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関西医大の思い出 (1369)

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人生なんてあっという間に終わってしまうのだと思う。

有名な人物も無名の人物も、時が来ればこの世に終わりを告げる・・・・なんて、人生の終末的書き出しをするのは、そんな年になってしまったからか・・・^^;

私は、大学入学にちょっと足踏みしていたので、同期より僅かに年上だが、昭和59年の春に、今では考えられない11名という大人数で関西医大眼科に入局した。この中には、後に初の自学出身教授となる秀才髙橋もいた。湖崎もね。別に試験があった訳でも、シーリングがあった訳でもなく、来るもの拒まずって雰囲気で、玉石混交(?)だが、当時は10名以上の入局者数も珍しくなかった。これは恐ろしい事で、毎年10名だと10年で100人も医局員が増える計算で、毎年数名なのとは大違いなのです。

時代が違うと言ってしまえば身も蓋もないのだけど、医学部を卒業したら、どこかの大学病院の医局に所属するのを、当然と考えていた。そこで、医学知識・技術もさることながら、医師としての基本姿勢のようなものを学ぶことになる。効率重視の今の若者(息子を含む)には信じられないだろうが。そして基本無給である。無給だけど、朝から夜遅くまで大学病院にいるのです。そこに長時間いることで、諸先輩・同期の医師たちが、どのような状況で、どのように考えて、どのように振る舞うのか・・を学んでいくのです。古い言葉だけど丁稚奉公だと考えていた。医学部に入り、国会試験を通って、医師免許をもっていたとしても、とても、医師といえる状態ではないのです。医学知識を中途半端にもった若造に過ぎないのです。

我々は、朝早くから夜遅くまで、とにかく大学病院にいた。急患があったとき、患者さんの状態が変化した時は、絶対書物では学べない貴重な機会となります。5時で時間が来たので帰りますでは、まったく勉強にならない。先輩たちも何かを教えてくれるのは、彼らの日常業務が終わった後だったりするのです。医局の一番奥の机に座っておられたO熊先生は、いつも山のように仕事かかえ、奈良まで帰るのに遅くまで医局におられました。少しでも早く帰る我々を見つけると、『もう帰るんですか。いいですね・・・』と必ず、生暖かい言葉をかけていただいた^^;

 働き方改革という名の、働きたい人までも働かせない改革が世にはびこり、労働者不足を招き、外国人労働者を受け入れるという、日本全体が最悪の展開を見せているが、これが大学病院にも波及しているらしい。今の若い医者の将来が若干心配になる。メディアは、当直した後、外来・手術の激務に追われる医師を取り上げ、働き方改革の必要性を宣伝しているが、いつものメディアのやり口で、極端な例を取り上げたり、時には無いことをでっち上げ、それを叩くことで、左側に偏った政策の正当性を浸透させている(そして浸透してしまった)・・気がする。

 当時、毎朝病院の眼科外来に行って、外回りと呼ばれる仕事(問診・検査指示・検査・・・)やシュライバー(教授診のカルテ書き)を昼過ぎまでやり、その後病棟に行って受け持ち患者の診察をしていた。手術日は、手術助手に入るが、終わったら外来業務に戻る。もう少し外来業務について詳しく思い出してみる。

1,マイクで患者さんを呼んで問診。(当時は◯◯さん・・その後◯◯様)

※多分若造医師は失礼な言葉で対応し、不十分な問診をしていたのだと思う)

2,検査の指示出し(視力・眼圧・散瞳など・・)

※何でもかんでも散瞳していた気がする。偶に散瞳指示出さないと、中から、何で散瞳してへんねん・・なんて怒られるので)

3,隣の部屋のベッドで、眼圧測定(ノンコンじゃなくシェッツなのです)。ペンライトで前房の深さ、虹彩の膨隆度をみて散瞳へ

※これでよく緑内障発作の誘発が多発しなかったものだ。神業かも・・・。だいたい散瞳して大丈夫かどうかなんて、若造医師にわかる筈がない^^;

4,フルオレセイン蛍光眼底造影(FAG)・眼底写真・前眼部写真などの検査

※いったいどれほどの数のFAGをしたのだろうか。眼底カメラ耐久テスト的だったかも。キャノンのカメラはよく頑張ったと思う。途中患者さんが気分悪くなり、しばしば嘔吐されるが、何とか頑張ってもらい、バチバチ撮り続けるのです。アナフィラキシーショックの経験がなかった事を神に感謝しています。

ここまで、昭和59年頃の話です。ここで、当時の主任教授(宇山昌延)と関西医大眼科学教室の歴史について。宇山先生は、昭和7年生まれで当時52歳。当然超怖いです。

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昭和 3年 6月    大阪女子高等医学専門学校

昭和 7年       付属病院開院(41床)

昭和 7年 4月 1日 初代:井街謙教授 就任(昭和9年8月25日倉敷中央病院眼科部長へ)

昭和 9年       付属病院開院(130床)

