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第467回 大阪眼科集談会 その3(1353)

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もう15年ほど前の写真。まだ50代の師匠が大目玉を食らってしまった(^^)


9 網膜中心静脈閉塞症に併発した網膜血管剥離症が原因であった硝子体出血の1例

○林 真衣、平山公美子、山本 学、本田茂(大阪公大)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6709322/#:~:text=This%20syndrome%20consists%20of%20recurrent,visual%20prognosis%20is%20generally%20good. 

65歳女性のCRVO(下方のRVOの方が閉塞強い)。半年近く経過して、鼻側の白線化した血管が牽引剥離され、それが原因と思われる硝子体出血(+)。出血繰り返したので、硝子体手術へ。本来は、剥離した血管を温存するほうがいいらしい・・・・

10 広範囲の網膜虚血を認めた、サイトメガロウイルス網膜炎の一例

○大谷恵里佳、小林崇俊、大須賀 翔、水野博史、茶木俊光、延藤綾香、喜田照代(大阪医薬大)

57歳男性。多発性骨髄腫で加療中、右眼ぶどう膜炎発症。前眼部は軽度虹彩炎だが、眼底はCMVR白色顆粒状病変、白線化した血管、高度のCMECD4陽性細胞も低値(免疫能低下)。虹彩炎も悪化し、前房水からもCMV大量に検出された。バルガンシクロビル内服、ガンシクロビル点眼✕6開始、ガンシクロビル硝子体注射も行い、角膜きれいになったが、眼圧上昇し、CMEは更に高度となり、FAで非常に広範囲に無血管野確認され、虹彩新生血管も。入院して、ガンシクロビル点滴、アフリベルセプト硝子体注射で、CME軽減したが、硝子体混濁で、十分なPRPができないから(?)、ビトレクトミーしてPRPSO入れて終了。要するに、ガンシクロビルを点滴・点眼でしっかり入れつつ、混濁した硝子体を切除し、十分な光凝固が行えて初めて病勢を止めることができた感じ。

※急性網膜壊死(ARN)とは異なり、結果として広範囲に網膜虚血を伴うサイトメガロウイルス網膜炎(CMVR)は、慢性網膜壊死(CRN)と呼ばれているらしい・・・・。ARNなら数日だが、CRNは1ヶ月近くかけて虚血が進行?

11 左斜台部腫瘍が原因と考えられた再発内斜視の一例

○中本和宏、森本 壮、河本 晋平、藤野貴啓、下條裕史、岩﨑莉佳子、北口善之、西田幸二(大阪大)

40歳女性。

36歳で複視(+)。脳神経内科受診、MRI異常(-)

→ その後内斜視、プリズム眼鏡処方、内斜視悪化、手術目的で紹介。4550ET(近)、50ET(遠)。左眼8mmの前後転。術後も複視(+)、プリズム眼鏡。

→ 2年経過して内斜視悪化。右眼に7mmの前後転術。その後も内斜視悪化して、外転障害

→ 左斜台部に腫瘍(髄膜腫)(+)。これによる外転神経麻痺。

※初診される前の脳神経内科でのMRIでは斜台部腫瘍(-)

※恥ずかしながら、斜台部というのは、初めて聞いた用語。

『斜台腫瘍とは、頭蓋骨の底にある「斜台」という骨にできる腫瘍のことです。主に脊索腫や軟骨肉腫などの悪性腫瘍が多く、複視(物が二重に見える)などの症状を引き起こすことがあります。

最初から、腫瘍が原因だった可能性はあるが、最初のMRIでは、何もうつってない。髄膜腫は年間2-3mmのゆっくりとした増大速度なので、初回のMRIではほぼ見えなくても仕方ない・・・。

※斜視に詳しくないが、36歳で内斜視が悪化して、手術するも更に悪化して再手術・・って結果は、レアではないのか?こんな場合、外転神経障害を想定することは一般的ではないのだろうか?

12 ワニの涙症候群に対して涙腺切除を施行した2例

○佐藤陽平、藤田恭史、相川美和(大阪市)、鹿嶋友敬(東京都)、中村聡(明石市)、南 愛(豊中市)

たまに遭遇するが、手術的介入があるとは知らなかった。顔面神経損傷後の回復過程で、唾液腺へと向かう筈の副交感神経が誤って涙腺へ向かってしまったのが原因の疾患。治療として、ここでもボトックスが行われているらしい。誤って再生した副交感神経(コリン作動性ニューロン)を除去するのが目的だが、複数回必要だったり、眼瞼下垂が生じたりするので、今回の発表は、眼窩部涙腺切除。眼瞼部涙腺切除すると、導管も傷つけて、重症のドライアイになるので、眼窩部のみ。でも、涙腺機能としては、眼窩部がメインではないのだろうか?

症例は81歳女性と62歳女性。顔面神経麻痺後のCTSCrocodile tear syndrome)。ボトックス効果不十分だったので、眼窩部涙腺切除。シルマー低下したが軽度。CTS改善。

※涙腺には、眼窩部と眼瞼部があり、涙液分泌機能としては、眼窩部がメインで、眼瞼部がサブのよう;に記載があるが、眼瞼部の涙腺を切除すると、導管を傷つけてドライアイが重症になる可能性があるので、眼窩部のみ切除するらしい。ただ涙腺機能の大半は眼窩部が担っているので、ドライアイが悪化しそうな気もするが・・


# by takeuchi-ganka | 2025-09-17 17:55 | Comments(0)

第467回 大阪眼科集談会 その2 (1352)

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17年前の愛犬・・(今やほぼ寝たきり^^;)


4 高齢の線維柱帯切除術後に生じた上脈絡膜出血の1

○松村徳和、春名優甫、本田 茂(大阪公大)

※若干適応が気になるなあ・・。90歳にレクトミー・・・させたくないなあ。一つ間違ったら、駆出性出血だし、レクトミーの適応は慎重であってほしい。ハンフリー視野の結果を悪化と判定されていたが、90歳代の視野の信頼性はどの程度のものなのだろう。片眼が十分見えていたら、残された視機能障害がそれほど逼迫したものでなかったら、高齢者に対するレクトミーは、もっと慎重であってもいいのでは・・。それに、PASindex30%POAGって、どういうことだろう?

 レクトミー術後、眼圧5ぐらいで、4日目術創からの漏出あって眼圧3。眼痛とともに上脈絡膜出血(+)。一度再出血したようだが、1ヶ月弱で徐々に吸収。最終的に濾過胞平坦化して、アイラミド、ザラカム入れて眼圧10に。ただ、視力は0.4から指数弁へ。

5 未治療新生血管型加齢黄斑変性に対するアフリベルセプト8mg6か月成績

○藤關義晴、切石達範、石野雅人、植村太智、大中誠之、今井尚徳(関西医大)

通常はアイリーア2mgだったが、今回は8mgのスタデイ。滲出抑制効果は高く、基本8mgになりそう・・。 

6 眼所見を呈したAlagille症候群1型の2

○山下正奈、國吉一樹、日下俊次(近畿大)、その他

https://www.takeda.co.jp/patients/alagille-pfic/ 

https://www.nanbyou.or.jp/entry/830 

⇒『原因遺伝子としてJAG11997年に、Notch22006年 に、それぞれ発見され、現在ではJAG1の異常によるアラジール症候群1型とNotch2によるアラジール症候群2型が区別されるようになった。JAG1 Notch2はともに、Notchシグナル伝達系を構成し、この遺伝子異常が胎生期の発生過程で何らかの影響をきたすことが原因と考えられているが、病態の詳細は不明である』

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/anterior_segment_dysgenesis.pdf 

今回眼科的には、標的眼底があって中心暗点、2例目は黄斑変性と網膜血管の増殖性変化あり、硝子体手術が必要になった。後部胎生輪(+)

7 弱視を伴う間欠性外斜視として長期経過観察中に視力低下の進行により脳腫瘍が見つかった小児の1

○坂田麻里子、森本 壮、藤野貴啓、河本晋平、岩﨑莉佳子、北口善之、下篠裕史、西田幸二(大阪大)

https://www.jsn-o.com/guideline2021/ophg2021.html 

6歳から間欠性外斜視と弱視で経過観察されていたが閉院したので、別の眼科受診したら視神経萎縮があった。GPで右同名下1/4盲、左傍中心暗点(+)MRIして視神経膠腫(毛様細胞性星細胞腫)

※小児の視神経萎縮の原因としては、脳腫瘍がもっとも多く、その中で視神経視床下部神経膠腫が最も多い。

※長期経過中に見つかったというより、見逃されていた視神経萎縮を見つけたということかな・・・。視力低下があってもなかっても・・・

8 内斜視を呈し、眼球運動時痛を伴ったFisher症候群の2

○西川優子、菅澤 淳、廣川貴久、柊山友里恵、松尾純子、喜田照代(大阪医薬大)

41歳女性。感冒後、ふらつき・嘔吐・頭痛、そして眼球運動障害、内斜視と上方視で疼痛(+)、外転制限(+)・・・⇒GQ1bIgG抗体陽性。フィッシャー症候群疑い。自然経過で症状(内斜視・眼痛)消失。

