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カラーコンタクトレンズについて (1363)

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風にも負けず・・・

もう何度もこのブログに登場している話題だが、13回目?今回は少し異なった角度から・・

  1. https://takeganka.exblog.jp/6736655/
  2. https://takeganka.exblog.jp/8597073/
  3. https://takeganka.exblog.jp/12060032/
  4. https://takeganka.exblog.jp/18717509/
  5. https://takeganka.exblog.jp/20038311/
  6. https://takeganka.exblog.jp/20039881/
  7. https://takeganka.exblog.jp/20045660/
  8. https://takeganka.exblog.jp/22551400/
  9. https://takeganka.exblog.jp/23106788/
  10. https://takeganka.exblog.jp/30300108/
  11. https://takeganka.exblog.jp/30302019/
  12. https://takeganka.exblog.jp/30522585/

所謂カラコンのユーザーは若い女性(高校生から20歳台前半)が圧倒的多数なのだろう。恐らく彼女たちの多くは、ネットで(怪しげな)情報を得て、ネットで(適切でないかもしれない)使い方を学び、ネットで購入しているのだと思う。眼科を受診するのは、度数を知りたい時とトラブルを起こした時だけで、定期検査を受けることはほぼない。こんな状況を許しているのは、国の責任だと思うが、今回はその点については、あまり言及しないでおく。コンタクトレンズ処方箋を発行することも多くなったが、購入後、検診目的で受診されることはほぼない。

 先日、カラコンで角膜上皮障害を起こした患者さんが来院されたので、使っているカラコンを教えてもらった。『loveil(ラヴェール)』というカラコンだった。それ売っているサイトも覗いてみた。ホームページには、『完全無欠の存在感 倖田來未プロデュース! DIA15.0mm 女神カラコンが追加!メイクに合わせて選べる 魅せつけ派手盛り 上品な惹きつけオトナ盛り・・』などと、派手な記載があった。購入は、デザインを選んで、度数を選んで、注意事項を読んで内容に同意をクリックすれば可能らしい。


注意事項には、事前に眼科を受診、3ヶ月に1回は定期検査、使用方法・使用時間・レンズケアの方法を熟読するように・・・などと書いてあるが、こんなものは販売業者のアリバイ作りなのだろう。要するに、自由に買えるのです。値段はほぼ横並びみたいなので、要するにデザインが決めてなのだと思う。衣服や化粧品を選ぶのと同じように、カラコンも選ぶのだろう。眼科を受診しないと買えないとか、定期検査を受けていないとリピート購入できないという厳格なシステムでない限り、今の状況が変わることはないと思う。いくら高名なコンタクトレンズ専門家が、カラコンの危険性について、力説しようが、メディアが取り上げようが殆ど意味はない。彼女たちにしてみれば、『完全無欠の存在感/倖田來未プロデュース』のカラコンが悪い筈はないのだ。ユーザーに責任がないとは言わないが、個人的には、この購入システムを許容している国(厚労省)に責任があるのと思う。

 いつものように前置きが長いが、話はこれから。普通のソフトコンタクトレンズで最もシェアの大きなジョンソン&ジョンソンのホームページを見ると、、J&Jのコンタクトレンズは、酸素透過性を高め、保湿成分を配合し、UVをカットして・・・・・・。要するにより安全で快適なレンズであることに力点が置かれている。

ソフトコンタクトレンズの進化の歴史というのは、より高い酸素透過性を追求した歴史のように思える。このコンタクトレンズが酸素をどれだけ通すのかの指標が、酸素透過率(Dk/t値)で、

  • ワンデー アキュビュー® オアシス® MAX    121
  • カラコンのloveil(ラヴェール)        非公表

通常のソフトコンタクトレンズでは必ず公開されるこの数値が、カラコンの場合公表されていないこともあるのです。おどろ木ももの木さんしょの木、アッと驚く為五郎^^; 最も重要と思われる素材の安全性が非公表だなんて・・・。ただユーザーもそこにはこだわっていないようで・・

同系統のカラコンで酸素透過率(Dk/t値)が公表されているものを拾うと、

  • フレッシュルックワンデーカラー  26
  • スターリー              9

なので、恐らくだが、素材から判断すると、loveil(ラヴェール) も9から26の間ぐらいと推定されます。

酸素透過率の変遷(歴史)はおおよそ下記の通りです。

  • 1970年代:一桁〜10台(低Dk/t時代)。
  • 1980年代:高含水+薄型で2030
  • 1990年代:ハイドロゲルの限界として3040台が主流
  • 1998年以降:シリコンハイドロゲルで100前後〜150
  • 2000年代以降:多くの一般的シリコンハイドロゲルが80180

つまり派手な宣伝文句で売られているカラコンの酸素透過率は、せいぜい1980年代レベルということになる。4050年前主流だった素材が使われているのです。物によっては、50年以上前ということもある。若者が使うカラコンだけが、時代遅れの酸素を通しにくい素材で作られていていいのだろうか。

現在売られているカラーコンタクトレンズの現状について、驚いたことががもう一つある。

通常のソフトコンタクトレンズと同じレベルの酸素透過率を有するカラーコンタクトレンズはないのだろうか。ちょっと調べると、Dk/t(酸素透過率)が約187もあるカラコンがヒットした。

  • LARME(ラルム)シリコンハイドロゲル WモイストUV1day
  • LILMOON(リルムーン)シリコーンシリーズ ワンデー

ともにシリコンハイドロゲル素材のようで、これがなんと、4050年前の素材で酸素をあまり通さないと酷評したカラーコンタクトレンズとほぼ同じ値段で売られているらしい。激安店なら、101760円。ともにマレーシア製というのが、若干気になるが・・・。コンタクトレンズの価額に占める素材の割合はあまり高くないようで、であれば、断然この2種類の高酸素透過性カラコンがいいと思うのだが・・・


# by takeuchi-ganka | 2026-02-14 11:57 | Comments(1)

第469回大阪眼科集談会 その3「網膜変性疾患の診療のポイント」(1362)

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どんなに寒くても散歩したよね・・


特別講演「網膜変性疾患の診療のポイント」上野 真治 先生(弘前大学)

遺伝性網膜疾患(RP)の診療

  • 1,診断(家族歴)
  • 2,評価(眼底自発蛍光、静的視野)
  • 3,手術(白内障・硝子体手術)
  • 4,RPE65の遺伝子治療(ルクスターナ)
  • 5,今後の治療

癌関連網膜症(メラノーマ関連網膜症)

※今頃・・・と言われそうだが、優性遺伝⇒顕性遺伝、劣性遺伝⇒潜性遺伝と呼ぶらしい。

1,診断(家族歴)

『ご家族に同じような病気の方はおられますか?』では不十分。

私にはなかなか困難だが、兄弟の有無、両親、両親の兄弟、子供、近親婚の有無などの問診が重要。

  • 症状が軽ければ、診断されてないこともあり、問診では無理なことも。
  • 優性遺伝(顕性遺伝)でも無症候性キャリア(+)があるので、要注意
  • 孤発例が疑われた場合でも、遺伝子検査で優性遺伝する変異が見つかり、母親にごく軽症例が発見されることもある。
  • 伴性劣性遺伝(伴性潜性遺伝)RPやコロイデレミアなどの伴性劣性遺伝疾患の女性保因者にも軽度の異常が出ることがある。

2,評価

眼底の自発蛍光が有用だと。

伴性劣性遺伝(伴性潜性遺伝)RPの女性保因者で、眼底に殆ど異常がなさそうでも、FAFでは明らかな異常が見つかることもある。無侵襲検査なので、FAより行いやすくて利点も多い。

※網膜の組織で、このX染色体の不活化が細胞ごとにランダムに起こるため、正常な細胞と変異を持つ細胞が混在した状態になるらしい。つまり不活化されない細胞が混在する為、保因者の筈が、眼底異常がでることもあるらしい・・

FAFの意義

リポフスチンは網膜色素上皮が不完全に消化した視細胞の外節由来の脂質残骸で、加齢とともに蓄積する。青色光(488nm)を吸収して黄色の蛍光を発するため、眼底AFで明るく映る。つまり過蛍光の状態は、網膜色素上皮内のリポフスチン顆粒(未消化の視細胞外節残骸)が多い事を意味し、網膜色素上皮機能低下を示唆している。網膜色素上皮の障害が更に進行して、外節の貪食消化が全く行われないか、網膜色素上皮そのものが変性萎縮すると、当然リポフスチン顆粒はなくなり、FAFは低蛍光となる。つまり、眼底所見だけではわからない網膜色素上皮の機能低下、変性の進行の程度が把握できる可能性がある。【もう35年ぐらい昔になるが、微量オルニチンを硝子体内投与して、網膜色素上皮を選択的に障害する実験をしたことがあるが、投与直後から網膜色素上皮内のリポフスチン顆粒が増加したのを覚えています。】例えば、正常部位、過蛍光部位、低蛍光部位が並んでいることもあり、それは網膜色素上皮正常部位、網膜色素上皮機能低下部位、網膜色素上皮変性萎縮部位が並んでいることを意味している。

次にOCTだが、EZが見えるかどうかが問題となる。EZとは、視細胞内節(inner segment, IS)と外節(outer segment, OS)の境界線の周辺領域の事で、これが見えているということは、視細胞がまだ健全な状態にあり、同部位には視機能があると推定される。

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中心部の視機能の評価は、『視野102OCTEZが見える範囲』。必ずしも一致しないこともあるが、この2つが評価の基本となる。またMDスロープで今後の視機能の予測もある程度可能。平均すると0.6dB/程度。102まで異常部位が広がってきたら(狭くなってきたら)、ロービジョン外来・身体障害の申請・網膜色素変性協会の紹介などを考慮する。

https://jrps.org/ 

※網膜色素変性症の患者と家族を支援し、疾患啓発と研究促進を行う患者会・NPO団体

3,手術

白内障は通常よりかなり早期に発症する。平均年齢で20歳若い。後嚢下混濁が多く、チン小帯脆弱。前嚢収縮が強い事も多いので、CTR挿入を推奨。IOL挿入後脱臼することも多い。また網膜硝子体牽引が強く、分離・円孔発症のリスクあれば手術へ。。

遺伝子治療

網膜色素変性症の3050%は原因遺伝子が同定できる。日本人では、EYS遺伝子変異が最も多い。原因遺伝子が判明しているケースの数%だが、RPE65遺伝子変異があり、この場合、遺伝子補充療法が可能に・・・(ルクスターナ)。ただ、通常両眼するので、薬剤費1億円(*_*)

※このAAVベクターを用いて、正常なRPE65遺伝子を網膜色素上皮に直接導入し、ビジュアルサイクルの機能を回復さる・・・らしいが、現時点では、1億円に見合う効果はなさそうな気がする。

⇒ https://youtu.be/d_YJZn-ft_Q?si=1D84M69sk9I-0sJl

※日本では、東京医療センターと神戸アイセンターのみ

PrismGuideIRDパネルシステムとは

PrismGuideIRDパネルシステムは、遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy, IRDの原因遺伝子を同定するための国内初の遺伝子パネル検査システム。シスメックス社により2023531日に製造販売承認を取得。

検査の構成と対象遺伝子

本システムは、試薬キットと解析プログラムから構成されるコンビネーション医療機器で、以下の機能を持ちます:

  • 82IRD関連遺伝子を網羅的に検査
  • 患者由来の全血から抽出したDNAを分析
  • 次世代シークエンシング(NGS)技術を用いた遺伝子解析
  • ハイブリッドキャプチャー法によるポストキャプチャーDNAライブラリー調製
  • 得られた塩基配列情報から塩基置換(SNVMNV)や挿入欠失変異(InDel)を一括検出

RPE65遺伝子変異が疑われる場合のみ、保険適応(+):常染色体潜性遺伝、早期発症の重篤症例で、ERGも消失しているようなケースのみ。

Visual(Retinoid)cycleに関連する遺伝子異常の場合、リポフスチン顆粒蓄積がなく、FAFで過蛍光にならない・・・らしい。

光遺伝学を用いた治療

 ルクスターナは、残存している網膜色素上皮にAAVを用いて、RPE65を導入して、Visualcycleを復活させる方法だが、より進行して、残存視細胞がない網膜に(残存している別種の網膜細胞を新たな光受容細胞として使う)、AAVを硝子体注射で光感受性タンパク物質を導入させて、視覚を再生させる方法。硝子体注射という簡便な手技なので、手術室でなくても、どこでも可能。