昭和 9年 8月30日 第2代:瀬戸文雄教授(昭和41年1月19日までの約30年間)

昭和19年 6月 1日 越智雅子助教授(昭和20年4月28日まで)

昭和24年       大阪女子医科大学

昭和29年       関西医科大学病院  300床

昭和30年       第7回近畿眼科学会(後の中部眼科学会)を主催

昭和31年10月 1日 今野信一助教授(昭和34年1月31日)

昭和31年 3月   宇山先生 京都大学医学部医学科卒業

昭和32年 3月   宇山先生 北野病院にて、医学実地修練終了

昭和32年 5月   宇山先生 京都大学医学部 眼科学教室入局

昭和32年 6月   宇山先生 京都大学医学部 助手

昭和32年 7月   宇山先生 医師国家試験合格、医師免許 (私が生まれたのはこの頃です)

昭和34年 2月 1日 三根亨助教授(昭和45年12月31日、大阪日赤病院眼科部長へ)

昭和34年       関西医科大学病院 500床

昭和38年       関西医科大学病院 680床

昭和40年 6月   宇山先生 京都大学医学博士

昭和41年 4月 1日 塚原勇教授(昭和50年4月30日まで、京大教授へ)

昭和43年       中部眼科学会 特別 講演:中心性網膜炎の病理と臨床

昭和45年       眼科28床

昭和46年 1月 1日 福地悟助教授(昭和51年2月29日まで)

昭和47年       眼科同窓会結成

            第38回中部眼科学会を主催

昭和50年 8月   宇山先生 京都大学医学部 助教授

昭和51年 2月   宇山先生 関西医科大学眼科 教授

           外来患者総数 30.155人(1日平均96人)

昭和52年 5月   関西医科大学病院 850床、眼科45床(6E

昭和53年 1月 1日 三木弘彦先生が助教授に(^^

昭和55年 5月   宇山先生 日本眼科学会:宿題報告【脈絡膜循環障害の病態】

昭和58年 4月~昭和62年 3月 宇山先生 関西医科大学付属病院院長併任

昭和61年~平成 2年 宇山先生 日本眼科学会専門医制度委員会試験委員長

           外来患者総数 62.367人(1日平均199人)

昭和62年       眼科57床(6E,N

昭和62年10月   宇山先生 日本臨床眼科学会 特別講演【網膜色素上皮の臨床】

平成 1年       第28回日本網膜剥離学会を主催

平成 2年       第15回日本小児眼科学会を主催

平成 3年 5月   宇山先生 日本眼科学会:特別講演【脈絡膜新生血管、基礎と臨床】

平成 3年~5年   宇山先生 日本眼科学会雑誌編集委員長

平成 4年       第58回日本中部眼科学会を主催

平成 4年 5月23日 宇山先生 マイケルソン賞受賞

           第3回国際眼内循環、血管新生国際シンポジウム(パリ)

           【脈絡膜新生血管と網膜色素上皮の研究】

平成 5年       眼科65床(6E,5F)

平成 6年       第5回日本ICG蛍光造影研究会を主催

平成 7年       西村哲哉先生が助教授に

            外来患者総数 74.941人(1日平均276人)

平成 9年      第101回日本眼科学会総会を主催

            第5回国際眼内循環、血管新生シンポジウム(事務局)

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初代:井街謙教授(昭和74月から昭和98月までその後、倉敷中央病院眼科部長へ)

2代:瀬戸文雄教授(昭和98月から昭和411月までの約30年間)

3代:塚原勇教授(昭和414月から昭和504月、その後京大教授へ)

4代:宇山昌延教授(昭和512月から平成113月)

5代:松村美代教授(平成118月から平成203月)

6代:髙橋寛二教授(平成207月から令和63月)

7代:今井尚徳教授(令和65月から)

この宇山先生と関西医大(眼科)の歴史は、私が医局に在籍した時代(宇山時代)のメモから転記したものです。教室が順調に発展しているのが如実にわかります。守口の弱小私立女子医専だったのが(失礼)、暗黒の時代を経て(当時何度も聞いた^^;)、塚原・宇山の時代に立派な大学病院として成長したようです。関西医大眼科同窓会は、昭和47年ですから54年ほど前、中部眼科学会を主催した時に作られました。眼科学教室を金銭面でもバックアップするシステムとして作られた気がします。この眼科同窓会は、50年以上経過し、今更何故か同門会という名前に変更されてしまいました。個人的には許しがたい暴挙のように感じましたが・・。

 私が入局した昭和59年は、宇山先生が教授就任9年目、日眼の宿題報告が終わり、病院長も兼任されていた時期にあたります。油が乗り切った52^^; 一日あたりの外来人数平均が、就任当初100人弱だったのが、200人ぐらいに増加し、殺人的な忙しさの外来を楽しんでおられました。当時は予約診療システムなんかなくて、外来人数は増え続け、多い時は、300人超えることもあった気がします。9時に外来を始められ、ぶっ通しで夕方になることも。外来・手術・病棟回診・教育・学会発表・海外出張・病院長・労組との交渉まで・・疲れを知らないスーパーマンだったなあ・・

