2008年 10月 24日
タプロス点眼液00015% (314)
タプロス点眼液00015%(タフルプロスト)という名称の点眼で、当然キサラタンと競わされた筈で、ほぼ同等の眼圧下降、若干上回る眼圧下降率を引っさげての登場のようです。本製剤は、原薬を旭硝子が製造し、参天が製剤化した、PGF2α誘導体としては、初の国産品です。当然ながら、既存のプロスト系点眼で圧倒的シェアを誇るキサラタンを念頭において、同等以上の眼圧下降、より少ない副作用が開発目標であったと思われます。AFP-168 (tafluprost)で、少し文献検索してみました。少ししか出てきませんでしたが・・
トラボの時もそうでしたが、この手の論文には、あまり悪い話はないのが普通です、FP受容体のアゴニストとしては、ラタノを上回る親和性があり、眼圧下降も同等以上、トラフ値で少し上回り、メラニン産生細胞に対する刺激も少ない・・・。眼圧下降メカニズムは、uveoscleral flow の増加。
キサラタンが出たときは、その圧倒的な眼圧下降に驚きました。下手な緑内障手術よりも眼圧が下がる?この点眼の為に、手術が回避されたケースは多いと思います。ただ、睫毛が伸びて、眼瞼に毛が生える。次に出たトラバタンズは、塩化ベンザルコニウム(BAC)を含有しないというのが触れ込みで、眼圧下降はキサラタンと同等。BACフリーな分のアドバンテージがある?そして、3番目がタプロス。期待していいのでしょうか・・・
New fluoroprostaglandin F(2alpha) derivatives with prostanoid FP-receptor agonistic activity as potent ocular-hypotensive agents.
Biol Pharm Bull. 2003 Dec;26(12):1691-5.
Pharmacological characteristics of AFP-168 (tafluprost), a new prostanoid FP receptor agonist, as an ocular hypotensive drug.
Exp Eye Res. 2004 Apr;78(4):767-76.
補足事項 平成20年12月29日
その後、見聞きしたこの点眼についての情報を追加します。
①Cの15の位置にフッ素が2個ついている。このことが、この薬剤の安定性を増し、数年間常温保存を可能にしているようです。
②トラバタンズの時に散々言われた、FP受容体に対する親和性ですが、トラバタンズがキサラタンの2.8倍程度なのに、タプロスは何と12倍。つまり、キサラタンをトラフ値で上回る筈。点眼忘れに優しい目薬?
③20%以上の眼圧下降は80%
④high teenのNTGでも20%以上眼圧下降が62.5%
⑤低眼圧サルの実験から、低い眼圧のNTGにも期待できる?
⑥長期間安定して眼圧下降可能。
⑦問題の副作用ですが、充血、睫毛延長、眼瞼皮膚色素沈着、虹彩色素沈着などは、他のプロスト系点眼と同程度でしょうか・・・