※キメラロドプシン:動物型ロドプシンと微生物型ロドプシンの長所を組み合わせて設計された光センサータンパク質で、視覚再生のために最適化された人工ロドプシン。

https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20250306_n01/

iPS細胞由来網膜シート移植

網膜色素変性症に対する「同種iPS細胞由来網膜シート移植」の世界初の臨床研究は、神戸アイセンター病院で2020年に開始され、目標2例が登録され全例に移植済み。加齢黄斑変性に対するRPEシートと異なり、視細胞を含む立体網膜シート。残念ながら、今後はアメリカで臨床試験・・

※まだまだ視機能の改善は僅かしか得られない段階。

腫瘍随伴網膜症

腫瘍に関連して生じた自己抗体による網膜障害

  • 視細胞に対する自己抗体⇒CAR
  • 双極細胞に対する自己抗体⇒MAR

 ※TRPM1ON型双極細胞とメラノサイトに発現するTRPファミリーのカチオン(陽イオン)チャネル。

 ※このTRPM1に対する自己抗体⇒MAR? 病初期、眼底写真、FA所見、OCTもほぼ正常で、ERGのみ異常。この抗体はやがて消失するようで、発症早期なら検出率高いらしい。中には元となる腫瘍(メラノーマ、肺小細胞癌など)を治療して、自己抗体も消失し、その後視機能やERGが改善するケースもあるらしい。


# by takeuchi-ganka | 2026-01-27 17:50 | Comments(0)

第469回大阪眼科集談会 その2 (1361)

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どんなに寒くても散歩したなあ・・・


6演者 両眼の経過に差を認めた慢性網膜壊死の1例(近畿大 宇山慎吾)

近医①74歳男性。緑内障があり、ミケルナで加療中に飛蚊症(+)(ここまでは、ありふれた状況)

近医②右眼鼻上側の網膜白濁・出血、硝子体混濁(+) ⇒光凝固、STTAしたら、眼底所見悪化、眼圧上昇、リパスジル点眼追加後、近大へ。

近大初診時は、Td/Ts=32/33mmHg、右眼隅角にNV(+)。⇒広範囲の網膜血管閉塞を伴うCMV網膜炎(慢性網膜壊死)と診断されて、その後は定石通りの治療。ガンシクロビル点眼、その後硝子体注射、右眼にはアフリベルセプト注射とPRP・・・一連の治療。右眼硝子体手術、左眼ろ過手術・・など行うも視野狭窄・視力低下(+)。膵癌で緩和ケアとなり治療終了。

※開業医としては、どうしても近医②が気になる。DMのある緑内障の高齢者。ありふれた状況だが、突然飛蚊症があり、眼底に白色滲出斑と出血。滲出斑に光凝固してその後STTA?こんな怪しげな滲出斑を診たら、CMVを疑いすぐに大学へ行ってもらうなあ。数年後には緩和ケアになるほどの膵癌があったので、この影響も気になる。

※最後のろ過手術も気になる。視野が狭いのは緑内障性視神経萎縮よりは網膜血管閉塞が原因だとしたら、手術適応あり?

CMV網膜炎と言えば、免疫不全状態が高度であれば、トマトケチャップをぶつけたような派手な眼底所見で有名だが、免疫状態がそこまで低下していなければ、ちょっと診断に迷うような軽めの眼底所見(周辺部顆粒型)となるようです。

https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec08.html 

7演者 網膜中心静脈閉塞症に併発した網膜血管剥離症が原因であった硝子体出血の一例(大阪公大 西川馨士)

虚血性変化の強いCRVO後、恐らくPVDが発生して、牽引剥離された血管の破綻が原因と思われる硝子体出血。ビトして牽引解除して終了。

https://journals.lww.com/ijo/fulltext/2018/66050/recurrent_vitreous_hemorrhage_secondary_to_retinal.28.aspx#:~:text=Abstract,%5B%205%20%2C%206%20%5D