 少なくとも私は、この小さなスーパーマンが運営する眼科学教室の中での日々を楽しんでいました。ただ教授が全幅の信頼を置いているのは、限られた数人だけで、それはある意味悲しくもあり嬉しくもあるという微妙な状況だったのです。その限られた数名は、全幅の信頼を置かれているのですから、当然期待に答えなくてはならない・・・プレッシャー下に置かれます。我々はそのプレッシャーの外にいたので、自由にさせてもらっていました。限られた数名とは、O熊先生、N村先生、そして髙橋です。Y岸先生は特別枠・・

 O熊先生は、何でも知っていて、何でもできる先生って感じだった。教授も外来で光凝固が必要な時は、いつも『O熊くんいる?』言われてました。決して竹内くんいる?とは言われません^^; その後研究室で、電子顕微鏡写真のコメントを書いた時も、ちょっと怪しいコメントだと見抜くと『O熊くんに見てもらった?』と言われるのです。つまり本当に信頼されているのはいつも数名だけなのです。お前の目は節穴なので、信頼のおける人のチェックが必要だと言われているのです。緑内障の診断とか隅角所見ぐらいは信頼されていた可能性はありますが、低い可能性です。この『O熊くんいる+』は、時代が変わると、『N村くんいる?』や『髙橋くんいる?』に変化していきます。

 この頃から40年以上の時が流れ、宇山先生は鬼籍に入られました。手術の天才N村先生は、奇跡的な頑張りで現役続行中ですが、髙橋は、ついこの間まで主任教授を努めていたものの、体調不良もあり、退職となってしまいました。当時守口市にあった病院は、枚方が本院、守口が分院となり、分院には、当時一緒に働かせてもらった医師が数名おられ、特にN村・O辻先生には、大変お世話になっていますが、本院のドクターは誰も知りません。関西医大も遠い存在になってしまった。尊敬する同期の星が主任教授になったので、強引に息子を入局させたのですが、あっという間に疎遠になってしまった。時の流れには逆らえないなあ・・・

 ただ、開業して25年以上経過したが、私には、日々の疑問を一緒に考えてくれる仲間がいます。リアルには年に1-2回の食事会ぐらいしか会えないけど、毎日のように投げた疑問に答えてくれる仲間がいます。特にK先生とのやり取りは、多分1000回以上かも。彼女のおかげで、日々勉強するモチベーションを維持できているのかもしれません。心から感謝しております。もうちょっと頑張ろうっと。


# by takeuchi-ganka | 2026-06-02 10:30 | Comments(0)

第471回大阪眼科集談会 その4(1368)

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自宅前の公園の藤が満開になりました

特別講演> 「遺伝の考え方と実際」 辻川 元一 先生(大阪大学)

第1章 考え方

予想通りの難解な講演。いつも、遺伝と聞いただけで、腰が引けるのだが、ちょっと頑張ってみようかな。

有名なメンデルの法則というのがある。メンデルは有名学者ではなく修道院の司祭だったので、彼の発表は、ほぼ黙殺され、30年以上経過した彼の死後、有名学者が再発見するまで埋もれていたらしい。(知らなかった^^;) メンデルの発見から100年以上経過しているが、私はこの遺伝の原則の理解さえ危うい。中高生に戻ったつもりで再勉強。

メンデルの法則とは、形質が親から子へ伝わる仕組みを説明する3つの基本法則(優性・分離・独立)。ただ、遺伝はこのメンデル形式に従うものと、そうでないものがある。

ある形質が「1つの遺伝子座の2つの対立遺伝子」で決まり、それぞれの遺伝子が「別々の染色体上」にあり、互いに独立に分配され、環境要因などの影響が小さい場合、メンデル遺伝形式に従った遺伝形質となる(らしい)。富士額・耳たぶ・耳垢・手を組むと左が上・舌を丸められか・酒に強い・ABO血液型などはメンデル遺伝形質とされている。

※離散量と連続量

この言葉が出てきた瞬間、木が遠くなったが、

離散量というのは、「あるか・ないか」「1個・2」のようにとびとびの値。
連続量というのは、身長・体重のような理屈の上ではどんな中間値も取りうる「滑らかな」量

1,分離の法則

単純に言えば、「対になっている遺伝子が、減数分裂のときに分かれて別々の配偶子に入る」という規則」

「父由来と母由来で1組になっている、形と大きさが同じ染色体のペア」(相同染色体)において、遺伝子は「アレル(対立遺伝子)」として2つ存在する。この2つのアレルは減数分裂の時に分かれて、一つの配偶子(精子や卵子)にはひとつのアレルが入る。離散分布をとる形質例えばABO血液型などは、メンデル遺伝の法則の説明モデルとして使われることが多い。

