大阪眼科臨床クイックレビュー② (300)
2008年 09月 08日
日眼会誌111巻10号 感染性角膜炎診療ガイドラインを読めばいいらしいですが・・・
・病歴が重要
・コンタクトレンズ装用者が多い。10-20代の殆どは頻回交換SCL。
・保存液を使う場合、グラム陰性桿菌、ワンデイは、グラム陽性球菌が多い。
・所見:『浸潤、膿瘍、潰瘍』 この3つの所見を分析しながら・・・
・グラム陽性球菌:円形~類円形で限局性
・グラム陰性桿菌:輪状膿瘍
・真菌:糸状菌:境界不鮮明な羽毛状
・アカントアメーバ:完成期は輪状浸潤(横楕円、境界不鮮明)
・塗沫検鏡重要(意外と皆やっていない・・・)
・採取部位を配慮。原因微生物がいる場所から採取。
・正常者にも発症するCMVによる角膜内皮炎の紹介(治療:バルガンシクロビル)
・細菌感染には、ニューキノロン+βラクタム
・ニューキノロンは、クラビット?(ベガモックスなら単独でも可?)
・postantibiotic bactericidal effect(PABE)が重要。トブラマイシンおよび硫酸ミクロノマイシンで優れたPABEが確認された。アミノグリコシド系を見直すべき。
感染性角膜炎全国サーベイランス分離菌における薬剤感受性と市販点眼薬のpostantibiotic effectの比較:日本眼科学会雑誌(0029-0203)110巻12号 Page973-983(2という006.12)
・現在、日本で行われている薬剤感受性検査は、CSLIだが、これで耐性菌だと判断されても、眼科領域では、点眼治療の場合、非常に高濃度で治療することになるので、有効だったりする。CSLIの結果を鵜呑みにしないほうがいい。効果判定は自分の眼で確認。
・真菌治療
1)ポリエン系:細胞膜を直接障害する。ピマリシン、アンホテリシンB。時にすごく有効だが、副作用に注意。
2)アゾール系:主流でしょうか。細胞膜の主要成分であるエルゴステロール合成阻害。ジフルカン(原液を点眼で使用できる)、フロリード、イトリゾール、ブイフェンド・・
3)キャンディン系:細胞膜の主要成分であるβ-グルカン合成を選択的に阻害。ファンガード®(評価はこれから?)。
4)ピリミジン系:ほとんど使われない。

3、SHCLとケア用品 小玉祐司先生(小玉眼科医院)
SHCLを紹介されただけ?
従来のSCLの欠点:酸素透過性↓、乾燥しやすい、汚れやすい・・・・を補うもの?
①SHCL:低含水・高Dk ※卓越した酸素透過性。
・長期装用、酸素欠乏症状、結膜充血などの患者に良い適応。
・高い酸素透過性:従来型のSCLは、就寝時角膜肥厚9.1%増ですが、裸眼だと4.0%増、ピュアビジョンなら4.1%増と裸眼と殆ど変らない。
②乾燥しにくい。
・ドライアイ、乾燥感の強い人に・・
※表面の親水性処理:メタンプラズマコーティング(O2オプティクス)、HydraclearTM(オアシス)
③耐汚染性
・レンズが汚れやすいアレルギー性結膜炎
・眼障害発生率 従来型SCL13.9、HCL9.7、2W6.6、1day4.4そしてSHCLは3.4%と最も少ない。(ワンデイより低いとは凄いです。)
・少ないが、SHCLに多い障害は、SEALs、SPK、Smile、CLPC、mucin ball、球結膜圧痕など
・治療目的に連続装用(糸状角膜炎など)
・ケア用品との相性:PHMBを含むMPSとの相性が悪い。
※上記HPで相性の確認が必要だが、擦り洗いは重要。必ずやること。
SHCLの種類
CIBA :O2オプティクス(Dk:140) ※連続装用可
B&L :ピュアビジョン(Dk:101) ※連続装用可
J&J :アドバンス(Dk:60)、オアシス(Dk:103)
メニコン :プレミオ(Dk:129)
4、小切開硝子体手術の現況 門之園一明先生(横浜市大)
かつて、20G硝子体手術が主体でしたが、器具の進歩により、25Gシステムによる硝子体手術が普及してきた。トロカールや照明の進歩によって、安全性も高まり、現在硝子体手術の1/3程度が25Gに。23Gが1/3。従来の20Gが1/3。つまり、MIVSが半分以上となった。やがて、27Gの時代に?
5、眼内レンズをどう選択するか ビッセン宮島弘子先生(東京歯科大)
新世代多焦点IOLの素晴らしさを力説。推進派なので当然。手放しで褒められると、本当?と思ってしまうのは、私だけ?
IOLの選択:①シリコン・アクリル、②3ピース・1ピース、③球面・非球面、④着色レンズ
そして、⑤単焦点・多焦点
※新しい多焦点IOL、特に回折型のレストア、テクニスマルチなどは、遠方・近方視力良好で、コントラスト感度低下も僅か。デメリットが殆どない??
※近い将来、アクリソフベースのトーリックIOLが出てくると。アジア諸国では、シェアは既に2-3割。角膜乱視をIOLで補う?大丈夫なんでしょうかね。

質問は、出てなかったと思います。SHCLの治療用使用は、医師の裁量の範囲で、我々の責任において、使うということだと思います。メーカーがOK出す訳には行かないでしょうね。必要を感じたら、私でも使うと思います。