8演者 薬剤耐性菌による硝子体注射後眼内炎の一例(JCHO大阪みなと中央病院 川村碧海)

https://www.jrvs.jp/backnumber/20240222.html 

硝子体注射が標準的な治療となり、世界中で行われていて、一定頻度で眼内炎の発症は仕方のないことなのかもれない。日本では0.007%らしい。今回の症例は、レボフロキサシン耐性のCNSによる眼内炎。元の疾患にもよるけど、硝子体注射は、何回どころか何十回注射するかもしれない。その都度周術期にレボフロキサシンしていれば、当然耐性菌の出現が予想される。日本網膜硝子体学会としては、

―――――――――――――――――――――――――――

①注射前の適切な消毒および推奨されている注射手順を守る(日眼誌120:87-90, 2016(黄斑疾患に対する硝子体注射ガイドライン)を参照)。

②通常の患者(感染症のリスクが高くない患者)には注射前後の抗菌薬点眼を使用しなくてもよい(1を遵守していれば抗菌薬点眼は原則不要であり、耐性菌の問題から抗菌薬は使用しないことが推奨される。)。

―――――――――――――――――――――――――――

とホームページに記載しているが、演者の結論としては、周術期抗菌剤点眼は行いつつ、リスクの高い症例においては、硝子体注射前に適宜結膜嚢細菌培養を行うと。検出されたら、それに感受性のある抗菌剤を使用すると・・・。それがなかったらどうするの?

9演者 当院における眼内レンズ脱臼、亜脱臼の臨床所見とリスク因子の検討(関西医大 森寺陵太)

特別な知見はない。PPVの硝子体郭清の程度との関連やビト後の頻度を調べてほしいと・・。

10演者 胸腺腫に合併した自己免疫網膜症と考えられた一例(大阪医薬大 清水葉月)

47歳男性。主訴左眼視力低下・視野欠損。元々緑内障もあったようだが、それだけなら視力低下・視野欠損拡大などの比較的急速な症状悪化は説明がつかないと判断して、紹介受診。

OCTで、進行の明らかな左眼に、網膜外層障害検出されたので自己免疫網膜症と診断。胸腺腫がみつかったので腫瘍随伴性の自己免疫網膜症。ステロイドパルスが無効だったので胸腺腫摘出。その後自己免疫網膜症進行停止。

https://academia.carenet.com/share/news/a4451da8-53af-439b-8fe5-e90d0c7f1b15 

※我々でも、緑内障があったものの、急速に進行自覚症状があり、該当部位の網膜外層障害がOCTで検出されたら、この疾患を想定できるかなあ・・・

11演者 クマ外傷による涙小管断裂の1例(オキュロフェイシャルクリニック 佐藤陽平)

昨年クマに襲われる事件が激増したので、タイムリーな発表。ただ、襲われた直後の顔写真が衝撃的で、涙小管断裂とその修復がささいなことに思えてしまった。結論としては、なるべく早い時期に手術すべきで、それも単に涙小管の再建だけではだめで、その周囲の解剖(内眥靭帯、ホルネル筋など)を良く理解した上で、涙小管周囲組織も再建しないと、涙道機能は改善しないと。

12演者 Conductive Keratoplasty後眼における4ステップIOL選択法を用いた多焦点眼内レンズ挿入の1例(大阪大 後藤聡)

ConductiveKeratoplastyは、20年以上前に行われた遠視・老視に対する屈折矯正手術のひとつで、角膜周辺部を収縮させて、角膜中央部の屈折を強くする手技。

https://youtu.be/3tDBl3cYVtE?si=zV9GkNuMcQ6THa5l

術後は、不正乱視を伴うことがあり、IOL度数計算には注意が必要。

4ステップIOL選択法

  • ①角膜不正乱視(高次収差HOA)⇒HOA高いとプレミアムIOLの適応(-)
  • ②角膜形状 ⇒正しい計算式の選択
  • ③角膜正乱視 ⇒トーリックIOL
  • ④角膜球面収差⇒プラスなら非球面IOL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33221325/ 


# by takeuchi-ganka | 2026-01-23 11:37 | Comments(1)

第469回大阪眼科集談会 その1 (1360)

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10年前、一緒にカワセミ見ていたなあ・・
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1演者 緑内障点眼後の眼圧低下に伴い近視化を呈した放射状角膜切開術後眼の1例(大阪大 石川紗希)