※こんな事をメンデルは遺伝子という概念がなかった時代に見つけていたらしい。

2,独立の法則

2組以上の対立遺伝子は、それぞれがお互いに影響せず、独立に配偶子の中に分かれ入る」⇒「AaBb という個体が減数分裂でつくる配偶子は、ABAbaBab 4種類が同じ割合でできる」

※染色体の数は2346本だが、受け継がれる形質は、染色体の数より遥かに多い。つまり一つの染色体にいくつもの遺伝子がある。ざっくり1本に1000個ほど。基本的には、同じ染色体に存在する遺伝子たちは、同じように受け継がれていく(連鎖する)筈。ただ減数分裂の時に、同じ染色体の近い部位に存在する遺伝子は、ほぼ同じように受け継がれていく(強い連鎖)が、同じ染色体でも少し離れた部位に存在する遺伝子は、乗り換えで同じ組み合わせで受け継がれないこともある(recombination)。

1%の確率で組み換えが起こる距離を1cM(センチモルガン)と呼ぶらしい。

※『乗り換え』:減数分裂の初期に、父由来と母由来の相同染色体がぴったり対になって並びます。その接している部分で、2本の染色体が交差し、DNAの一部を互いに交換します。この「DNAの区間を交換する」ことを、「乗り換え」あるいは「組換え」と呼びます

https://www.kazusa.or.jp/dnaftb/11/animation.html 

3,支配の法則(優性の法則(優劣の法則))

「対立遺伝子のうち片方が、もう片方の表現型を支配して隠してしまう」。遺伝子型が「AA」のときに現れる形質⇒A、遺伝子型が「aa」のときに現れる形質⇒a。この二つを交配してできた遺伝子型が「Aa」のときに現れる形質⇒Aa型の形質が隠れてしまう)。この場合Aの方を優性遺伝子(顕性形質を支配する遺伝子)、aの方を劣性遺伝子と呼ぶ。

機能喪失型変異

変異によって、遺伝子が本来持っている機能が弱くなるHypomorphic Allele、機能が失われるNull Allele場合がある。

例えば酵素欠損病の場合、「片方のアレルだけが機能低下(hypomorph)程度なら発病せず、両方が重度の機能低下〜欠損になって初めて発病する」ため、常染色体劣性遺伝形式をとるものが多数となる(場合が多い)。

逆に、 野生型アレル1本ぶんの産生量では生理的に足りないため、ヘテロ接合の時点で症状が出る場合をハプロ不全と呼び、優性遺伝形式をとる。代表例としては、PAX6という、眼と脳の発生を司る転写因子をコードする遺伝子があり、眼発生のマスター転写因子で、機能が半分になるだけで眼形成不全(無虹彩、小眼球症など)を起こすことが知られている。

機能獲得型変異

我々でも偶に遭遇する顆粒状角膜ジストロフィー(granular corneal dystrophy, GCD)は、TGFBI遺伝子の機能獲得型変異で、正常より沈着しやすく・蓄積しやすい性質タンパク質を産生するため、角膜に沈着する。この場合は、ヘテロでも軽症だが発症し、ホモなら重症となる。優性遺伝形式をとる。

dominantnegative effect

「変異タンパクが正常タンパクの働きを邪魔して、全体として機能を潰してしまう現象」

ALDH2は、「アルコール代謝で生じるアセトアルデヒドを酢酸に分解する主要なアルデヒド脱水素酵素(アルデヒド脱水素酵素2)」で、サブユニットが4つ集まって1つの酵素として機能している。ただ、「4つのサブユニットのうち1つでも不活性型が混ざると、その4量体全体がほとんど働かない」という性質がある。この一つの不活性型サブユニットが他の正常サブユニットの活性まで損なってしまう効果を『dominant negative effect』と呼んでいる。

ALDH2遺伝子エクソン12の一塩基多型 rs671:塩基 G→A では、成熟タンパク質 487番目のアミノ酸が GluE→ LysK) に置換される。野生型アレルを ALDH21、変異型アレルを ALDH22** と呼ぶ。野生型アレル2本を持つものがNN型(正常ホモ接合体)、野生型と変異型アレルを1本ずつもつものが、MN型(ヘテロ接合体)、変異型アレル2本もつものがMM型(変異ホモ接合体)と呼び、NN型は酒に強く、MM型は全く酒が飲めないタイプとなり、日本人に多いのは、MN型で少し飲めるけど、顔が真っ赤になるタイプということになります。

MN型のアルデハイド酸化酵素4量体は、①正常4、②正常3+変異1、③正常2+変異2、③正常1+変異3、④変異4個の4パターン。どれがどれくらいの割合になるのかは、神のみぞ知る?決まってないようですが、正常4個の4量体ができる確率は1/16のようで、ヘテロ(MN)の酵素活性は、正常ホモ(NN)の1/16だそうです。私のクリニックの飲み会で、いくらでもRed Flushなく飲めるモンスターがいますが、彼女はNN型なのでしょう。私は完全なMN型。太刀打ちできない筈です。

