近視を進行させない為に・・・(271)

近視の小学生がやってきました。
視力は、0.1。近視の程度は、-3.0Dで、矯正視力は1.2と良好です。
これが右眼の視力なら、RV=0.1(1.2×S-3.0D) と表現します。
この小学生の1年前の視力は、RV=0.3(1.2×S-1.5 D)でした。

 一般の方は、我が子の視力は、0.3から0.1に下がったと思うでしょうが、我々は、-1.5Dの近視が-3.0Dになったと判断します。まあ、それは、どうでもいいのですが、この子の保護者は、この先、この子の近視が進まない方法はないか・・・と私に詰め寄ります。私は、「残念ながら、そのようないい方法はない・・」と答えるしかないのです。考えてみれば、なんとつれない返事でしょうか。もう少し他に言い方はないものかと考えてみました。
 ただ、前提とするのは、近視の進行を予防するスタデイはたくさんあるものの、結局は、調節麻痺剤を使用するとか、更に二重焦点眼鏡をかけさせるとか、要するに、調節をさせないようにすることで、目的を達成しようとしています。その結果、近視予防効果ありと認めた大規模スタデイでも、その効果は僅かなのです。
 つまり、科学的根拠に基づいて、近視予防情報を患者さんに提供しようとしても、現実的には不可能なのです。まさか、アトロピン点眼しつつ、累進屈折眼鏡を小学生にかけ続けさせることなんかできませんから。だから、いつもつれない返事になってしまうのですが・・・。ただ、必要以上に近視進行を促進させる要因を減らすことぐらいアドバイスしてもいいと考えてみました。意味不明のミドリンM点眼なんか続けても仕方ないですし・・・

 つまり、「調節」というキーワードに配慮した生活を考えた場合・・・・

1、最悪のツールは、携帯用ゲーム機(ゲームボーイ、PSP、ニンテンドーDS・・・)でしょうか。長時間にわたって、ほぼ休憩なしに、強い調節を使い続けるという点において、最悪です。ただ、私が、いくら声を大にして叫んだところで、ソニーや任天堂の商業戦略に対抗することはできません。我が子でさえ、無理だったのですから。もし、ゲームをやっている小学生の近視度数が、そうでない子供に比べて有意に大きければ、社会問題化するでしょうか・・・

2、次に、本当はこちらが本命かもしれませんが、携帯電話。これも、中高年のように、時々電話やメールに使うのと違って、中高生は、どんなに重要な電話やメールをしているのか知りませんが、実に長時間にわたって、携帯を触っています。歩いている時も、自転車に乗っている時も、バスも電車も、授業中も?トイレもベッドも・・・いったい何時間触っているのでしょうか。ただ、これも、私が、どんなに大きな声で叫んでも、ドコモ・au・ソフトバンクに対抗することは不可能です。

3、そして、パソコン。ただ、小中学生の場合、1,2の要因の方が遥かに大きいと推定します。
4、テレビ。これも、時々休憩ありですし、距離も1m以上と離れていて、調節も強くありません。
5、勉強、読書

※携帯もゲームも、眼との距離は、30cm程度?とすれば、3Dの調節を何時間も続けることになります。かつて、最大の要因と考えられたのは勉強ですが、勉強は、お受験組小学生か、大学受験前に限り、1日数時間? 或いは試験前だけ1日数時間。ゲームや携帯と違って、しばしば休憩ありなので、それほど悪い要因ではないと考えます。

 私の独断と偏見によれば、現在、近視進行の最大要因は、携帯とゲームということになります。子供の近視が心配で、何かいい方法がないかと言われる保護者の皆さまに、申し上げます。お子様が、小学校高学年や中高生になって、携帯が欲しいとか、ゲームを買ってとか言ってきても、近視を少しでも軽くしたいなら、無視しましょう。彼ら・彼女らが、「1日1時間だけよ・・・」なんて言いつけを守る確率は、限りなく零に近いことを私は経験的に知っています。もし、それらを買い与えつつ、どうにかしてくれと言われても、私は、やはり、「残念ながら、そのようないい方法はない・・」と答えるしかないのです。
 少し考えてみたのですが、やはり結果は同じことになりそうです。
by takeuchi-ganka | 2008-05-08 21:20 | 近視・遠視 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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