今どきRK術後の患者さんを見ることは稀になったのだが・・・。30年前にRKされていて、緑内障もあり、朝点眼すると見えにくくなり来院。すると、緑内障点眼後、眼圧上昇と平行して、角膜の屈折力が強くなり、同時に中心角膜厚も減少し、近視化していたことが判明。

緑内障点眼歴も長そうなのに、なぜ今頃?これはRK症例の多くに言えることなのか?この症例はRKの深さとかが普通ではなかったのか?レーシックではこのような報告はないのだろうか?眼圧下降以外に、緑内障点眼の副作用(角膜浮腫)などは関係しないだろうか・・疑問は残るなあ・・

※そういえば、miniRKなどと言って、多数報告していた先生いたけど、どうなってるのかなあ・・・

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8978266/ 

Rapidand reversible alteration in corneal contour and power associated with

Netarsudil/Latanoprost”

2演者 圧迫性視神経症を伴う最重症の甲状腺眼症に対してテプロツムマブが奏功した一例(大阪公立大 石川早希絵)

https://www.tepezza-pts.jp/tepezza/info 

⇒『テッペーザは、自己抗体の代わりにIGF-1受容体に結合することでIGF-1受容体のはたらきを抑え、炎症、脂肪の増加、筋肉の肥大化を抑制。これにより、眼球突出や眼球運動の改善が期待できる。』

高齢(90歳)、甲状腺全摘後、急性発症の重症の甲状腺眼症、特殊症例のよう・・・。

高齢だが、視力低下(0.05)、CFF低下、眼球突出、眼球運動障害、眼痛・充血・・・・など最重症甲状腺眼症と診断され、テプロツムマブ投与され、奏功した。眼球運動障害は残っているようだが・・

※今回は高齢でもあり、ステロイドパルスを飛ばして、テプロツムマブ投与。

※オキュロフェイシャルクリニックの鹿嶋先生のフェイスブックから

『テプロツムマブが販売開始になりました。1本約100万と高額な薬。50キロ未満は1回1バイアルだけど50キロ以上は12バイアル使用。3週ごとに8回行うので、50キロ未満は800万、50キロ以上は1600万医療費がかかる。自己負担がどれくらいになるか計算してみました。まず月のどこから始めるかでも負担額が異なります・・・・・・。次に自己負担額のトータルを計算してみました。月収によって上限額が異なるのですが、区分アの方で120万、区分イで80万、区分ウで40万、区分エで30万』

※彼は、トリアムシノロンを眼窩先端部に効かせる方法を推奨されていて、ステロイドの全身への副作用を回避できて、著効するなら、安価で言う事無し?

3演者 NICUにて経験したAicardi症候群の二例 (大阪医薬大 板垣由実)

⇒こんな眼底所見が示されていた。脳梁欠損、てんかん性スパズムに加えて、眼科的にこのような脈絡膜欠損の所見があれば、診断しやすいようです。

4演者 網膜中心静脈閉塞症の黄斑浮腫に対して乳がん術後化学療法のベバシズマブ全身投与が著効した一例(市立貝塚 白木多賀子)

網膜中心静脈閉塞症で黄斑浮腫が発症し、何度もIVRしていたが(19回)、乳がんが再発して、ベバシズマブとパクリタキセルが全身投与されていた1年間は、ME再発なかった。その後ベバシズマブが中止されるとME再発。どうやら、全身投与されたベバシズマブがCRVOME再発を抑制していたらしい。

5演者 偽翼状片術後の小児ステロイド緑内障に対して隅角内視鏡併用マイクロフックロトミーを施行した一例(大阪大 岩崎歩)

ベタメタゾン点眼をリスクを冒してでも長期間点眼せざるをえない前眼部病変があり、結果ステロイド緑内障発症。前眼部病変の影響(角膜混濁)で、通常のロトミーintrnoができないので、隅角内視鏡を用いたロトミーへ。内視鏡がなくても、ロトミーexternoで十分だと思うけど。


# by takeuchi-ganka | 2026-01-21 11:29 | Comments(1)

原発閉塞隅角病について (1359)

原発閉塞隅角病について (1359)_f0088231_18431932.jpg
先日約20年間ともに暮らした愛犬に先立てれてしまいました。
写真を見ると、胸が締め付けられるので、当分見ないようにしていますが、
今年最後の記事の冒頭の写真はやはり・・・


所謂『原発閉塞隅角緑内障』という疾患の名前は、元々国によって定義も異なり、時代によっても呼び名が変遷している。今回、この病名が、

原発閉塞隅角病 ⇒ Spectrum of PACsPAC

  • 原発閉塞隅角症疑い(PACs

PACD(原発閉塞隅角病)

この呼び名に統一されるようです。ただ、名前が代わっても病気そのものが変化する訳じゃないし、病気そのものをしっかり診断できるかどうかが問題なのは言うまでもない。このSpectrum of PACというのは、原発開放隅角緑内障と異なり、解剖学的なアンバランス、一般的には、眼軸が短い、前房が浅い、水晶体が厚い、プラトー虹彩などの特徴を持った眼の中で、やがて隅角が閉塞、眼圧上昇、視神経障害が発生するかもしれない範疇に属する眼に対する呼称だと思う。その中で、

1,原発閉塞隅角症疑い

これは、単に隅角が狭くて、将来隅角が閉塞する可能性のある眼につけられた病名でしょう。疑いとつくけど、病名という妙な感じがしますが。以前は単に狭隅角と呼んでいたものが、将来を見越して原発閉塞隅角症疑いと呼ぶのだろう。この将来隅角が閉塞する可能性をどこで判断しているのか。直接的には、隅角角度だが、これに深く関わる要因として、眼軸・前房深度・瞳孔ブロックの程度・水晶体厚などがある。

 一般的には、細隙灯顕微鏡検査、隅角鏡検査、そして前眼部OCTを行い、診断を行うことになる。前房深度が2.3mm以上ある、やや狭い程度の隅角なら除外してもいいのかもしれないが、前房深度がそれ以下になってくると、通常徐々に瞳孔ブロックも強くなり、隅角は更に狭くなるので、このあたりから、原発閉塞隅角症疑い(PACs)でいいのかもしれない。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211505612000567#fig1

trabecular-irisspace area (TISA)


※日本においては、もうかなり前からレーザー虹彩切開術の角膜内皮へ及ぼす影響が大きく取り上げられ、私自身も殆どレーザー虹彩切開術を行わなくなってしまった。ただ世界的には、ZAP TrialANA-LIS studyなどが行われ、特に後者においては、PACSにレーザー虹彩切開術をすれば、無治療で5年で10%がPACPACGに進展するものが、その半分程度に抑制できたとしている。このPACSからPACへ進展するのに関わる需要な要素が『TISA500』だと。

※隅角が狭いといっても、それに関わる様々要があり、レーザー虹彩切開術は、その中の瞳孔ブロックを解除するだけなので、他の要因の程度によって、レーザー虹彩切開術の有効性は異なってくるのだろう。

※アメリカのAAOの定義ではITCIridocornealcontact)が180°以上&peripheralanterior synechia(-)となっている。ITC180°以上って、かなりのハイリスクだと思うのだけど・・。日本では、細隙光を細くして、上下、耳鼻側で観察して、Shaffer分類を行い、第一眼位で線維柱帯が見えないと『closed』。圧迫隅角でPASの有無を判定。(※私は、これが多くの眼科医がしっかりできているかどうか、かなり懐疑的だ。)

2,原発閉塞隅角症/原発閉塞隅角緑内障

Spectrum of PACsPAC)の中で、前房深度が更に浅くなってくると、瞳孔ブロックは更に強くなり、隅角は閉塞することになる。この隅角が閉塞する過程というのは、全く隅角閉塞のない状態から一気に広範囲に閉塞して、高度の眼圧上昇を伴う急性発作もあれば、少しずつ隅角閉塞範囲が広がり、徐々に眼圧上昇をきたし、POAGに近い経過をたどるものもあれば、徐々に隅角閉塞が広がり、ある時急性発作に類似した眼圧上昇をきたすものもあるだろう。この経過の違いも、狭い隅角をつくる様々な解剖学的要因と、薬物・環境などの差によって生まれるものだと思う。

そして、隅角閉塞の結果、眼圧上昇を来し、それが視神経障害を引き起こせば、PACPACGとなる。治療は、日本においては、現時点では水晶体摘出が一般的だが、EAGLE studyは、レーザー虹彩切開術と水晶体摘出を比較したもので、どちらも有効だが、眼圧・点眼数・視力、追加手術などで水晶体摘出がより有効だったとしているが、当然だろう。レーザー虹彩切開術は、瞳孔ブロックを解除するだけなので、既に発生した周辺虹彩前癒着の多くは開かないだろうし、瞳孔ブロック以外の狭隅角原因も解除しないので。

※ただいつも思うのだけど、日本では殆どレーザー虹彩切開術しなくなり、Spectrumof PACsPAC)は、PAC/PACGとなるまで治療されない。そうなると、かなり慎重な経過観察が必要になる。患者さんは、当然無自覚なので、通院動機は乏しく、しっかり病気を理解してくれないと十分な経過観察も簡単ではない。もし、ヤグ主体で行うことでレーザー虹彩切開術による角膜内皮への影響を、あまり考えなくていいのなら、Spectrum of PACsPAC)の中の一定以上の症例に広くレーザー虹彩切開術を行うことができて、、瞳孔ブロックを解除しておけば、悲劇が回避できると思うのだけど。もちろん、稀にはじわじわPASが拡大し眼圧上昇きたすことはあるだろうが、悲劇は回避できる。レーザー虹彩切開術されてない全く無症状のSpectrum of PACsPAC)がPAC/PACGに移行しないか、チェックし続けるより遥かに安全&確実では・・

※これもいつも思うことだが、隅角閉塞の大きな要因のひとつが瞳孔ブロックだが、これはPASが発生し、それが広範囲になればなるほど、眼圧上昇とともに瞳孔ブロックは減少する。慢性のPACPAS80%ぐらいある眼の瞳孔ブロックは殆どなかったりする。何が言いたいかと言うと、PACSの中には、瞳孔ブロックの強いレーザー虹彩切開術の適応症例があるが、PAC/PACGの方が、レーザー虹彩切開術適応症例が少ない筈・・ということです。

Spectrumof PACsPAC)に急性発作を誘発する可能性のある薬剤は非常に多く、これも注意が必要とされている。もちろん一番危険なのは、散瞳剤です。殆どの眼科医は、散瞳する時に、この眼をこの薬剤で散瞳しても大丈夫か・・・と考えなら、ミドリンPを使ったり、ネオシネジンにしたり、それも1回だけ使用して、検査後すぐ縮瞳確認したりと、かなり気を使っています。ただ、散瞳剤などと比べると遥かにその散瞳効果が弱いと思われる薬剤は多数存在しますが、いつも、どれほどの危険性があるのだろう。例えば、前房深度が1.8mm以下で、虹彩のforward bowingがあり、隅角がスリット状にしか開いてないか、ITC(+)の眼なら、最後に一押しされて急性発作誘発もあるだろうが、前房深度が2.00mm近くあり、それほどforward bowingもない眼なら、あまり抗コリン作用のある内服薬を禁忌扱いにするのは過剰反応ではないだろうかと思う。本当は眼科医の管理下にないから危険なのだけど・・

【狭隅角眼(原発閉塞隅角症疑い)⇒抗コリン作用薬剤禁忌】

という図式はあまりに単純すぎないだろうか。ただ、日本でレーザー虹彩切開術がされなくなり、瞳孔ブロック(+)が放置されたままの原発閉塞隅角病が多くなってくると、中には最後の一押しを抗コリン作用を有する薬剤がしてしまうこともあるかもしれません。だからといって、すべての診療科において、PACS/PAC/PACGには投与禁忌、慎重投与とされている薬剤を投与する前に、眼科医のチェックが必要となれば大変だし、厳密には、そのチェックは、眼科医でも大変だったりするのでは・・・^^; また、水晶体の加齢に伴う肥厚を考慮すると、40歳で安心でも、70歳では危険なこともあるだろう。

 このPAC治療の理想と現実の間には、大きな溝がある・・・気がする。


# by takeuchi-ganka | 2025-12-24 18:49 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka