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増加つしつつある緑内障点眼 (321)

少し緑内障点眼について勉強する機会があったので、ブログにアップします。

以前触れた話題かもしれませんが、緑内障点眼の数がどんどん増えています。こんなに若い?私でさえ、医師になって24年以上経過しました。昭和59年、初めて緑内障治療に関わった時、選択肢は、チモプトールとピロカルピンだけでした。エピスタはありましたがもう殆ど使われていませんでした。つまり、古くから使われているピロカルピンと、当時発売後2年ほど経過して、市場を席巻していたチモプトールの2種類だけです。
チモプトールは画期的な点眼で、それまで、縮瞳作用があり暗くなるピロカルピンか散瞳作用があり眩しくなるエピスタかの選択しかなかったのですが、チモプトールは瞳孔の大きさに影響を与えず眼圧を下げるのです。あっという間に、ほとんどの緑内障患者さんに投与されたのではないでしょうか。あれから24年・・・主役の座は、プロスト系点眼となり、チモプトールは2番手か3番手の薬となってしまいました。現在の点眼選択肢は、

①プロスタグランジン製剤
プロスト系:キサラタン、トラバタンズ、タプロス
プロストン系:レスキュラ
②β遮断剤
 ・通常のβ遮断剤:チモプトール、ミケラン
 ・β1遮断剤:ベトプティック
 ・α1・β遮断剤:ハイパジール、ミロル
 ・β遮断剤(持続型):チモプトールXE、リズモンTG、ミケランLA
③炭酸脱水酵素阻害薬点眼(CAI):トルソプト、エイゾプト
④α遮断剤:デタントール
⑤他:サンピロ、ピバレフリン

こんなに増えてしまいました。それでもまだ、点眼は続々と登場予定です。そう画期的な点眼の登場は期待できないかもしれませんが・・・

・プロスト系:ビマトプロスト
・α2刺激薬:ブリモニジン
・Rho-kinase inhibitor(ROCK阻害剤)
・Alphagan P (選択的α2刺激薬)
・アンジオテンシン2受容体拮抗剤:DE-092(オルメサルタン)
・・・・

一番期待しているのは、ROCK阻害薬です。それと、初めて神経保護薬のメマンチン(グルタミン酸受容体阻害剤)。

 我々眼科医は、点眼だけに限っても、非常に多くの選択肢を与えられたことになります。かつて、チモとピロだけでコントロールし、それで不十分なら、ロトミーかレクトミーというシンプルな流れだったのが、ここまで選択の幅が広がると嬉しいやら悲しいやら・・・
 でも、現時点でのファーストチョイスは、プロスト系点眼でしょう。ついで、β遮断かCAI。これに将来、ROCK阻害薬が加わり、メマンチンを内服する?ということになるのでしょうか。

ファーストチョイスのプロスト系点眼は、10年間キサラタンの独壇場だったのが、1年前にBACフリーのトラバタンズが出て、国産初のタプロスがもうすぐ発売です。これにビマトプロストが加われば、四つ巴の戦いに・・・
β遮断剤は、従来のチモプトール、ミケラン、β1遮断剤のベトプティックに、α1遮断作用も持つハイパジール、ミロル、一日1回点眼が可能な持続型のチモプトールXE、リズモンTG、ミケランLAなど非常に多岐にわたります。
 CAIは、トルソプト、エイゾプトの2週のみ。
 更に言えば、防腐剤(BAC)を含まなくてもいい点眼瓶が開発され日本点眼のPF容器 :ブロキレートPF(β遮断剤:ミケランと同じ)、ニプラジロールPF(α1・β遮断剤)、わかもとのNP容器 :ニプラジロール (α1・β遮断剤) という、選択も可能になりました。少々使い勝手の不便さがあるかもしれませんが、これらの点眼瓶は画期的だと感じています。長期にわたって多剤併用される緑内障点眼は、時に白内障点眼・抗菌剤点眼・抗アレルギー点眼とも併用されるかもしれません。猛反対ですが、市販の目的不明・薬効不明の点眼をすることもあるようです。
そうであれば、緑内障に対して同じ薬効ならなるべく、眼表面に優しい点眼をチョイスすべきだし、今後このような点眼が増えていくことを期待しています。
 折角増えた選択肢が、緑内障患者さんにとって、福音となるように、我々眼科医は、しっかり勉強して、間違った選択をしないよう気をつけなければ・・・

 
by takeuchi-ganka | 2008-12-04 22:31 | めぐすり | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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