因みに、産生されるアルデヒドは毒性があり問題視なのですが、MM型は全く飲めないで問題ない。NN型は飲んでもすぐ代謝できるので、問題ないですが、MN型は、中途半端に飲んで中間代謝産物アルデヒドの血中濃度が高くなり、顔も赤くなり(RedFlush)、これが食道がんのリスクを高めると言われています。今更遅いですが、MN型で酒がやめられない私は、食道がんリスクがかなり高いと思われます^^;

第2部:実際

多様性 Clinical heterogeneityを司るもの

網膜色素変性に限らないですが、同じ遺伝子異常があっても、眼底所見やERGがかなり多様性を示すのは、何故でしょうか。様々な要因があるのでしょうが、その一つが例えば光(環境要因)。EYS変異を持つゼブラフィッシュモデルでも、光刺激により視細胞の細胞死が増加することが示されており、「光曝露が病態進行に促進的に働く」のは確かなようです。

https://www.riken.jp/press/2024/20240423_2/index.html

一つの原因遺伝子変異以外に、「修飾遺伝子」が表現型を変えることがあるようです。ゼブラフィッシュ(S334Xfish)を飼育していると、軽症のラインがある。軽症からは軽症が生まれ、重症からは重症が生まれる。軽症もラインでも、遺伝子異常は同様に存在していた。この重症・軽症の差はどこからか?軽症のラインでは、一部異なる遺伝子(上流の3塩基)がみつかり、それが修飾遺伝子として働き(cis-element)、毒性のあるロドプシン産生が抑えられていた。また軽症のラインから重症に戻るものと、軽症のままのものがあった(1:1で)。重症に戻るものは、cis-elementをキャンセルする修飾する遺伝子(trans-element)が存在していた。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41961469/

※演者のこの論文は発表されたばかり・・


# by takeuchi-ganka | 2026-04-19 18:18 | Comments(0)

第471回大阪眼科集談会 その3(1367)

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7 強膜レンズにより就労継続が可能となった円錐角膜の一例

松本佳保里、新開陽一郎(医誠会国際総合病院)、北澤耕司、外園千恵(京都府立医大)

https://ophtecs.co.jp/products/vueuno-supreme/practitioner/products_medical

強膜レンズというのは、角膜の本では、見たことがある・・・程度だったが、製造販売承認を受けた強膜レンズは日本で初めてらしい。昔からよく名前だけは聞いたことのあるボストン強膜レンズはFDA承認だが、日本では未承認で、限られたクリニックが個人輸入で扱っているだけらしい。

『ビューノ®Supremeは、オフテクス社が開発した日本初の承認取得済み強膜レンズで、従来の眼鏡・ソフト・通常HCLでは十分な視力が得られない角膜乱視・角膜形状異常眼に対する視力補正を目的とした医療用ハードコンタクトレンズです。角膜には触れず強膜で支持し、レンズ下の涙液層で角膜を保護しながら不正乱視をマスキングする設計で、HCL不耐の患者でも装用しやすいことが特長です。』

詳細は承知していないが、処方もそれほど難しくないらしい。値段はひとつ10万ぐらいと高価だけど、他に手段がなければ価値ありそう。

円錐角膜を視力矯正する場合、通常は、ハードコンタクトレンズ、多段階カーブハードコンタクトレンズ(ローズK2など)などで、対応しつつ、角膜クロスリンキングで進行を抑制するが、それでは対応出来ない時の次のステップとして、ビューノ®Supremeが選択肢になりそう。円錐角膜が更に重症になればボストン強膜レンズや角膜移植・角膜内リングへ。

※ボストン強膜レンズは個人輸入で片眼25万以上らしい

8 前房に後房用眼内レンズ挿入数年後に悪性緑内障を発症した1

寺尾まどか、森山まゆ、石田 理(大阪暁明館病院)、喜田照代(大阪医薬大)

白内障手術にトラブルがあったからと言って、後房用に入れるIOLを前房に入れていい筈はないけど、時にこんな事もあるようで・・。このIOLが何故緑内障を引き起こしたのだろうか。そのメカニズムがはっきりしない。明確な説明はなかった気がする。眼圧上昇して、内皮減少も相まって、水庖性角膜症になりかかっていたけど、行われたのは周辺虹彩切除術。それで前房が深くなって眼圧下降したのなら、悪性緑内障ではなく、瞳孔ブロックが原因の緑内障の筈。前房に入ったIOLが瞳孔ブロックの原因になるだろうか。むしろ、残存している水晶体皮質・前嚢・硝子体などと共に前房に入ったIOLが瞳孔付近で房水の流れをブロックするのならありうるかも。瞳孔ブロックがあれば、通常虹彩は前方へ膨隆するはずだが、それを前房IOLがマスクしているような状況なのか・・・・と妄想する。なら悪性じゃないな。

69歳のX連鎖性先天性網膜分離症

山本有貴、湯川知恵 飯田知子(第一東和会病院)

XLRSは、RS1遺伝子変異を原因とするX連鎖性若年網膜分離(網膜分裂)症で、主に男児に発症し、黄斑の嚢胞性変化と網膜層の分離を特徴とする遺伝性網膜疾患。

小児期早期に両眼性の視力低下、読書困難、弱視として発見されることが多く、視力低下は屈折矯正では十分に改善しないことが多い。眼底では黄斑部の放射状嚢胞性変化(「車輪状」分離)や周辺網膜の分離がみられ、全視野ERGではa波保たれb波著減の陰性型が典型的である。昔何度か、黄斑部の車軸状網膜分離を見せてもらった。今回の69歳で発見されたということは、中心視力が比較的保たれ、OCTで軽度の黄斑schisisのみ、周辺部病変・合併症に乏しいタイプだったのかな。

10広角眼底画像における網膜裂孔・網膜剥離検出AIの性能評価

西 浩之、西 悠太郎、佐方弘哲、境 友起夫、中江玲子、福田宏美、西 佳代、西 起史 (西眼科病院)

自動化する必要があるのかなあ・・と思って聞いてたけど、飛蚊症の有無に限らず、いちいち散瞳して周辺部まで精査しなくても、広角眼底画像をとってAIで判断する時代が来るのかも。

11網膜復位に網膜下索状物の外科的切除を要した若年者の増殖性硝子体網膜症の2例

大島佑介、大須賀 翔、櫻井寿也(八尾市)、庄田裕美(高槻市)、溝口 晋(松原市)

12眼瞼手術後早期に甲状腺眼症と診断された2

岩﨑莉佳子、北口善之、河本晋平、森本 壮、下條裕史、藤野貴啓、西田幸二(大阪大)

眼瞼皮膚弛緩の手術をした69歳男性。眼瞼下垂の手術を2回した55歳女性が、術後早期に甲状腺眼症が見つかった。手術が誘発することはないので、ちょっとマスクされていた所見が明らかになったということなのだろうか。

13小児陳旧性閉鎖型眼窩骨折の1例

佐藤陽平、藤田恭史(大阪市)、鹿嶋友敬(東京都)、中村 聡(明石市)、南 愛(豊中市)

眼窩骨折には、開放型(open door)と閉塞型(trap door)があり、前者は待機手術でもいいけど、後者は遅くとも48時間以内の緊急対応が必要。今回は前医でプレートが入れられた陳旧性の閉鎖型症例だが、瘢痕を取り除くと改善が得られたらしい。


# by takeuchi-ganka | 2026-04-10 11:46 | Comments(0)

第471回大阪眼科集談会 その2(1366)

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18年前の又兵衛(多分今頃散り始めてる筈)

4 乳癌に対してtrastuzumab emtansine 投与中に両眼の角膜の急峻化を認めた1

武市有希也、田尻健介、喜田照代(大阪医薬大)

単なる一例報告なのだが、その一つの演題を理解するにも、その前段の基礎知識が色々必要で・・・。いきなりリンカーとかペイロードと言われても^^;

ADC:抗体薬物複合体(Antibody‑DrugConjugate)とは、①がん細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体 ②強力な細胞傷害性薬(ペイロード) ③両者をつなぐリンカーから構成される。つまり、①抗体:標的(例:HER2)をピンポイントに認識し、薬をがん細胞まで運び、③リンカー:血中では安定だが、がん細胞内(エンドソーム/リソソーム)で切れて、③ペイロード(微小管阻害薬やDNA障害薬など)ががん細胞内で放出される。トラスツズマブ エムタンシン(T‑DM1)は「抗HER2抗体トラスツズマブ」+「ペイロードDM1(マイタンシノイド系微小管阻害薬)」+「MCCリンカー」からなる代表的ADCです。HER2シグナル抑制とDM1による細胞障害の二重の機序で抗腫瘍効果を示します。

HER2は、細胞表面にある受容体型チロシンキナーゼで、ヒト上皮成長因子受容体2Human Epidermal growth factor Receptor 2)。乳がんでは全体の約1520%がHER2陽性とされ、HER2陽性乳がんでは増殖が速く、本来は予後不良のサブタイプだが、HER2を狙い撃ちする分子標的薬トラスツズマブ、ペルツズマブ、T‑DM1T‑DXdなど)により、予後が大きく改善したらしい。

基本的な作用ステップ

1. HER2への特異的結合:トラスツズマブ部分がHER2受容体に高親和性で結合し、HER2シグナル(特にPI3K/AKT経路)を抑制、ADCC誘導、HER2外ドメインのシェディング抑制など、元来のトラスツズマブ作用を保持します。

2. エンドサイトーシスと細胞内移行:HER2に結合したT-DM1は受容体とともにエンドサイトーシスで細胞内に取り込まれ、エンドソームを経てリソソームに移行します。

