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再び累進屈折眼鏡について (316)

遠近両用眼鏡用の累進屈折レンズ:HOYALUX のバリエーション
~HOYALUX のバリエーション~

1、Trinity   ※両面複合設計[BOOM]
2、iD      ※両面複合設計[BOOM]
3、FD     ※両面複合設計[BOOM]

4、SUMMIT PREMIUM
5、SUMMIT CD
6、SUMMIT PRO ML
7、SUMMIT PRO ML

8、GP
9、GPW

遠近両用眼鏡(累進屈折眼鏡)に使用するレンズは非常に多数あり、HOYAのHPを見ると、新しいHOYALUXサミットプロプレミアムを加えると、なんと9種類もあります。このベーシックランクのGPと最上位ランクのトリニティーでは、値段は何倍も違うようです。私の偏見では、条件によっては(加入度数が高いほど)、サミットシリーズ以下は掛けにくい(が安い)、FD以上は掛けやすい(が高い)・・・・と推定しているのですが、今回売り出したサミットプレミアムは、サミットプロに近い値段でFDに近い性能?なのでしょうか。私の経験上は、FD以上のランクのレンズに不満を抱いたことはありません。ただ、少し高い・・・。大手の激安店舗ではいったいどんなレンズが売られているのでしょう・・・

累進屈折眼鏡には、遠近以外にも、中近・近近があり、それらを含めると話が更に複雑になるので、ここでは、遠近のみ限定しますが、この遠近両用眼鏡の構成要素について少し考えてみます。

①遠用部分の屈折矯正
②加入度数


眼科で眼鏡処方箋を発行する場合、この2点とPD(瞳孔間距離)を指定するだけです。その他の要素としては、

③フレームの大きさ・デザイン
④累進屈折設計性能(レンズのグレード:HOYAで9種類)
⑤累進帯長(基本的には 11と14mm?:2種類以上)
⑥屈折率(1.50~1.74:大きいほどレンズは薄い:2-3種類?)
⑦カラー
⑧コーティング(HOYAで4種類)

1)反射防止(明るさ)
2)撥水(汚れの拭き取りやすさ)
3)耐擦傷(キズのつきにくさ)
4)帯電防止(ホコリのつきにくさ)

など、構成要素は多岐にわたります。眼鏡処方箋には、中近・近近については、レンズを指定することもありますが、眼科側で、あらゆるメーカーのあらゆる種類のテストレンズを用意することなんか不可能ですので、通常のテスト用レンズで検査を行い度数決定します。遠視であれ、近視であれ、遠用部分は、通常完全矯正します。加入度数は、ほぼ年齢によって決まります。そして、これ以外の要素については、患者さん(顧客)と眼鏡店の間で決められることになります。

私は、何種類かの遠近・中近・近近眼鏡を使用(試用)していますが、今、この原稿は、ノートパソコンでワードを使って書いていますが、使用眼鏡は、通常の遠近眼鏡で、フレームは小さめ(天地幅28mmほど)で2.0D加入の眼鏡ですが、快適です。30cmぐらいの距離にあるパソコン画面、2mぐらいの距離にあるテレビ画面。両方とも鮮明に見えています。ただ、この眼鏡は、ゴルフ・ドライブもOKですが、仕事(診察)には非常に使っていません。そこで、遠近眼鏡がなぜあまり普及しないのか考えてみました。その理由ですが、思い浮かぶのは

①揺れ・歪みが気持ち悪くて掛けれない・・
②数年で合わなくなる。
③値段が高い。
④眼鏡が使いたい場所に合っていない・・

など色々考えられます。①はもちろん重要なポイントです。若い時、遠くも近くも眼鏡なし(或いは単焦点眼鏡)で見えていましたが、老眼が始まって不自由を感じるようになり、以前のように遠くも近くも自由に見えるイメージを持って、遠近両用眼鏡を買ったりするのですが、そもそも遠近両用眼鏡がいくら進歩しても、若い時の見え方とは本質的に異なるのです。勿論Helmholtz theoryに依存しますが、若い時は、瞬時に水晶体厚みを変えることで、見たいところに焦点を合わる事が可能ですが、加齢に伴い、水晶体の厚みが変化しにくくなる。この部分を眼鏡で補う訳ですが、この眼鏡は、正面視では遠くにピントがあい、下方視で近くにピントが合う眼鏡で、その逆は無理ですし、中間部分の不安定な見え方、或いは、正面から下方へと視線を動かした場合の不安定感を完全には消すことができないのです。このあたりの不安定さは、高い眼鏡レンズほどうまく処理されているようですが・・・。 この特性を理解しないまま、遠近両用眼鏡を作っても、引き出しの肥やしになりかねないのです。加入度数が低い場合は、例えば1.0D加入なら、どんな眼鏡でも?問題は少ないかもしれませんが、2.0Dを越える加入となれば、グレードの高いレンズが必要かもしれない?
 ただ、問題はこればかりじゃなく、むしろ、一番の問題は④の眼鏡の特性が使用したい状況にあっているかどうかではないでしょうか。外勤が中心のサラリーマンとデスクワーク中心のサラリーマンとじゃ同じ眼鏡と言う訳にはゆかない。また、あまり家にいないで外を遊びまわっている不良老人?と一日テレビにかじり付いている高齢者とでは、同じ年齢だから同じ眼鏡と言う訳にはいかないのです。

 患者さんが知らないのは、無理もないことですが、眼鏡処方する医師の側、眼鏡店の方々は、中高年に眼鏡を作成する場合、これらの点をしっかりと説明する義務があると思います。コンビニのような流れで眼鏡が安売りされているのを見ると、ここでは、いったいどのような説明がなされているのか聞いてみたいと思います。
by takeuchi-ganka | 2008-10-27 19:14 | 眼鏡 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka