おはようパーソナリティーD氏へ(眼鏡について) (289)

 おはようパーソナリティーD氏へ
 いつもラジオを聴いていて気になって仕方ないのですが、近視・遠視・老眼などの言葉に少々誤解があるようなので、少しコメントしておきます。先ず、屈折異常ですが、Dさんが、眼鏡を外して、原稿がはっきり読めるとすれば、近視度数は、-3.0D程度ということになります。

簡単に言うと、眼鏡なし(裸眼)で、どの距離が一番良く見えるか(近点)で、屈折異常の度数がわかります。

遠方の山・景色なら、屈折異常なし
1mなら、-1Dの近視
50cmなら、-2Dの近視
33cmなら、-3Dの近視
20cmなら、-5Dの近視
10cmなら、-10Dの近視

となります。だから、Dさんは、原稿が良く見えるようなので、それが30cm程度の距離だとすれば、-3.0Dの近視だと推定されます。この30cmの距離が良く見えるということは、特別な眼の病気がない限り、一生変化しません。30cmの距離は、永遠です。(髄膜腫があったとしても、視野欠損であって、それ以外の影響はありません。)

 もうひとつ、調節力という要素があります。例えば、Dさんは、遠近両用じゃなくて、遠くだけを見る眼鏡をお持ちでしょうか。それをかけると、当然ながら、手元が見えにくいと思いますが、これは、調節力がなくなってきている(老眼)からなのです。若い時であれば、近視があって、眼鏡を掛けて、遠くが見える状態でも、自分の調節力で、近くも不自由なく見えていた筈です。
 下の表のように、10歳なら12D、30歳でも7D、も調節力があるのです。でも、60歳のDさんの場合は、1Dです。たった1Dなんです。
 もし、Dさんの近視が、-3Dなら、Dさんが、裸眼で、ピントがあうのは、33から、25cmの8cmしかないのです。本や原稿を読むだけなら、眼鏡は要らないでしょうが、それ以外は、眼鏡が必要になるのです。また、眼鏡をかけて、5m先がよく見える状態にしたら、自分の力では、1mより手前にはピントが合わないのです。年をとるということは、ピントの合う範囲が狭くなるということなのです。

おはようパーソナリティーD氏へ(眼鏡について) (289)_f0088231_21295543.jpg この表を説明しますと、一番左が、年齢、次が調節力、次が、Dさんと同じー3Dの近視の人の近点(はっきり見える最も近い距離)です。(10歳のときが、7cmで、今が、25cmです。つまり、近くに関しては、一生不都合はないことになります。)次がー2Dの近視、ついで正視の人の近点です。

 ここからは、眼鏡の話。今の眼鏡は、鼻眼鏡にしないと、見えにくいすか?見えにくいのは、近くですか遠くですか中間ですか・・・。
通常の遠近両用眼鏡(累進屈折眼鏡)には、数種類ありますが、D氏の眼鏡は、一番ポピュラーな遠近用でしょうか。ずらさないと、不便になっているとすれば、要するに、今の近視度数・調節能力、そして、何よりも仕事の環境にあっていないのだと思います。

累進屈折眼鏡の種類としては、

1、遠近   ①遠方重視 ②近方重視
2、中近
3、近近   ①奥行き重視 ②横の広がり重視

など、様々な眼鏡があります。

ただ、眼鏡を構成している要素は、
1)遠くにピントを合わせる部分と 2)近くにピントを合わせる部分。3)それと、その中間部分です。
この3つです。

 特に、この1)2)を何処に設定するかが問題なのです。例えば、50歳の私の場合、仕事においては、患者さんの顔が1mぐらいの距離に、カルテが30cm、パソコンの画面が50cmにあります。一番使う距離がこの30cm~1mなので、この距離をカバーする中近眼鏡か、近近の奥行き重視の眼鏡を使用していれば、仕事の間は、不自由ありません。
 勿論、ドライブやゴルフするときは、通常の遠近を使います。家の中でうろうろする時は、中近です。多少お金のかかる話ですが、眼鏡は、基本的にはもともとの屈折異常の程度に加え、年齢によって変化する調節力、更に、眼鏡を使用する状況を考慮して作る必要があるのです。ゴルフをする眼鏡では仕事はやりにくいし、5年前の眼鏡は、もう合わないのです。
 D氏の眼鏡は、適切なものでしょうか。少し気になるので、長々とコメントしてしまいました。私の話は、まだまだ分かりにいかもしれません。ご容赦ください。
 できれば、眼鏡も少しグレードアップされて、少しでも長く現役続けてください。応援しています。
追伸:『新しい朝』買いました。おはようパーソナリティーD氏へ(眼鏡について) (289)_f0088231_21342150.jpg
by takeuchi-ganka | 2008-07-10 21:35 | 眼鏡 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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