第37回 関西医科大学眼科同窓会総会 その1 (273)

平成20年5月18日に、滝井病院南館の臨床講堂で関西医科大学眼科同窓会総会が行われました。ここなら家から15分なので、非常に便利です。今回は、一般演題が20題、井街賞受賞口演が、2題、特別講演が1題。計23題と盛りだくさんの口演が午前10時に始まりました。

第37回 関西医科大学眼科同窓会総会

1 網膜下液生検で診断が確定したブタ回虫の一例
45歳男性、職業は林業(木こり?)で、鹿レバーの食歴があり、何故か、サルコイドーシスもある人に、網膜上方周辺部から大型の白色滲出病巣があり、硝子体混濁と滲出性網膜剥離。通常の検査では、血清・前房水・硝子体液・網膜下液全て、抗トキソカラ抗体陰性。東京医大の後藤の報告では、抗トキソカラ抗体が血清・硝子体とも(+)が42%、血清のみ(+)が28%、硝子体のみ(+)が22%だとか。ヒトが動物由来(イヌ、ネコ、ブタなど)の回虫の虫卵を飲み込むと、動物由来の回虫は成虫になることができず、幼虫のままでとどまり、体内を移動し、幼虫移行症となります。内臓幼虫移行症では好酸球という細胞が増加することが多く、眼球移行症では、今回のようにぶどう膜炎を引き起こします。確定診断には、抗体検出が必要なのですが、通常の方法では、検出できず、より感度の高い検査方法(Microtiter plate?)で、何とか網膜下液のみから抗体が検出、トキソカラと診断し、エスカゾール投与へ。それにしても、推定有罪ということで、早めにエスカゾール投与してはダメだったのでしょうか・・

2 再発を繰り返しトリアムシノロンテノン嚢下注入が著効した原田病の一例
 よく聞けば、パルスして、点滴して、内服して、減量中に再発した場合に、TAのテノン嚢下投与が有効だったようで、当然でしょうね。

3 若年者に多彩な限症状を呈した悪性リンパ腫の1症例
  33歳女性。ぶどう膜炎。FAでは、原田病のような顆粒状の過蛍光。エコーが面白く、脈絡膜が厚くなり、輝度が低い?。強膜の外側も輝度の低いエリアがある。
  この症例の特徴は、ぶどう膜炎に加えて、結膜病変?。本来なら、硝子体の細胞診や硝子体IL-10濃度測定が必要なケースだが、結膜病変があったので、この部位の病理組織診断で、び慢性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と確定(原発眼内リンパ腫(PIOL)は、DLBCLが多いようです)。
  放射性療法と大量MTX療法の併用で、3-4か月で治癒へ。

4 光線力学療法後、大量出血を生じた網膜血管腫状増殖の4例
 5の発表のPDT単独治療23眼中4眼に大量出血が生じたケースの紹介。

5 網膜血管腫状増殖に対して行った薬物併用の光線力学的療法
 こちらを先に発表すべきでしょうが、RAPにTAやbevacizumab併用のPDTを行った。すると、単独よりもはるかに良好な成績。6か月後の視力維持率もPDT単独なら55%程度だが、TAやbevacizumab併用すると85%以上。TAとbevacizumabは同程度の効果のようです。

6 強度近視眼の黄斑部網膜分離・剥離に対する術式別術後成績の検討
 一昔前なら、放置されていた症例? 高度近視眼で、黄斑部網膜が若干変性しているケースで、視力がじわじわ落ちてきた。後極部レンズあてて、じっくり見ると、何となく網膜が浮いている症例。OCTでみると、網膜が分離・剥離している。型どおりの内境界膜剥離併用の硝子体手術(PEA+IOL併用)を行った。SF6やC3F8や空気をタンポナーデ、或いはタンポナーデなしでも、結果は同じで、全例治ったようです。(OCT欲しいなあ・・・)

7 Pitの見つからないPit―Macular症候群(視神経乳頭小窩症候群)の1例
 ピット見つからないPit―Macular症候群に硝子体手術をして、網膜表面の皮質を除去すると、治った? どう考えても、網膜硝子体牽引症候群だと思って聞いてたら、タイトルの後にいつの間にか『類似』と書いてある?! ピットの位置や大きさの問題で、ピットが見えなかったとしても、ピットから脳脊髄液か何かが漏れていて、それが剥離の原因なら、この手術で治る筈がないですよね。

8 裂孔原性網膜剥離に対する25Gシステム経結膜硝子体手術の成績
 もう、20Gの時代は終わり??全く遜色ない成績のようです。

9 糖尿病網膜症に高度な黄斑部滲出性網膜剥離の併発を認めた2例
 たまたま糖尿病網膜症のある人に起ったCSC?と高血圧による脈絡膜循環障害症例?

10 血管新生緑内障に対するbevacizumab投与後の濾過手術併用硝子体手術
 松村前教授の真骨頂といった所でしょうか。
 bevacizumab入れて、新生血管が消退している内に、PRPをする、或いは、硝子体手術して、眼内にレーザーをたっぷり入れればいいようですが、そこに濾過手術を併用して、眼圧を下げることが必要な症例があるということのようです。例えば、PASが既に8割ほどあり、眼圧も50以上なら、bevacizumab入れて、新生血管が退縮しても、眼圧は高いまま。そこに硝子体手術して、眼内レーザー入れて、シリコン入れて、落ち着いた頃には、視神経が蒼白なんてことになりかねない。だから、濾過手術併用が必要な症例が存在し、成績も良好だと・・・。超難治症例の『ナロウパス』を通り抜けられるのは、網膜硝子体と緑内障両方の専門家だけ。

11、ビタミンA欠乏症に伴った重症ドライアイの1例
 精神疾患がベースにあり、その為の栄養不良に起因するビタミンA欠乏症と寄生虫妄想症の為の行為が話を複雑にしたようです。
 重症のドライアイ、涙点プラグ装着・脱落、ソフトコンタクトレンズ装用、角膜感染症、涙点閉鎖、白内障手術・・・・ビタミンA投与後やっと症状改善へ。


12、続発性が疑われる開放隅角緑内障に対するサイヌノトミー併用トラベクロトミー
 なんとも微妙なタイトル。炎症所見がなく、PASはあっても軽微。ステロイドが無効・・・・で、続発性が疑われたけど限りなく原発性?ロトシノしたら、通常のPOAG対象と同等の結果?学術的には、割りきれないですが、長年臨床をやっていると、こんな症例に多数遭遇するので、まとめて結果を見てみました・・・。って感じですね。松村前教授的切り口でしょうか。何年も見てたら、ぶどう膜炎が確認できたりするかもしれませんがね。

13 ICE症候群に対するマイトマイシンC併用トラベクレクトミーの術後成績
 大変難治な筈のこの症例も、通常のMMCレクトミーをやって、最初の1ヵ月に発生するごたごたを、レーザー切糸、ニードリングなどで乗り切ると、そこそこの成績を残せる。大変だけど、術後ケア頑張ってください。

14 ラタノプロスト投与中の正常眼圧緑内障に追加したニプラジロールの眼圧と視野への効果
 もともと16以上の高眼圧群は、ラタノにニプラジロールを加えると、確かに更に眼圧が下がり、視野の悪化も止まった。ここまでは、眼圧を下げれば効果があるという緑内障治療の大前提を確認するデータ。だけど、低眼圧群は、ラタノにニプラジロール加えても、更なる眼圧下降効果確認できず、視野の悪化阻止も確認できない?ここが一番重要な部分なのですが・・・

15 GDxでの緑内障の診断と経過観察
 GDxでもHRTでもそうですが、時に早期緑内障のような結果を示すことがありますが、個人的には、自分の眼で、NFLDや陥凹のノッチを確認し、そこに相当する部分の網膜感度低下が進行性を証明されることが緑内障診断の要諦だと思っています。

16 多焦点眼内レンズ挿入術後のタッチアップ症例
 この症例は、Array の時代のもので、それが発売されていない今は、ReZoomとRestorが使用可能だが、保険適応外。施設によって色々でしょうが、タッチアップまで含めると、片眼50万前後。徹底して、乱視を撲滅すべく、PEA+IOLにLRIを追加し、更にタッチアップを行い、満足度は如何に?多焦点IOL入れて、眼鏡なしに、遠くも近くも『まあまあ』見えるのがいいのか、単焦点IOLに眼鏡で、見たい場所を鮮明に見えるのをとるのか。個人的には、前者に両眼で100万かけるだけのアドバンテージが、まだ感じられません・・・。前田教授の意見も後者寄り?

17 関西医大における最近10年間の未熟児網膜症の検討
 関西医大のPOPの管理は、上原・小林・岡見・湖崎・福島・松永・萩原(敬称略)と受け継がれてきましたが、最近の10年間を整理してくれました。その前の10年 と比べて、変わったのは?厚生省新分類3期中になってからもなるべく待ってLK(双眼のアルゴン?)していたのを、3期中になったら、躊躇なくLK(単眼 でグリーン)する方針と1000g以下の超低出生体重児比率が増加。でも、過去10年と治療成績に大きな差はない?といった結論だったでしょうか。その 間、実はNICUの進歩が大きな改善要因として働いているのでしょうか・・・・・。膨大な資料の整理御苦労さまでした。
小児科臨床(0021-518X)40巻8号 Page2124(1987.08)
眼科臨床医報(0386-9601)85巻4号 Page1174-1178(1991.04)
眼科臨床医報(0386-9601)87巻1号 Page90-93(1993.01) 


18 重篤な視力障害を生じたインターフェロンによる両眼性前部虚血性視神経症
 64歳男性のC型肝炎患者に、レベトールと併用してペグイントロン皮下注を行った。投与後、2か月以弱で、AION発症。プレドニン投与したけど、両眼に高度の視野狭窄。右眼視力は残ったが、左眼は(0.01)へ。視神経蒼白。こんなこともあると覚えておくべき。
※インターフェロン投与中に前部虚血性視神経症を発症した1症例
臨床眼科(0370-5579)59巻5号 Page699-703(2005.05)


19 湖崎眼科の斜視手術の成績 第2報 外斜視について
 湖崎眼科の膨大な斜視手術の成績から、外斜視について。手術方法としては、両眼の外直筋後転と片眼の前後転。それぞれ手術適応が若干異なるものの、両後転の方が戻りが軽い。術後4年ぐらいは戻るものの、90%ぐらいは良好な眼位を確保。

20後天性上斜筋麻痺に対して両眼の下直筋水平移動術を行つた症例の経過
 どうもよくわからない病気の一つ、上斜筋麻痺。これが交通外傷で両眼に起り、回旋に伴う複視?を自覚し、QOVが悪い!そこで、両眼の下直筋水平移動術を行い改善が得られたそうです。
by takeuchi-ganka | 2008-05-19 21:27 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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