3. リソソーム内での分解とペイロード放出:リソソーム内で抗体部分が分解され、Lys MCC DM1などの代謝産物の形でDM1が細胞内に放出されます。

4. DM1による微小管阻害とアポトーシス:DM1はチューブリンに結合し微小管重合を強力に阻害、紡錘体形成を妨げて細胞周期を主にM期で停止させ、結果としてアポトーシスを誘導します。

複雑なメカニズムを有する強力な抗癌剤だが、角膜上皮障害を含む眼毒性を起こしうる抗HER2抗体薬物複合体で、微小嚢胞様変化や偽樹枝状病変などが報告されています。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12718967/ 

この論文では、⇒『細隙灯顕微鏡検査では、両眼の角膜に多数の上皮下微小嚢胞様上皮変化(MEC)が認められ、傍中心リングを形成していた。トポグラフィーでは、両眼に中心部の平坦化が認められた』 今回の発表は、よくわからないけど、角膜トポがsteepening。何故?浸潤病巣があるのは何故?結局よく理解できませんでしたが、とりあえずこの薬剤を使用する場合は、視力、屈折、角膜トポグラフィーの定期的なモニタリングが必要。少なくとも、飛び込みで来院されても診断不可能なので、この手の薬剤を投与する時は、関連する診療科への連絡は必須だと思う。

5 濾過術後に再発性穿孔を来した前部ぶどう腫の1例

藤野貴啓、松下賢治、森本 壮、河嶋瑠美、岡﨑智之、臼井審一、西田幸二(大阪大)

そもそも濾過手術の適応があったのか・・・なんて思ってしまう。内皮もデスメもなく、眼圧上昇に伴って眼球が拡大してしまうような眼。最終的に眼球内容除去・・

6 テブダック®により角膜穿孔が生じた一例

山下正奈、堀田芙美香、岩橋千春、江口洋、日下俊次(近畿大)

このテブダックも、進行または再発の子宮頸がんに用いられる抗体薬物複合体(ADC)製剤

①標的抗体:抗ヒト組織因子(tissue factorTF)ヒト化モノクローナル抗体(チソツマブ)

②ペイロード:モノメチルアウリスタチンEMMAE)-微小管重合阻害薬

③リンカー:プロテアーゼ切断型リンカー(細胞内で分解されMMAEを遊離)

角膜炎:全症例の約1819%で報告されており、重大な眼障害として位置付けられています。

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CTCAEver5.0 角膜炎(Keratitis

Common Terminology Criteria for Adverse Events 有害事象を「名称+重症度(Grade 15)」で統一的に評価するための国際基準)

Grade 1:症状なし、または臨床所見・検査所見のみ。⇒治療を要さない軽微な所見のみ。※僅かなSPKのみ?

Grade 2:症状あり。⇒中等度の視力低下を伴う(最高矯正視力0.5以上、または既知のベースラインから3段階以下の視力低下)。SPK多数?角膜びらん?

Grade 3:症状あり。⇒顕著な視力低下(最高矯正視力0.5未満かつ0.1超、またはベースラインから3段階を超える視力低下)。または角膜潰瘍、または身の回りの日常生活動作の制限を伴う場合。

Grade 4:罹患眼の穿孔または最高矯正視力0.1以下の重度視力障害。

Grade 5:死亡(角膜炎が直接死因となる例は通常想定されず、定義上は記載のみ)。

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53歳女性。充血・SPK出現・SPK悪化・角膜びらん・角膜穿孔に・・つまり、グレード1から始まりグレード4に。両眼の角膜中央から下方に大きな浸潤病巣があって左眼穿孔したようだが、眼科医と密接な連絡が必要な薬剤。このADCの副作用を熟知していたら、SPKが増加してきた段階で、中止勧告したくなりそうな・・

眼障害を引き起こす可能性のあるADCを調べたら、今回の集談会で登場したもの以外にも結構多くて、今後フォローが大変かもしれない。


ADC

標的

ペイロード

主な報告眼障害の例

ベランタマブ マホドチン

(多発性骨髄腫)

BCMA

MMAF

角膜上皮微小嚢胞様変化、霧視、視力低下hpcr+1

ブレンツキシマブ ベドチン(CD30陽性リンパ腫)

CD30

MMAE

角膜障害・ドライアイなどの報告hpcr+1

エンホルツマブ ベドチン(尿路上皮がん)

Nectin‑4

MMAE

角膜炎・結膜炎・ドライアイhpcr+2

ミルベツキシマブ ソラブタンシン(卵巣がんなど)

FRα

DM4(メイタンシノイド)

角膜上皮変化、視力低下hpcr+1

サシツズマブ ゴビテカン(乳がん)

Trop‑2

SN‑38

角膜表層障害などの眼毒性シグナルhpcr

トラスツズマブ デルクステカン(T‑DXd)(乳がん・胃がん)

HER2

トポイソメラーゼI阻害薬

角膜・結膜症状の報告あり(頻度は中等度)hpcr

トラスツズマブ エムタンシン(T‑DM1)(HER2陽性乳がん)

HER2

DM1(メイタンシノイド)

角膜微小嚢胞様変化、偽樹枝状病変などhpcr

チソツマブ ベドチン(テブダック)(子宮頸がん)

TF

MMAE

結膜炎、角膜炎、ドライアイ、視力低下(失明例リスクも)

ブーレンレップ(多発性骨髄腫)

Nectin‑4

MMAE

角膜障害・ドライアイ等に対し専用の眼障害マネジメントガイドあり




# by takeuchi-ganka | 2026-04-07 11:22 | Comments(0)

第471回大阪眼科集談会 その1(1365)

第471回大阪眼科集談会 その1(1365)_f0088231_10480973.jpg

オンデマンドで聞いてもいいのだけど、春雨の降る中久しぶりにオーバルホールへ。最後まで聴くのは辛いので、難解な特別講演はオンデマンドでじっくり聴こうかな。せっかくオーバルホールまで来たので、いつものように、出入橋のきんつば屋できんつばを買いました。あのおばあちゃんがいなかったけど、大丈夫なのかなあ・・

第471回 大阪眼科集談会プログラム

日時:令和8年4月4日(土)14:00-17:00  場所:毎日新聞オーバルホール

1 片眼硝子体出血と両眼性虚血性網膜動静脈炎を生じた結核性ぶどう膜炎の一例

竹島由樹、藤本聡子、林 信(大阪大)、白木多賀子(市立貝塚病院)、前野貴俊、 西田幸二(大阪大)

結核は網膜静脈炎/網膜静脈周囲炎(結核性網膜血管炎)の原因として古くから知られており、医師になりたての頃も病棟で何例か経験した記憶がある。病因は①結核菌の血行性播種による直接感染、②結核菌抗原に対する遅延型過敏反応など免疫学的機序の両方が想定されいて、①には結核治療、②にはステロイド投与。通常は併用するのだろうか・・。

65歳女性に両眼にBRVOがあって、その後硝子体出血をきたしたと・・紹介受診。ただ、この時点でグラアルファ点眼しているので、恐らく両眼とも眼圧上昇していたのだろうが、その時に隅角鏡入れてたら、NVPASが見つかって、もう少し早期に診断に辿り着いたきがするなあ。FAしたら、広範囲に無血管野があって、クオンティフェロン陽性で、結核による閉塞性網膜動静脈血管炎とそれによる血管新生緑内障を強く疑い、結核治療を行って改善へ・・

2 抗AQP4抗体、抗MOG抗体陽性視神経炎の臨床経過

林 真衣、春名優甫、田上瑞記、坂井 淳、三澤宣彦、伊藤義彰、本田 茂(大阪公大)

AQP4抗体陽性:視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の一表現型で、比較的中年以降、女性に多い。視神経炎は長い連続病変(ロングセグメント)になりやすく、視交叉~視索を巻き込むことも多い。

MOG抗体陽性独立した「MOGADMOG antibody-associated disease)」の一表現型で、小児~若年成人に多く、性差は目立たないか軽い。視神経炎では視神経の肥厚・造影が目立ち、しばしば前部視神経優位。脊髄病変はAQP4ほど長大でないことが多い。

※抗AQP4抗体陽性視神経炎の方が、抗MOG抗体陽性視神経炎より明らかに視力予後不良と報告されており、MOG-ONMS-ONに近いレベルまで回復することが多い。

3 肺腺癌に対するアテゾリズマブ投与後に発症したぶどう膜炎の1例

友田彩子、三木克朗、尾辻 剛、西村哲哉(関西医大総合医療センター)、今井尚徳(関西医大)

免疫関連有害事象(irAE Immune-Related Adverse Event)とは、免疫チェックポイント阻害薬によって免疫が過剰に活性化された結果、自己免疫反応のような形で全身の臓器障害として現れる副作用の総称らしい。免疫機能をうまく操作して癌細胞を叩こうとしているのだが、簡単ではない・・・

https://chugai-pharm.jp/product/irae-compass-plus/whats-irae/index/ 

肺腺癌にアテゾリズマブを使用した段階で、irAE発症は覚悟している筈で、発症したら、臓器別にその重症度をグレード分類して、免疫チェックポイント阻害薬(ICIを中止するかどうか判断することになる。虹彩炎(ぶどう膜炎)の場合は、

CTCAEv5.0「ぶどう膜炎」グレード基準

  • Grade 1:わずかな(trace)炎症細胞浸潤を伴う前部ぶどう膜炎。
  • Grade 21+ 2+ の炎症細胞浸潤を伴う前部ぶどう膜炎。
  • Grade 33+ 以上の炎症細胞浸潤を伴う前部ぶどう膜炎、または中等度の後部ぶどう膜炎、もしくは全ぶどう膜炎。
  • Grade 4:罹患眼の最高矯正視力 0.1 以下。
  • Grade 5:なし(ぶどう膜炎単独では定義なし)。

※提示症例は、グレード3なので、ぶどう膜炎の治療しつつ、原則ICI中止なのだが、ちょっと中止しにくい・・気がするけど。


# by takeuchi-ganka | 2026-04-06 11:31 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka