角膜カンファレンスに出席して3
2006年 02月 27日
1、アカントアメーバと真菌:検鏡と培養の秘訣(石橋康久先生)
最初が、本学会の名物弁士?。石橋先生(北里研究所メディカルセンター)。この方の話をお聞きするのは始めてでしたが、すっかり虜になってしまいました。ひとつのことを長年にわたり追求される真摯な姿には、感動を覚えます。
この感染症の専門家は、アカントアメーバと真菌についての講演。とりわけ検鏡の重要性、特にパーカーインク・KOH 染色の優位性を示されました。皮膚科領域で、真菌を染色する最もポピュラーな染色ですが、この検鏡と引き続いての培養は、治療方針を明らかにする為に重要で、治療開始後は、検鏡のための掻爬は、治療そのものでもあり、その材料の検鏡・培養は治療効果判定の為にも必要となるそうです。実は、掻爬部位が重要で、病巣の辺縁なのか中心部なのか、深部なのか浅層なのかが重要だそうです。
2、最近の鏡検と培養:12の秘訣(井上幸次 教授)
①常在菌を知っておくべき:
1、Staphylococcus epidermidis
2、Propionibacterium acnes
3、Corynebacterium
4、Staphylococcus aureus
5、Enterococcus
②培養で出やすい菌と出にくい菌がある。
※出やすい菌は、検出されても原因菌でないかもしれない。
※出にくい菌は、検出されないので、原因と推定しにくいが、想定しておかないといけない。
培養で検出されやすい菌
1、Staphylococcus epidermidis
4、Staphylococcus aureus
3、Corynebacterium
培養で検出されにくい菌
1、Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
2、Haemophillus influenzae (インフルエンザ菌)
③塗沫検鏡検査と培養結果が一致すれば、それが起炎菌。
④角膜病巣の擦過は辺縁で勝負。
⑤抗菌薬Virgin が狙い目。(治療してあると、それが無効であったとしても、菌は検出されにくい・・・・)
⑥嫌気性菌は、嫌気ポーターですばやくキャッチする。
⑦直接培地培養もやってみる。
⑧涙小管炎は、塗沫検鏡検査が命。
⑨性行為感染症では塗沫検鏡検査が威力を発揮。
淋菌性結膜炎が問題となる・・(原因菌:neisseria gonorrhoeae)
※セフトリアキソンが有効
⑩感受性検査の盲点:PAEとAQCmax
PAE(post antibiotic effect) とは,抗菌薬を細菌に一定時間作用させると,血中・組織での抗菌薬が有効濃度以下になっても,細菌の再増殖がある期間抑えられる現象のことである.
例えば、うちの子供は、大きな声でしかると、しばらくおとなしくしていますので、この場合、PAEあり?でしょうか。しかる時、一発ゴンとやると、PAEは大きくなり、そして、私よりも、かみさんの声は、PAEに乏しく、長女は長男よりもPAEが明瞭・・・・?また、子供は成長に伴い、PAEが不明瞭になっていく・・・これで、PAEは、理解しやすいかな。
房水内最高濃度値(AQCmax) は点眼液の眼内移行動態を評価するために新たに提案された新しい指標(眼内薬動力学的パラメータ)である.
これも、子供の教育に喩えると、大きな声でどなるだけでは、子供の心に響かない。心に響かなければ、効果がない。いくら点眼しても、眼内に移行しなければ、中の細菌は殺せない。子供に声をかけて、それがどれだけ彼らの心に響くかが問題で、私の言葉は、AQCmaxが低い(;>_<;) 。AQCmaxをあげるには、彼らの気持ちを理解する必要がある。彼らがカリスマと尊ぶ存在の言葉なら、非常にAQCmaxは、高くなる。私にとっては、高校生時代は、太宰治だったような・・・・
PAE と AQCmax について
a. PAE を持たない薬剤
薬剤が有効濃度より低下すると微生物の増殖が起こるため,投与間隔は短くする必要がある.
※グラム陰性菌が起炎菌である場合,βラクタム剤の投与は頻回投与を選択すべき.
b. PAE を有し作用濃度に影響を受ける薬剤
ニューキノロンやアミノグリコシドは短時間に優れた殺菌効果を示し,PAE も濃度依存性を示すことが知られている.
※黄色ブドウ球菌感染症において,ニューキノロン点眼を使用する場合,
1 日6 回等間隔での点眼より,
5 分おきに3 回点眼を1 日2 クール行うほうが効果的
(名案でしょうが、誰か実践しているのかなあ・・・)
c. PAE を有し作用濃度に影響を受けない薬剤
MRSA 感染症では,バンコマイシン点眼は効果的な薬剤である.
バンコマイシンは殺菌効果,PAE ともにMIC 以上では濃度依存性ではなく,時間依存性である.
バンコマイシン点眼を使用する際は,MIC 濃度の点眼を等間隔に頻回投与するのが効果的であろう.
併用療法の場合
抗菌薬では,薬物の組み合わせによる相乗効果で抗菌作用の増強が知られている.
PAE についても同様に併用療法によってPAE が延長する薬剤の組み合わせがある.
具体的な例として,MRSA 感染症では,ホスホマイシン or バンコマイシンと,β-ラクタム剤の併用でPAE が延長する.これを生かした投与方法として,
MRSA 感染症において,
PAE 効果の強いイミペネム点眼を5 分おきの3 回点眼を1 日2 クール,
PAE は持つが濃度依存性のないバンコマイシン点眼を1 時間おきに点眼
AQCmaxについて
AQCmax:薬剤の眼房水内移行濃度を客観的に評価でき,しかもその薬剤の実際の臨床効果を予測する有用な指標になる.さらに,得られたAQCmax と個々の菌に対するMIC 値の逆数を掛けて得られた値(AQCmax×1/MIC)の大きいものほど臨床効果が期待できる
⑪感受性検査の解釈 : Rは本当にRか?
点眼の濃度は、非常に高濃度であり、通常の感受性検査でRであっても、有効なことが多い。
※点眼は、内服や点滴で実現する濃度をはるかに上回る高濃度を達成できる。我々眼科医は、このことを念頭において、感受性検査を解釈しつつ、治療を行う必要がある。
⑫外注する時の注意事項
薬剤をいくつか指定して、感受性検査を依頼しても、指定した薬剤を使わずに、その薬剤グループの他の薬剤で代用している会社があるらしい。
本当の話のようで、恐ろしいことである。結構有名な会社でも、やっているとか・・・