「フィッシャー症候群ではウイルスや細菌の菌体上のGQ1bガングリオシド様リポ多糖に対する自己抗体(抗GQ1b-IgG抗体)が産生されており,これが自己免疫機序を介して末梢神経上のGQ1bガングリオシドと交差反応し,神経障害を生じさせている。フィッシャー症候群の補助診断マーカーとして使われる。」

56歳男性。眼痛(上眼瞼部)と複視。GQ1bIgG抗体陽性判明して、FS診断。自然経過で症状消失。

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/gbs/sinkei_gbs_2013_06.pdf

FSの三徴:外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失。抗GQ1bIgG抗体陽性80

※結構眼痛多いらしい。トロサ・ハント症候群と鑑別必要なことあり。

GQ1bIgGは、三叉神経に発現しているので、抗GQ1bIgG抗体により疼痛が・・・

※鶏肉の生食・カンピロバクター感染、その後GBS発症・・という可能性も推定されている。

ギラン・バレー症候群(GBS)⇒

https://www.med.kindai.ac.jp/diseases/Guillain-Barre_syndrome.html 

フィッシャー症候群(MFS)⇒GBSの1亜型

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/gbs/sinkei_gbs_2013_06.pdf 


# by takeuchi-ganka | 2025-09-15 15:59 | Comments(0)

第467回 大阪眼科集談会 その1 (1351)

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そろそろ萩の季節かな・・

ICL挿入術術後11年で慢性閉塞隅角症を発症した一例

○岡﨑智之、松下賢治、臼井審一、河嶋瑠美、藤野貴啓、西田幸二(大阪大)

日本ではレーシックの減少に伴いICL症例が増えている印象がある。

症例は、41歳女性。両眼とも眼軸は28mmほどあり、11年前に周辺虹彩切除術後にHole(-)ICL挿入。今なら、Hole(+)ICLだろうが、周辺虹彩切除術しているのは、その当時としては良心的手技。左眼白内障で、視力低下。眼圧は両眼とも25ぐらい(これは眼圧上昇していると判断しているのだろうか)。何故か、左眼のフレア値が高い。隅角に関してはCASIAの写真のみで、隅角鏡検査していない?(時代の変化に驚いている・・)。拡大した前眼部OCT写真だけで、隅角閉塞傾向・・・って、何のことだろう。狭いのか癒着しているのかどっちかわからない筈で、だから隅角閉塞傾向ってことなんかなあ。OCTではかなり狭く、最周辺部は接着しているか癒着している可能性あれば、隅角鏡あてて、器質的な閉塞があるのかないのか判断すべきだと思うのだけど・・。もし器質的な癒着(PAS)があれば、それがどれくらいの範囲にあるのか、その結果として眼圧上昇きたしているのか。そんな判断が、かつて閉塞隅角緑内障診療の基礎だと思ってたけど・・。どちらにしても、レンズとったら終わり・・なんて、感覚が、こんな発表になったのかも。時代が変わったのかなあ・・。ただ時代が変わっても、隅角鏡あてないで、隅角の評価は無理だと思うけど。

※フレア値が高かったのは何故?ICLと虹彩裏面が常に接触しているからでしょうか?

※当然予想される事だが、問題は、どれくらいの頻度で発症しているのか。ICLなど入れなくても、一定数、慢性閉塞隅角になる症例があるのだから、ICLいれることで、そのリスクを増大させることは十分考えられる。レーザー虹彩切開術や周辺虹彩切除術があり、瞳孔ブロックは生じなくても、慢性閉塞隅角にはなりそう・・。また当然、高度近視眼でも前房深度浅いことあり。ICL挿入前の検査で、前房深度や隅角の広さの基準はないのだろうか。


活動期甲状腺眼症に対しTeprotumumabを使用し複視が改善した1

○上江田基宏(淀川キリスト教病院)、森本壮(大阪大)、中井慶(淀川キリスト教病院)

https://www.j-endo.jp/uploads/files/edu/koujyousengansyo_3.pdf 

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症例は58歳女性。主訴複視 半年前から下眼瞼腫脹、その後複視。 MRIで下直筋腫大+甲状腺ホルモン異常値で受診。抗TPO抗体(TPOAb)↑、抗TSH受容体抗体(TSAb)↑活動性甲状腺眼症として、テプロツムマブ投与。一応、眼球突出・眼球運動ともに、改善が得られたらしい。

※高額なので、適応の問題は?眼球突出は、客観的な数値よりも自覚症状で、治療適応を決めている。今回の症例はかなり軽症のような・・・医療経済的には、どうなのだろう・・

