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第53回 関西医科大学眼科同窓会 春の勉強会 (1344)

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矢田寺の紫陽花


久しぶりに、関西医科大学眼科同窓会の春の勉強会に現地参加してきました。よく考えると、寛ちゃんがいない初めての同窓会か・・。今後、何故か、同窓会の名前が消えて、同門会となるようですが、仮に少々名前が実態にそぐわないものだったとしても(?)、伝統のある名前を引き継ぐ事が大切なことだと思いますがね。他大学出身の私でも、この同窓会の名前に違和感ないですが・・。

確か以前は朝からやっていた勉強会ですが、開始時間が日曜日の午後になってしまうと、遠方の先生が参加しにくくなります。同窓会の勉強会の前日に大阪に来られて、懐かしい仲間と食事などをして、翌日午前中だけでも勉強会に参加して、地元に帰る・・・というスケジュールが不可能となりました。同窓会員は全国におられます。少しでも参加人数が増えるよう考慮してほしいなあ・・。参加者がこれ以上少なくならないことを願うばかりです。

演題のほとんどは、いつものように、以前集談会などで発表したもので、あと数題は、開業されている先生の発表。コメントは以前のものをほぼ流用・・

1,新生血管型加齢黄斑変性に対するfaricimab硝子体内投与の1年経過 石野雅人

加齢黄斑変性に対する抗VEGF治療薬の長い歴史の中で、ちょっと変わり者の薬剤?VEGF-Aと結合する抗VEGF-A FabAng-2と結合する抗Ang-2 Fabが同一分子内に存在。抗炎症・血管透過性亢進を抑え、血管新生も抑える画期的な薬剤?)。門外漢には、よくわからないけど、関西医大独自の投与方法(mTAE)で行えば、少し投与間隔をあけれて、投与回数もより少なくできる・・

※画期的な薬剤・・・というほどでもないのかな。

2,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に関連した強膜炎における抗体療法の影響 綾はるか

難しい発表。ちょっと聞き逃し・・^^;

3,意外と使えるFunctional vision scoreによる視機能評価 木内克治

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjvissci/40/1/40_40.1/_html/-char/ja

いつも独自路線の木内先生の発表。今回も・・・

「視力の評価であるFunctional Acuity ScoreFAS)と,視野の評価であるFunctional Field ScoreFFS)をそれぞれ求め,それらを掛け合わせて算出する。スコアは片眼および両眼の状態でそれぞれ測定され,計算時には両眼60%,片眼20%ずつ加重平均される。視野の評価はGoldmann視野計III/4e指標で行われる。」

4 緑内障術後ocular decompression retinopathy1例 佐井美玲

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10827622/ 

要するに急激な眼圧下降後に見られる網膜出血。昔昔、急性発作にレーザー虹彩切開術して、その後散瞳して眼底検査すると、網膜出血しているのを何例か見たけれど、それもODRなんて呼ぶのかなあ・・

今回は、ヘルペス性虹彩炎の続発緑内障にレクトミーしたら、生じた出血。点眼のフルメディケーション+ダイアモックス3錠でも眼圧50以上。レクトミーして、術後マッサージして8にすると・・・ODR。黄斑部に網膜前出血があったので、視力低下。吸収とともに徐々に回復。一般的に予後良好。

5 結膜MALTリンパ腫2025眼の臨床経過 篠原優里子

https://takeganka.exblog.jp/33402165/ 

https://data.medience.co.jp/guide/guide-07010024.html  

あまり悪性度の高くない悪性腫瘍。①無治療 ②放射線治療(30GY) 抗体治療(リツキサン:抗CD20抗体)。リツキサンをチョイスすることも多いが、放射線は有効。長い間リツキサンで改善が見られず、放射線で寛解したケースもある。ただ、無治療で、増大しないことも・・。

6 治療に難渋した特発性周辺部角膜潰瘍(モーレン潰瘍)の一例 祐森恵梨佳

片眼は角膜移植を9回もやって、その後角膜融解してほぼ失明状態。他眼にモーレン角膜潰瘍発症。結膜切除して、強角膜移植、部分角膜移植。ステロイド点滴、シクロスポリン内服、プレドニゾロン内服で、良好な経過だったが、ぶどう膜炎(VZV)発症。プレドニゾロン減らして(漸減中止)、シクロスポリン増やして(その後漸減)、アメナビル開始・・・。最終的にステロイド・タリムス・抗菌剤・β遮断剤点眼のみに。(こんな重症例の角膜疾患の治療経過は、ちょっと別世界の話で、へえ・・・・って感じ)

C2:シクロスポリン2時間後血中濃度

https://is.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/042020153j.pdf 

※電子カルテの掲示板で内科とやりとりして、シクロスポリン濃度コントロールの参考に・・

7 同一創に再発した濾過胞感染に対してバルベルト緑内障インプラント挿入術を行った一例 河合諒

3年前にレクトミー。1年前にニードリング。その後濾過胞感染。濾過胞温存して、PEA+ビトして抗生剤投与して落ち着いて、その後IOLも入れたが、4年ほどして再び濾過胞感染。いずれもステージⅢa程度。Ⅲbではなかった。2回目は濾過胞も切除して、その後眼圧上昇にバルベルト。

※こんなこともあるので、レクトミーは積極的には勧められないのだが・・・・。今回の症例からは何とも言えないと思うけど、濾過胞が機能しているようなら、できれば温存したい。温存しても問題ないとする報告もある(そんな報告ができるほど感染が多いとも言える)。まあ、感染するということは、通常濾過胞が瘢痕化しているケースより、濾過胞が機能していて、かつ菲薄化しているか破綻している場合と思うけど。温存しない場合、後日追加緑内障手術(濾過手術かチューブシャント)が必要になる可能性高い。

8,TREおよびNBR後の低眼圧に対して外科的処置を要した症例の1年成績  竹内正興

なんでもかんでも、アルファベット3文字使うのは、使う側は言いやすいけど、初めて聞く人にとっては、何のこと・・ってなるよね。レクトミーや濾過胞再建術を行った後低眼圧になり、脈絡膜剥離や低眼圧黄斑症を発症し、(遷延したから)外科的処置をした症例38眼の術後経過。低眼圧の原因は過剰濾過か房水漏出。外科的処置は、通常粘弾性物質注入and/or縫合。眼圧は、術後早期に少しだけ高めだが、1年後には一桁眼圧に落ち着く。視力は同様の経過をたどるものの、術前の視力には及ばなかったらしい。外科的処置で低眼圧は対応可能だが、黄斑皺壁の治療は簡単ではなく、視力回復は更に困難?

濾過手術の宿命だが、術後経過良好と言えない(予想外の結果になる)症例が一定程度ある。濾過胞の形成が患者さんの創傷治癒能力に依存しているので仕方ないのだろうが、当然漏れすぎたり、漏れなさすぎたりする。出来上がった濾過胞も破れたり・感染したり・・・・・。やっかいな手術であることに変わりない。例えば100眼に濾過手術したとして、外科的処置なしに望ましい眼圧におさまるのは何眼あるのだろう。仮に50眼だとしたら、残り50眼のうち、漏れすぎて外科的処置をしたケースが何眼、漏れなさすぎて外科的処置したケースが何眼なのだろう。仮にそれが25眼ずつだとしたら、今回の発表は、(最初に漏れすぎて外科的処置した症例)+(漏れなさすぎて外科的処置をしたら漏れすぎた症例)が、ターゲットなのかな。一応術後1年程度は、良好な結果らしい。5年後は知らんけど・・。やはり濾過手術は大変・・・・。

9、ストリームラインによる新しいMIGS 山岸和矢

これはフックを用いたロトミーinternoに比べると、高価なストリームラインを使用する必要があるものの、有望な手術に違いない。詳細は下記アドレスに・・

※かつて、Viscocanalostomyをやりまくった山岸先生としては、当然日本で最初にやらなければいけないお仕事のようです。作用機序が明快とは言えないものの、異物を残さず、繰り返しできて、合併症も少ない。それでロトミー同等の眼圧下降。値段を除けば理想的・・・かも。

https://takeganka.exblog.jp/37741522/



今井尚徳教授の特別講演

新任教授が、教室の現状と未来について熱く語ってくれました。同窓会員としては、そこを職場とする息子の父親としても、眼科学教室の発展を願うばかりです。末端の同窓会員なので、面識ありませんが、若くて、エネルギッシュな、デジタルデバイスを駆使した網膜硝子体手術の専門家に、網膜硝子体手術の現状と近未来を見せていただきました。凄いなあ・・・と感嘆するばかり。特に最後の、嚢胞様腔内壁切開術およびフィブリノーゲン塊摘出術はちょっと驚き。昔なら、Foveaは、アンタッチャブルなエリアだったのだが、孔があいたら、色んな材料で充填するし、最近は網膜切り取って移植する。CMEでも切開したり、フィブリノーゲン塊摘出したり・・。

最も馬力がある年代の若い教授。頑張ってね。

※神戸大学時代の仕事かな。

https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/rinri/research/docs/No.B200233.pdf 

⇒ 嚢胞様黄斑浮腫は糖尿病や網膜静脈閉塞などの様々な眼底疾患に続発する病態。治療法としては、抗血管内皮増殖因子製剤 、懸濁ステロイドの眼局所投与 、網膜光凝固などの非外科的治療、そして硝子体手術があります。しかし、これらの治療が奏効しない黄斑浮腫には嚢胞様腔内壁切開術が施行され、良好な成績が報告されています。また、近年、嚢胞様腔内壁切除の際に嚢胞様黄斑浮腫内に形成された半透明塊が摘出されることも報告されています・・・・

 


# by takeuchi-ganka | 2025-06-13 18:42 | Comments(0)

これからの小児の近視診療に向けて その3 (1343)

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次の演題は、

『近視進行を取り巻く医療制度』  はら眼科 原信哉先生

リジュセアミニ0.025%点眼は、近視進行抑制効果が明らかになった点眼だが、対象患者は膨大な数になる。近視進行は5歳から始まり8歳ぐらいでピークとなり12-13歳まで続く。早期に発症するほど高度近視になるリスクが高いとすれば、小学校1-2年で発症するような早期発症の近視ほど治療ターゲットとすべきだろう。いずれにしても、対象患者数は膨大となり、保険診療に馴染まないようで、今回リジュセアミニ0.025%点眼液は、自由診療の対象となりました。こうなると自由診療に慣れていない私のような普通の町医者には、ハードルが高いが、小学校入学前後から小学校1-2年の間に発症する近視患者の中にハイリスクの患者さんがいるはずで、まず治療対象として念頭に置くべき。それより後の発症の近視患者でも進行速度は速いと判断される場合も治療対象とすべきだろう。

これからの小児の近視診療に向けて  その3 (1343)_f0088231_16411504.jpg

近視の有病率

  • 小学1年(6歳):17.3%
  • 小学2年(7歳):21.9%
  • 小学3年(8歳):31.2%
  • 小学4年(9歳):39.0%
  • 小学5年(10歳):46.2%
  • 小学6年(11歳):52.8%
  • 中学1年(12歳):58.9%
  • 中学2年(13歳):59.6%
  • 中学3年(14歳):62.6%

だとすると、小1の20%前後が対象候補だろうか・・

自由診療

近視進行抑制治療を行うと判断した時点で、別のカルテを用意して、近視病名で行うすべての検査は自費扱いとなる。①問診、②検査・診断、③説明・同意書、そして④治療開始

こんな順番なのだろうが、まず、患者さんを見つける作業から。

  1. ハイリスク患者(5-6歳で近視発症している)
  2. 早期発症ではないが、近視進行速度が速い患者
  3. 近視があって治療を希望される患者

次に(その前に)検査

  1. 原則として、治療前、全例に調節麻痺下の屈折検査をすべきだろう。スポットビジョンスクリーナーだけで済まそうと思っていたが、ORTに戒められた^^; これから長期間の近視進行抑制治療のスタートラインなのだから、しっかり調節麻下の屈折度数を調べておくべき。
  2. 角膜形状解析
  3. 眼軸長(光学的):近視は眼軸長伸長に伴うものなので、最も重要な検査の一つとなる。
  4. もちろん通常の診療と同じように、細隙灯顕微鏡検査と眼底検査を行い、近視以外に疾患がないことを確認しておく。

治療を行うことになれば、『診断、治療内容、費用、治療リスク、他の治療法の説明も行い』、同意書をもらう。治療は、6歳で開始したら7-8年続くのだが、脱落するかもしれないし、料金は、毎回(3ヶ月毎)にいただくことになりそう。そして、治療開始後は、3ヶ月毎ぐらいに屈折検査・矯正視力、年に1回は眼軸長などをチェックして、近視の進行レベルを把握する。当然、近視治療中も、様々な眼疾患で受診されることはあり、それに関する検査・治療は、保険診療が可能だが、近視(屈折異常)に関する検査は自由診療に含まれるので、矯正視力とか屈折検査は、算定できない。また、眼鏡処方やコンタクトレンズ処方が必要になった場合も、自費に・・

初回の診療・検査内訳は

  • 屈折検査
  • 矯正視力検査
  • 調節麻痺下屈折検査
  • 角膜曲率半径(形状解析)
  • 光学的眼軸長測定
  • 細隙灯顕微鏡検査
  • 眼底検査
  • 1ヶ月分の薬剤料

最初だけ、1ヶ月後に受診で、その後は3ヶ月毎の受診。

  • 屈折検査
  • 矯正視力
  • 細隙灯顕微鏡検査
  • 3ヶ月分の薬剤料

※年に1度は光学的眼軸長測定と眼底検査。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

近視進行抑制治療の費用(当院での)

治療開始時点

初診時検査代(5000)+薬剤1ヶ月分(4000円)=9000円(税込)

2回目以降

検査代(3000円)+薬剤3ヶ月分(4000円×3=15000円(税込)

ようやく準備が整いましたので、遅ればせながら、当院でも6月から近視進行抑制治療を開始します。

治療適応があって、希望される方のみですが・・


# by takeuchi-ganka | 2025-05-27 17:12 | Comments(0)

第465回 大阪眼科集談会 その2 (1342)

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しばらく行ってない通り抜け


6 糖尿病黄斑浮腫に対するブロルシズマブ硝子体内注射の1+PRNによる1年の成績
○木成 玄、山本 学、居 明香、平山公美子、河野剛也、本田 茂(大阪公大)

糖尿病黄斑症に対するベオビュの効果。投与回数減らせるかも。CMT改善効果高い・・3+PRNでなくても、1+PRNで十分有効かも・・・

7 点眼薬の誤使用により角膜化学外傷をきたした1
○北尾匡弘、高 静花、小林礼子、大家義則、相馬剛至、西田幸二(大阪大)

何とも恐ろしい話。点眼瓶に絵画用防腐剤を入れて、使いやすくしたのはいいけど、誤って点眼してしまった。習慣的に点眼している人の場合、絶対やってはいけないことだと思う。間違うと、確実に防腐剤の原液が角膜にダイレクトに数滴入ることになるので、超危険。今回も、かなり重症の角膜化学外傷。POVの残存の有無も不明だったが、残っていたようで、時間はかかったが、最終的に綺麗に治った。

※時々白癬菌の治療薬をあやまって点眼した患者さんが来られるが、こんなに恐ろしいことにはならない。

※絵画用防腐剤

8 転移性脈絡膜腫瘍で発見された肺腺癌の一例
○綾 はるか、尾辻 剛、三木克朗、西村哲哉(関西医大総合医療センター)

56歳女性。視覚異常があり、両眼に黄白色隆起病変、SRDCWS・・。FAIAとも典型的な転移性脈絡膜腫瘍。原発は肺がんだった。

※昔のイメージでいうと、Bモードエコーで転移性脈絡膜腫瘍を疑うのは、丈が低くて、音響透過性良好で、短期間に大きさが変化して、剥離を伴ってくるケースかな。図は20年程前のケース。

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演題1でも出てきた、オシメルチニブ有効。EGFR変異陽性非小細胞肺がん1次治療薬らしい。チロシンキナーゼ阻害薬。

https://oncolo.jp/drugs/tagrisso 

9 当院における線維柱帯切開術と白内障手術併用眼内ドレーン挿入術の術後成績
○角野晶一、泉谷祥之(大阪医薬大)、河本良輔(枚方市)、池田華子(大阪医薬大)、小嶌祥太(市立ひらかた病院)、喜田照代(大阪医薬大)

iStentとμLOTの症例は、ベースライン眼圧も緑内障の程度(MD)も、点眼数も異なってるようだし、術式も異なるのに、成績をまとめる必要あるのかなあ・・。それぞれ、それなりの成績。

10 眼窩骨折整復プレートによる鼻涙管損傷により慢性涙囊炎をきたした1例
○佐藤陽平(大阪市)、中村聡(明石市)、南 愛(豊中市)、藤田恭史、相川美和(大阪市)、 鹿嶋友敬(東京都)

プレートも入れる場所を間違うと、鼻涙管を損傷する。挿入されたプレートが原因の慢性涙嚢炎。プレートを除去して、涙道再建。

11 先天下垂に対する眼瞼挙筋群短縮術の治療成績
○南 愛(豊中市)、佐藤陽平(大阪市)、中村 聡(明石市)、藤田恭史、相川美和(大阪市)、 鹿嶋友敬(東京都)

眼瞼下垂の手術は、挙筋機能の程度によって術式の選択がある程度決まるようで、残存している挙筋機能が良好な順に、経結膜ミュラー筋切除術・挙筋腱膜短縮術・ミュラータッキング・挙筋群短縮術・前頭筋吊り上げ術・・・などの術式が選択されているようで、一般的先天性眼瞼下垂の場合は、前頭筋吊り上げ術が選択されることが多いらしいが、この術式だと眉毛が上がってしまうので、オキュロフェイシャルクリニックでは、まず挙筋短縮術を行っていると。ちょっとしたコツはあるようだが・・


# by takeuchi-ganka | 2025-04-15 19:21 | Comments(0)

第465回 大阪眼科集談会 その1 (1341)

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今年はこれで我慢するか・・


1 転移性眼窩腫瘍により圧迫性視神経症をきたした一例
○笠 珠莉、春名優甫、本田 茂(大阪公大)

80歳女性。緑内障でラタノプロスト使用中。一部浸潤なのか、圧迫だけなのかわからないけど(多分圧迫だけ?)、眼窩先端部の腫瘍性病変による圧迫性視神経症で、一時的には光覚(-)となったが、抗がん剤で腫瘍が縮小し圧迫解除されて、視力改善が得られた。原発は肺がん。

※オシメルチニブ:https://oncolo.jp/drugs/tagrisso 

※圧迫された神経は、その後、①圧迫・虚血・伝導ブロック⇒②脱髄⇒Waller変性・・となるが、③まで行ってなかったら、圧迫解除で回復可能。光覚(-)となっても、すぐに諦めることはない。数ヶ月は希望あり?OCTGCC解析の悪化(-)は、参考になるかも・・

2 視神経周囲炎(optic perineuritis: OPN)1
○野本裕貴、槇田翔太郎(近畿大)、佐藤寿樹(富田林)、日下俊次(近畿大)

視神経炎ではなく、視神経周囲炎の話。49歳女性。霧視・視力低下・中心暗点、OCTでは僅かに視神経腫脹しているようだが、検眼鏡的には、ほぼ異常なし。MRIでは眼球付着部位近くの視神経周囲がリング状の高信号(tram tracksign, doughnut sing)。ステロイドパルスで、改善。

ANCA関連血管炎、梅毒、サルコイドーシス、IgG4関連疾患などに合併することあり。

3 単純硝子体切除とガスタンポナーデのみで軽快した強度近視性網膜分離の1
○田邉ゆき(済生会茨木病院)、水野博史(大阪医薬大)、石郷岡 岳(大阪医薬大三島病院)、児玉昂己、大須賀 翔、喜田照代(大阪医薬大)

一般的には硝子体切除、ILM剥離、ガスタンポナーデだが・・・。70歳女性。眼軸両眼とも31mm以上。白内障手術したが、IOL入れず。その後、左眼の網膜分離症。視力は(0.8)。手術試みたが、眼軸長すぎて、後極部に器具が届かないのでILM剥離できず。最終的に単純硝子体切除と中心窩外方に医原性裂孔ができて網膜光凝固して、ガス注入しただけ。それでも、網膜分離改善して、視力改善。

※極端な長眼軸の場合、ポート位置を後ろずらすといい・・

4 両眼に発症した白内障術後眼内炎の一例
○越智靖之、大塚友貴、三島 雅、谷村直紀、川村 肇、齋藤伊三雄、大路正人(多根記念眼科病院)

恐ろしい話。51歳の女性が1週間開けて、両眼に白内障手術を受けた。左眼は9日目、右眼は8日目に眼内炎発症。手術手技・器具などには特に問題はなかったらしい。51歳の健康そうな女性の白内障手術なのに、何故か両眼ともStaphylococcus Lugudunensisによる術後感染。何故だろう、特殊な事情があったのだろうか。皮膚の常在菌だとすれば、術野の消毒の問題なのか・・・。この菌は、角膜に感染すると、すぐ後ろに行ってしまうブドウ球菌らしい?ただ、弱毒菌なので発症まで1週間以上。治療はバンコマイシンとセフタジジムを灌流液に入れて硝子体切除、術後も硝子体注射することで改善。

http://www.theidaten.jp/wp_new/20191127-77/ 

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201908/562050.html 

5 長期の視機能経過を得られたMEPAN症候群患者の1例
○藤野貴啓、松下賢治(大阪大)、桒山良子(びわこ学園医療福祉センター)、青天目 信、北畠康司(大阪大小児科)、西田幸二(大阪大)

https://www.mepan.org/what-is-mepan 

MEPANは、ミトコンドリア脂肪酸合成経路(mtFAS)の遺伝子であるMECR遺伝子の突然変異によって引き起こされる。MECR遺伝子は、体内のミトコンドリアが呼吸(エネルギー)や他の多くの代謝過程に必要な脂肪酸を作るのを助けるタンパク質を作る遺伝子である。この経路とMECRの変異がどのようにしてMEPANの症状を引き起こすのかを完全に理解するためには、さらなる研究が必要である。』



# by takeuchi-ganka | 2025-04-14 18:01 | Comments(0)

これからの小児の近視治療に向けて(その2)(1340)

これからの小児の近視治療に向けて(その2)(1340)_f0088231_09425731.jpg
花見@毛馬の閘門


今回発売される低濃度アトロピン点眼の臨床試験(ORANGE STUDY

5歳から15歳の近視患者(299名)を3群に

  • ①プラセボ点眼
  • 0.01%アトロピン点眼
  • 0.025%アトロピン点眼

まず2年間点眼して、その後の2年間は、

プラセボ群は①②③の3群に

  • ②の0.01%アトロピン点眼群は、①と②に
  • ③の0.025%アトロピン点眼群は、①と③に

結果、濃度依存性に近視化抑制・眼軸長伸長抑制効果が確認された。

最初の2年間⇒

プラセボ・0.010.0253群の評価はアトロピンの濃度依存性に近視進行抑制効果が確認された。0.01でも抑制効果あるが、0.025の方がより効果が強い。

次の1年間⇒

  • プラセボ群はプラセボ・0.010.0253群に分かれるがこれは当然濃度依存性に近視進行抑制。
  • 0.01%群は、プラセボと0.025に分かれるが、プラセボは抑制効果ゼロとなり、0.025は抑制効果が強くなる。0.01%だと中止してもリバウンド(-)のよう・・
  • 0.025%群は、プラセボと0.025継続群に分かれるが、プラセボになると、比較的急速進行するらしい。最初からプラセボより進行速度速い。0.025継続群は、近視抑制効果も継続。

結果、0.025%アトロピンなら、近視進行は40%以上抑制可能らしい。眼軸長も30%以上伸長抑制。ただ、どうしても、眩しい・視力低下・グレアなどが10%以上で見られ、まれに中止せざるを得ないことも。まあ少しは本来の調節力麻痺・散瞳効果が現れたということだろうか。

また、0.025%で治療していて、プラセボにスイッチすると、近視進行抑制は解除されるようです。また1%アトロピンのような強烈なリバウンドはないようですが、それでも、プラセボよりは、強い近視進行になるらしい。

これからの小児の近視治療に向けて(その2)(1340)_f0088231_09261128.jpg

個人的見解

 この結果を見れば、強い副作用(眩しい・見にくい・・)がなければ、使用する価値は十分あると思うし、特に小学校入学前後に近視が発症しているケースでは、高度近視(病的近視)予防の為にも、点眼治療を開始した方がいいのかもしれない。

ただ、これだけで十分という訳ではなく、今までの近視進行抑制に関する様々な話を総合すると、

  • 1,リジュセアミニ点眼(0.025%アトロピン点眼)
  • 2,毎日2時間以上の屋外活動(350400nmの紫光を浴びる必要性)
  • 3,眼鏡を作成する場合には、350400nmの紫光をカットしないレンズを使用

近視抑制眼鏡(DIMS眼鏡)やソフトコンタクトレンズ(MSight)は日本では入手不可能で、オルソケラトロジーは、高価だし自分のポリシーに合わないので、私がお勧めする近視進行抑制対策としては、上記の3つとなる。

強くお勧めする訳ではないが、以下の3つも近視進行抑制対策になるらしい・・

※お勧め食材:マグロ、イワシ、サンマ、サバ、アジ、鰻(蒲焼)・・・など

  • 3,塩酸ブナゾシン点眼(保険適応外)


# by takeuchi-ganka | 2025-04-07 09:44 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka