、③IOLモノビジョン法。私は、現時点では、②を選択していますが・・・
 ただ、多焦点眼内レンズの適応の決定においては、患者さんが、眼鏡なしで遠近ともに見えることを強く希望するかどうかが、大きなポイントだそうです。眼鏡に対する眼科医の知識の貧困さは、実は目をおおうばかりで、その眼科医が、本当に適応を決定できるかどうか疑問ですが。眼鏡の適切な使用を説明することなく、眼鏡をかけたくないという理由で、多焦点眼内レンズの適応とするのはどんなものでしょう。誰だって、眼鏡なしに、子供の時のように遠くも近くもストレスなく見たいかと聞かれたら、見たいに決まっています。ただ、多焦点眼内レンズは、調節力を持っているのではなく、全く別ものなのです。その中途半端差が、患者さんにとって許容範囲かどうかを術前に決定する必要があるのです。性格的には、神経質な人?要求度の高い人は、あまり向いてないそうです。A型はダメ?O型向き?AB型の私は我慢できない?
 そんな人たちが嫌がる眼鏡ですが、適切に選んでいるかと言えば、店員の眼鏡知識が非常に乏しいコンビニのような眼鏡店で、あまり適切でない安い眼鏡を選び、それが嫌な人は、レーシックで手術し、白内障になれば、多焦点レンズを入れる。そんな事でいいのでしょうか?私なら、知識のある眼鏡店を選び、用途別に適切な眼鏡を用意しますが・・・。
by takeuchi-ganka | 2008-05-04 11:29 | 白内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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