テプロツムマブ(teprotumumab: TEP、テッペーザ®

https://www.tepezza.jp/profile/mechanism 

https://www.nichigan.or.jp/news/detail.html?itemid=792&dispmid=1050&TabModule1051=0 

https://consultqd.clevelandclinic.org/thyroid-eye-disease-reactivates-in-most-patients-after-initial-success-with-teprotumumab?fbclid=IwY2xjawL0C-9leHRuA2FlbQIxMQABHqgpwZ0D-ovvdLrHjAuggnGFVmlPTZRWw1VAM07mRXckGxMk-_iFPNKmygJE_aem_5dLGwhyNcqej5TLpsuuKJA 

※画期的新薬であるとともに、意外に無効が多いとも聞いている。また、一連の治療に800から1600万円かかるとも・・・

https://www.facebook.com/profile/100002470916438/search/?q=%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B6 

⇒非常に高価な薬剤なのに、そもそも最初から20%無効で、長期的にみれば66%無効という論文もあるらしい。コスパ悪すぎかも・・


CTRごと脱臼した多焦点眼内レンズを再利用縫着した2

○新開陽一郎 、松本佳保里(医誠会国際総合病院)、小嶋健太郎、外園千恵(京都府立医大)

https://journals.lww.com/jcrs/fulltext/2021/07000/late_in_the_bag_intraocular_lens_dislocation.18.aspx 

⇒ 『白内障手術後612年で発症する合併症である眼内レンズ(IOL)脱臼に関する研究を分析しました。この合併症は、患者の0.53%に発生し、典型的には6585歳です。』

CTRをチン小帯が脆弱あるいは一部断裂している症例にいれるのなら、当然考えられる帰結。高いレンズだし、再利用したいところ。ただIOL固定位置が想定外の場合、単焦点IOLの入れ替えになる。

CTRごと縫着する場合、3点の方が安定する


# by takeuchi-ganka | 2025-09-12 17:40 | Comments(0)

塗抹鏡検 (1350)

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元気だった頃の愛犬・・

前々からずっとやりたいとは思っていたが、何となく敷居が高くて、始められなかったのだが、白内障手術を止めて、時間的・精神的余裕ができたのと、集談会の特別講演で鈴木崇先生の話を聴いたのがきっかけとなり、すぐに安い光学顕微鏡を注文し、染色液や小物を揃えた。ディフ・クイックとグラム染色を用意したが、とりあえず、ディフ・クイック染色からスタート。

ディフ・クイック染色だけなら、プレパラートを作るのに1分もあればいいので、数分で全てが完了する。これだけの手間で、結構今まで曖昧だったものがすっきりしてくる。結膜炎がウイルス性なのか細菌性なのか、長年の臨床経験に基づいて判断する・・・といえば格好いいが、若干曖昧な部分が残るのは確かだったが、摘んだ眼脂が、好中球だらけだったら、ウイルス性はありえないし、リンパ球だらけだったら、細菌性はありえない。細胞成分が乏しかったら、結膜炎かも怪しい。

 実臨床でも、教科書に乗せたいような典型的なウイルス性結膜炎とか細菌性結膜炎というのは、たまにあるのだが、これどっちなのかなあ・・・と迷うケースもしばしばだ。怪しいと思ったときに、摘んで塗抹して染めてみる。これを繰り返す事は、診断能力向上につながる・・・気がしている。

 もう少し手技に慣れてきたら、角膜にも挑戦したり、染色液の種類を増やしてみようかな・・。ちょっと楽しくなってきた。

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好中球だらけ
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リンパ球ばかり・・



# by takeuchi-ganka | 2025-09-09 18:38 | Comments(0)

第28回京阪沿線眼科勉強会 (1349)

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朝晩の涼しさに十分秋を感じるように・・

PRESERFLO Microshuntのリアルな現状 関西医大 盛秀嗣

昔、日緑研かどこかで、三島先生か、あるいは三島先生の言葉としてどなたかが話されていたのだが、レクトミーなんて、フラップを三角にしようが四角にしようが同じで、所詮濾過手術と言われていたのが耳に焼き付いている。この新しい濾過手術は、レクトミーと比べて何が違うのだろう。フラップを作らない(低侵襲・惹起乱視が少ない)、濾過量は、チューブの内径70μmを流れる量が上限を決めてくれる(低眼圧・脈絡膜剥離になりにくい)、濾過胞の場所は、チューブが設置される場所で決まるので、通常のレクトミーより後方(より安全な濾過胞)・・・だから、比較的安全だとは言っても、濾過手術なので、濾過手術特有の合併症から逃れられないらしい。若干安全サイド振れている手技だとはいえ、気をつけないと大変かもしれない。POAGだと、成績良好だが、PEや無硝子体眼の成績はバラツキが大きい。演者はチューブにナイロン糸をステントとして、しばらく置いて、術直後の低眼圧・脈絡膜剥離などを回避しているようです。

緑内障治療の最前線と今後の展開 池田華子 大阪医科薬科大学

 緑内障治療の話は、まあ一般的な話で、話題の神経細胞保護治療に関しては、以前2度ほど講演を聞いてブログにしたので、そちらを参考に


症例から学ぶ緑内障学 杉山和久 金沢大名誉教授

金沢大学の教授を退官され、悠々自適の生活を送っていると思いきや、岐阜と金沢にとどまらず、日本中で緑内障診療に従事され、飛び回っておられるようです。重鎮の貫禄のある杉山先生1984年卒と言うことは、同期&ちょっと年下か・・。自分との違いに愕然・・

今回のテーマは、①乳頭出血、②眼圧日内変動、③トラベクレクトミー

まずは、乳頭出血(DH)の話。これは、昔から、原因なのか結果なのか・・懐かしくも白熱した議論がありましたが、結局は、緑内障の進行過程(つまり網膜神経線維が減少する過程)に随伴して生じる現象と解釈されているようです。つまりDHがあるということは、緑内障が現在進行中であることを示している。DHには、わかりやすいものと、わかりにくいものがあり、専門家でも50%は見逃していると。ましてや非専門家においては、相当見逃されている可能性があるらしい。全例写真をとり、フリッカー・クロノスコピーという手技を用い、僅かなDHも見逃さない体制を整えておられるとか。また、OCTAで詳細に観察すれば、DHが繰り返されるとRadial Peripapillary CapillariesRPCs)も間引かれていくようです。我々は、DHがあると緑内障があるな・・・、DHが頻発していると、今後も進行するだろうか・・と思う程度ですが、こだわりが半端ない・・

Disk hemorrhage is a significantly negativeprognostic factor in normal-tension glaucoma.Ishida K, Yamamoto T, Sugiyama K, KitazawaY.Am J Ophthalmol. 2000 Jun;129(6):707-14.

大御所に逆らうつもりはありませんが、通常のOCTでも壊れずに長期間活躍してくれると、視神経周囲のどの部分のNFLがどれくらいの速さで減少しているのかが理解しやすいです。特に左眼の視神経乳頭下方にDHが頻発していたわけではないですが・・・(見逃しているのかもしれませんが)。

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2,眼圧日内変動

眼圧の日内変動は、生体の概日リズム(サーカディアンリズム)に従っている。体内時計の中枢は視床下部の視交叉上核に存在し,この部分が中枢時計として,全身の組織における固有の概日リズムを生み出す末梢時計の位相を調節し,全身のリズムを同期させている(らしい).さらには概日時計は時計遺伝子 (clock genes) と呼ばれる一連の遺伝子群によって構成されている.この遺伝子をノックアウトすると日内変動は消失する。眼圧日内変動は、視交叉上核の中枢時計の支配下にあるが、眼圧リスムを作り出しているのは、副腎からのステロイド(グルココルチコイド)。この日内変動への介入は、治療につながる可能性がある。

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金沢大学十全医学会雑誌 第130巻 第31091112021

緑内障と概日リズム – 眼圧日内変動のメカニズムを探る から

3,究極のトラベクレクトミー

以前講演で聴いたテノン嚢に裏打ちされた究極のレクトミー。これをやってから、術後感染ゼロが達成できそうだったのが、1例だけ出てしまった・・・と、話されていたような・・。

濾過手術で、眼圧を大きく下げることができれば、緑内障進行を抑えることができることはわかっている。ただ、濾過手術には、どうしても術後感染問題が大きく、発症してしまうと、視機能を大きく損なってしまう。また濾過胞から漏出が生じると、眼内炎発症リスクは、一気に高くなる(1.7⇒7.9%/5年)。理想は、丈夫だが、機能している濾過胞の作成。ハニカムフィルムを用いたり、ハニカムフィルムに抗線維化薬(パクリタキセルなど)を含有させる方法も試みたが、企業は儲からないと動いてくれないようで、暗礁に乗り上げたようです。最終的に、たどり着いたのは、全例濾過胞をテノン嚢で裏打ちする方法。

ただ、内皮減少だけはどうしようもない。内皮移植してもその後激減するようで、ネルテペンドセル(ビズノバ)が普及するまではどうしようもないのかも・・。


# by takeuchi-ganka | 2025-09-07 13:16 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka